20 接触Ⅱ
20 接触Ⅱ
血を大量に流す。
「それは体力をつかうのね」
「!」
淋は体勢を崩し倒れる。金子が淋をギリギリで受けとめた。レイチェルも淋に続き倒れる。
二人に意識はなかった。
誰かがくる音がする。隼戦だ。
「クソ!間に合わなかったか………いや…レイチェル・ミョルニルの死体!?……まさかコイツ」
隼戦は息をのんだ。
「だから14か」
小声で呟く隼戦の瞳は脅えているようにも見えた。
「?」
「いや………それより早見淋が倒れてから何分たった……?」
隼戦は冷静を装っていた。「二分」
金子は淋を抱えたまま隼戦をみてはっきり答えた。
「!……無線が」
無線が入らないことに今更気付いた隼戦は舌打ちをした。しばらく誰もこないうえに隼戦は治療が出来ない。最悪の状況だった。
少し嫌な予感がしていた。風の流れを感じ肌が警告を出している感じだ。
「碧人も先にいって!無線が通じないから状況がつかめないけど……碧人なら平気」
「了解!」
碧人がスピードをあげた。しばらく無言で走りっぱなしだったぶん疲れがでる。
「ねぇ莉磨」
碧人が遠く離れているのを確認し恭悟は問う。
「カテゴリって何をもとに与えられるの?さもそもカテゴリって……」
「カテゴリは0から30まで存在しカテゴリ外は一つの条件を満たしていないもののこと。条件は基礎術が使えること。私達が今使っているのも基礎術の打ちに入る。基礎術が出来なければどんなに強くてもカテゴリはもらえない。また、0は特別で未知数の力を持つもの。1から5はあまり与えられず現在は白石さんとか侑士とかしかいない」
碧人の姿はもうみえない。まわりには誰もいない。その状況を確認し恭悟は問う。
「クイーンとキングの存在理由」
「……クイーンとキングは隠れた存在で本来は各有名家の長男や有力者しか知らないはずのもの。みんながいう美月家の長女と紅の血縁の長男がなる。今は私と捺輝だよ」
莉磨は無表情のまま話した。話し終ると黙った。なにか悩んでいるようにも見える。
「ここから無線が使えない。悪いんだけど恭はまわりをみてきてほしい。一周したら……」
莉磨と恭悟はピタリと走れのをやめちゅうにういている。
「わかった」
「………テレサ……本名は美月テレサ」
常に無表情の恭悟が少し笑ったような気がする莉磨。それにつられ微かに笑う。
「覚えておくよ」
恭悟はそれだけいってきた道を全力で走り戻った。