22 接触Ⅳ
22 接触Ⅳ
何事もなかったかのように金子と顔をあわせる月曜の朝。校長の長話をあくびをしながら体育館放送室で聞く。集会なんてこんなものだろうと諦めている淋。時計をみて更に眠気がます。運動部の表彰がないだけまだましだ。寝そうになり何度か大蔵に頭を叩かれた。
「なんかいる」
急に眠気がさめ回りを見渡す。感じたのは一つの妖気。集会が終るまであと3分。
「きおつけ。礼!」
少し早めに終る集会。移動を始める生徒。階段をかけおり様子をみに行く淋と金子。
体育館が静まりかえった。
眩しい光が目にはいる。躯に痛みがなかった。
「気が付いたか」
面倒そうに書類を片付けている広大。まわりにはあまり物がない。
「ここ……」
「ここは俺(壱番隊舎)の部屋。昨日宿泊ホテルから抜け出してどこに行ってたんだ?チームメイトの殆んどが探しにいったんだぞ」
「あ……すいません。ありがとうございました」
「俺はいいって。つか、サボってたし。俺じゃなくてさ、他のチームメイトと由哉と慎吾と村中恭悟と……誰だったかな。田中友浩とか早川拓也とかもいた気がする。とくに村中と瀬口詩織に礼いっとけ。村中がはこんで詩織が治療したんだから」
「あの、俺どんくらい…」
よくみればここは一人部屋でベットも勿論ひとつしかない。
「昨日の夜から昼頃まで」
広大はずっと博紀にベットをかしていたことになる。眠いのを堪えているのだろうか。若干疲れが見えていた。
「もう行けよ。俺は少し寝てから行くから。真っ直ぐ帰れよ」
博紀は慌ててベットからでる。一礼し広大の部屋を出た。
静まりかえる体育館。目の前にたつ男。
「誰?」
問うても答えはかえってこない。男が突然血を流し倒れる。
「本郷先輩!?」
金子が目を見開いた。この学校の卒業生。しかも部活の先輩だったから。
「本郷夏輝」
淋はボソッと呟いた。
「!」
淋は夏輝の動きを読み取り竹内の近くにより手で押す。
「へぇ」
夏輝が思わず声をもらす。夏輝の投げたナイフは淋と竹内の真中に落ちた。
「それで守ったつもり?」
夏輝が笑みを浮かべる。淋は剣をつくりだす。
「そっちじゃないんだなぁ」
夏輝の目線は金子にある。淋は動かない。夏輝が金子に向かって手をかざす。金子の目の前で、何か(・・)は弾かれた。
「ペンダントか…」
夏輝は残念そうな顔をし指をならす。後ろに現れた5人の戦士。5人は同時に淋に近付いた。