38 実行ⅤⅥ
38 実行Ⅵ
チーム寮から5分遅れででてくる由哉。普段は助手席に乗るが今日は莉磨がいるため後ろに乗る。
「スイマセン……」
「電話で起きました……だろ?」
由哉がシートベルトをしたのを確認し恭悟はアクセルを踏む。
「で……なんで莉磨がいるの?」
「どうしても知りたいことがあるから」
由哉の問いに莉磨は無表情で答える。
「まず、現在の勢力の数と大きさを知りたい」
莉磨はストレートに問う。由哉は半呼吸おき答えた。
「今のところ勢力は5つ。莉磨、ソラト、シエル、白石さん、組織。現在のディセント及びリンガの数を10とすると莉磨は3、ソラトが2、シエルは1、白石さんが2、組織が1となり無所属も1となります。戦力として考えるとシエル、ソラト、莉磨、白石さん、組織の順で強いと思われますが莉磨とソラトはほぼ同戦力。シエルとソラトは僅差と考えられます」
仕事の話をすると無意識か由哉は敬語がまじる。
「これから先、どの程度変化する…?」
「おそらく組織の戦力は減ります。減ったぶんがどこにつくかは予測不能です」
莉磨は何かを呟く。恭悟はただ黙ってきいていた。
「…荒波慎吾、早見淋、早見篤史、鳳敬士、大和煉夜、田中友浩の6名が裏切る可能性、また平山進次がどこにつくか?」
「!」
恭悟は(赤信号ということもあるが)急ブレーキを踏む。
「莉磨!」
「黙ってて」
先ほどまで口をはさむきがなかった恭悟は何かを言おうとする。莉磨は何をいいたいかわかっているだろう。
「慎吾さんは……」
由哉は少し間を開けてから話だした。
夏休み前の帰りは早い。しかし校長と担任の話は長かった。
「ウザイ」
ゆかりは普段は使わない言葉を呟く。となりの桜木ルナは理由不明の早退をした。
「また、おいていかれるの?」
ゆかりはまたふと、呟いた。
静まる重い空気の中、由哉は答える。
「慎吾さんは80%淋ちゃんが95%篤史さんが90%鳳さんは70%煉夜さんは50%ヒロさんは……78%の確率で………裏切りません」
恭悟が安心したように溜め息をつく。
「平山さんは正直全くわかりません」
由哉の返答をきき小さく微笑む。
「ついでにきくけど二人はどうする?」
「契約は絶対です」
「ピアスしてんだから当たり前だよ」
莉磨の問いに二人は真剣に答えた。