23 接触Ⅴ
23 接触Ⅴ
剣をまじえ風切り音と衝撃波が体育館に響き耳が痛い。
「ち!」
舌打ちして剣を振るえばかわされかわりに相手の剣が頬を裂いた。
「……」
無言で頬から流れでる血を拭う淋。それをみて座ったまま笑い出す隼斗。
「なぁ。なんで煉獄姫か知ってるか?」
隼斗は笑みを浮かべ夏輝をじっとみた。
とにかく礼と謝罪をする。誰も怒らなかったことに驚く博紀。
「まぁ無事でよかったよ」
呑気にそういう矢野。
「心配して損したかもね」
敬士と笑っている平野勇一。
「篤史がいないって最初に気付いたんやで」
「たまたま」
仲がよい、いつも通りの久保と篤史。
「ほんまによかった」
優しい口調で話し微笑む平山。
このチームにきてよかったと改めて思う博紀。誰も何があったかはきかなかった。
隼斗は笑みを浮かべ夏輝をじっとみている。
「アイツは怖いよ。人格が変わる。呪術を使ったりもするしさ」
「?」
「ほらみろよ」
淋はさっきと雰囲気が変わる。ゆらりとゆれ消えた。
「わかるか?な」
隼斗が微かに笑みを浮かべる。
苦痛に歪む顔をみて淋は微かに笑った。
「遅い」
姿勢を低くし相手の足元へと滑り込む。
「左腕、右足、左足の順にきりおとし地にはいつくばり右腕で体を支える敵の頬を切り裂く」
隼斗が言うのと同時に動く淋。苦痛に歪む顔をみて淋は微かに笑って首をきりおとす。5人を相手に苦を感じてない。
「………」
隼斗は立ち上がり剣を作り出す。淋は剣を捨て一言いった。
「2分」
隼斗が動き始める。淋には羽がはえたように無数の直線が虚空へ向かい延びている。
「こおり」
子供っぽい声で言われた言葉と同時に隼斗が夏輝から離れた。地面が凍っていく。
「!」
夏輝は気付き真上に飛ぶが間に合わず中途半端な位置で足を氷に絡めとられた。
「ほのお」
淋が指を鳴らす。氷を伝い火が夏輝をおおった。
「逃げたか」
隼斗は溜め息をついた。