17 変わりゆく日常
17 かわりゆく日常Ⅱ
沈黙をきりひらいたのは金子だった。
「今度遊びにいかね?」
淋にとって遊びに行くことは危険な行為だった。しかし淋は迷わずうなずいた。
「どこにいきますか?」
「どっか」
金子らしい答えに淋は思わず笑った。淋が笑うと金子も笑った。歩く速さが少しゆっくりになりいろんなことをはなして帰った。
中央本部の入り口の大きな門にIDを通す。
自動的に門が開く。
中は静まりかえっていた。昼間だと言うのに人が出払っている。
「本部塔か…」
中央地区の中心部に位置する本部。そのまた中心にある本部塔の中にはいり地下へとおりる。正面にある扉をあけ中にはいると書類が山積みになっていてコンピューター以外の明かりはない、薄暗い。この部屋は収集室とよばれ主に求番隊がうかう、全てのデータのある部屋。
「莉磨か……」
白石がこちらに気付き呟くと数名がこちらを見たが直ぐに作業に戻る。捺輝と忍足侑士の姿はない。
「捺輝と侑士は?」
「二人は外」
荒波慎吾は手をとめることなく答えた。
「随分少ないのね」
よくみれば白石と慎吾、由哉と他4人しかいない。
「んなことより、今までの敵の記録をこんなかから出せ」
「こんなかって……」
机の上だけでなく広い部屋全てがうめつくされそうな量の紙の束。莉磨は嫌そうな顔をした。白石はそれをにらみはやくやれとうったえた。
携帯が鳴る。メールが一通届く。
from 本部 sb 変更 本文 零番隊第14席死亡。早見淋が14席とし他一つ昇格。第25席には中山美鈴が入る
席はナンバーとも呼ばれ特別なものであり14席は特別な中の特別、次の5席になる者に与えられるものだ。5席は5席で特別な意味があり特別な殺しの能力をもつ者がなりそれなりの実力がないとだめなはずだ。
「おかしいな……」
淋は携帯電話を開いたまま呆然としていた。
作業が終ったのは深夜で眠くてしょうがなかった。家にかえる気は起きないが隊舎にある寮はあまり使いたくなかった。
「どうしよう」
迷っているうちに眠気が強くなり収集室で寝てしまう莉磨。
「莉磨も変わったね」
由哉は何故かほっとした。昔の莉磨なら絶対に寝なかっただろう。信用されたのかそれとも、莉磨の考えが変わったのか。どちらだろうか。