11 ソラトの実力
11 ソラトの実力
ソラトのその一言で校庭は誰かの血に染まった。
「えっ?」
それは竹内でも淋でも近藤でもなく、隼斗でもなかった。
「い…い…ん……ちょ…う…………?」
大蔵が勢いよく血をながしゆっくりと倒れた。
―動くな…淋!
隼斗は表情を変えずに淋だけに言った。
―今動けばお前の後ろにいる竹内海斗がこうなる
冷静な判断だった。確に動けば竹内が狙われる。それは淋もわかってた。
駆け寄りたい。
その気持ちを必死に押さえた。
「あれ?まだかな」
ソラトはもう一度笑みを浮かべた。
また誰かが倒れる。
金子だった。
叫び声もなにもあげずただ血をながし倒れた。
「金子先輩!」
我慢できなかった。つい動いてしまった。
竹内も血をながし倒れた。
「ぁ……ぁ」
淋のなかで何かが崩れた。何かはわからない。ただ冷静じゃなくなった。
―落ち着け!淋!
隼斗は何度も呼び掛けた。何度も繰り返した。
「崩れちゃったね。いろいろと」
ソラトは楽しそうに遊んで笑っていた。
「なっ!」
気付けばソラトはもう、そこにいなくて近藤の背後にいた。
「く……そっ…」
同じように血をながし倒れた。
「ちっ」
気付けば隼斗の方にいて隼斗は反射的に本能的に避けた。
「そこまでにしない?」
ソラトに言ったのは碧眼の少女だった。
「こんなところで本気をだすなんて大人気ないんじゃない?」
碧眼でクリーム色の髪で普通にツーインテールの少女と黒い瞳に赤っぽい茶色い髪の毛の少年の二人組。
莉磨と捺輝だった。