13 もう一度
13 もう一度
淋と隼斗は中央本部に呼び戻される。
理由はひとつ。任務失敗のため。始末書を書き提出し次の任務へと移される。隼斗が淋をかばったためこれだけですんだ。
「ありがと」
「別に」
鋭い目つきで言葉遣いが悪いため冷淡に見えるが本当は優しい隼斗。そもそも莉磨と契約したのも弟・隼戦のためだった。
「……お前さ、何であのときあんなにあせってたんだよ……?」
「わかんないよそんなの」
「お前もただの人形じゃなかったんだな」
体育際当日に起きたアクシデント。フォリンの襲撃。潜入捜査を中止し戦った淋。隼斗も仕方なく戦った。
「別に……」
長い廊下を隼斗と淋は並んで歩く。本部棟から各隊舎へと繋がる廊下。
「じゃぁな」
隼斗が弍番隊舎へと入る。
「うん」
ひとり、零番隊舎まであるく。
「竹内くん…なんていうかな」
つい下をむいてしまう淋。
淋はどうしても竹内のことが頭から抜けなかった。
隊舎には寮47部屋と隊長室、 集会室が必ずある。あとは各隊の特徴にあった必要な部屋(治療室など)が備えられているだけで暇だ。部屋は一人部屋と二人部屋があり隼斗は一人部屋で部屋には本棚や机、イス、ベット家具以外はほとんどなにもない。
「隼斗!」
ドアの外で誰かに呼ばれる。久しぶりに聞いた声だった。
「何か用っすか?天王瞬弥隊長」
あまり好きではない行為だがドアをあけ部屋に入れる。
「フルネームで呼ぶなよ。それよりめずらしく任務失敗だってきいてさ」
瞬弥は少し笑い部屋のなかにはいる。
「俺も失敗ぐらいしますよ。瞬さんみたく完璧じゃないんで」
「俺も完璧じゃないさ」
窓からはいった光にあたり金髪が輝いてみえた。
携帯電話をみると一通のメールが届いていた。
竹内から。
from 竹内くん sb 無題 本文 話があるから学校の前に来て
「!」
淋は携帯電話だけを持って慌てて隊舎を出た。人並みの速さと体力しか持たないのにもかかわらず走って移動する。
「ハァハァハァハァ…」
学校についたときには息がきれていて一歩も動きたくなかった。
「竹内くん……とゆかり……?」
まさかゆかりがいるとは思ってなかった淋は少しちからがぬけた。