25 始まりⅡ
25 始まりⅡ
零番隊の待機室はやけに静かで落ち着いていた。第2席紅夜捺輝はソファーに座り鞘におさまった日本刀をただみつめている。第3席架聖莉磨は捺輝の隣に座り紅茶をのみながら分厚い本を読み進めている。第4席暁ロイ(あかつきろい)はイヤホンをつけ大音量で音楽をきいている。第5席白水刹那は窓の外をただ見つめていた。
扉があき4人、中に入ってくるがみむきもしなかった。
第7席樋内隼戦は空いている席に座り足をくんだ。第8席木暮祐斗もまた、空いている席に座り足をくんだ。無意識なのか、近くにあるテーブルを右人指し指でゆったりとした一定のテンポで叩いている。第6席村中恭悟は莉磨に声をかけた。
「待機室にいるなんてめずらしい」
「任務前なの」
本を閉じ顔を恭悟へと向ける莉磨。
「零、肆、質番隊だけ上位8名と14席を集めてる。理由は……」
「本格的な戦いだから。零、肆、質の14席は新しい子だからテストをするんじゃない?」
廊下で足音がした。
経緯をききチームわけが行われている。静まる部屋に白石の声だけが響く。
「……第23チーム、架聖莉磨、忍足侑士、桜葉広大、田中友浩以上」
白石が言うと隊舎へ戻る。
無言のまま大剣を背負う。黒い大きめの厚みのあるケースをもち、隊舎を出る。インカムからは由哉ではなく竜一の声がきこえる。由哉より少し高い声に違和感を感じた。
各任務場所へと移動し準備を始める。
黒い大きめのケースをあけ無言のまま銃を組み立てていく莉磨。それを黙ってみている友浩。
「すみません。遅れました、由哉です。右からフォリンの大群が来ると思います」
インカムからきこえる声がききなれたものへと変わる。莉磨は立ち上がり下を見下ろした。風が吹いて紫色のスカートが揺れる。
「したいったほうがいいか?」
「ヒロにいかれたらもしものときこまる」
しゃがみ銃を構える。片目を閉じピンとをあわせ銃爪をひく莉磨。友浩は背負っていた大剣をおろしその場に座った。