memory4 淋
memory4 淋
夏。
誕生日まであと一ヶ月ほどとなり中学生になるまであと半年ほどだ。淋は随分大人になった。しかしその分おとなしくなった。隼斗が副隊長になってからだろうか?無表情が多くなり昔はよく言っていたワガママもなくなった。それを篤史は心配に思う。親として。
淋のホントの性格は負けず嫌いだ。そして頑固。それが一変するのは何故かと疑問を持つのは普通だ。
「ぱぱ……私に『戦い』を教えて!」
淋は試合を終え家に帰ってきたばかりの篤史へと強い意思のこもった声で言う。
「……」
篤史はただ黙っている。無表情で淋を見ている。
「私は緋桜という血を持つ。それはパパが教えてくれた。なら、私はその血を誰かのために使いたい!」
強く強く淋はいう。篤史はゆっくりと瞬きし口を開く。
「俺に『戦い』は教えられない。俺は『殺し』しか出来ない。隼斗に教わればいい」
篤史の声は篤史が思った以上に冷たかった。それでも淋の瞳は変わらない。強く篤史を見続ける。
「『殺し』でもいい!私は隼斗と真逆の戦いをしたい!」
篤史は黙っている。淋も黙る。重くのしかかる空気。
「戦うなら……何を使う……?」
篤史の問いに淋は少し息をのむ。
「全部。6つの戦いかたをしたい」
震えるように、しかしハッキリと淋は答える。
「…最初は暁からだ。次に瀬口、大和、紅夜、白水、架聖の順にやる。今日は6家についてはなす一度で覚えろ」
篤史は階段を上がり部屋へと行く。淋が笑ったような気がした。
「まず、暁についてだ。暁はナイフを使った戦闘を得意とし隼斗ににた戦いかただ。勿論俺にもにている。これを一番最初にやるのはもっとも身体能力を必要とするからだ。これで筋肉の柔軟性を手に入れろ」
淋はこくりと頷く。篤史は続けた。
「次が瀬口だ。これは大鎌を使う戦闘を得意とする。手首、いや腕全体の柔軟性しなやかさが必要でありお前にピッタリのはずだ。その次は大和。大剣を使った戦闘を得意とし瀬口と同じく手首の柔らかさが必要だ。大和の次、紅夜。これは日本刀を使った戦闘を得意とし素早い動きになる。その次が白水。呪術を使った戦闘を得意としお前にとってもっとも戦いやすいやりかたのはずだ。次が架聖。銃を使った戦闘を得意とし俺は苦手だ。多分淋も。最後に基礎術について教える。基礎術は妖気を放出し固め空中での足場造りや重い刀がある程度ふりぬきやすくなる。また、小規模の空間をつくっておきそこに物をおいておくことでいつでも取り出すことができる」
篤史は手を広げた。掌に篤史の携帯電話。まるで作り出されたかのように形をとった。それを見て淋は驚くこともしない。
「隼斗との連携プレーは最初はリンクを使って意思疎通すればいい。あとはまぁ隼斗があわせるだろう」
なにか不満があったのか、淋の表情が一瞬崩れた。