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足長おにいさん  作者: ふうりん
Episode.1
6/21

(6)


頬杖をつきながら真剣な視線を向けてくる男に観念して、それで済むのなら、と思いユメはポツリポツリと話し始めた。


「16年前――私が3歳のころ、交通事故で両親は死にました。そしてそれから、私は父方の祖母に育ててもらっていました。祖母は、たとえ私が死んでも、あなたが自立して生きていけるようになりなさい、といつも言っていました。だから、教育もちゃんと受けさせてくれたし、大学受験もするようにと言ってくれました。そして、私は昨年の春から、そこの大学の工学部に通えることになり、祖母は厳しいながらも、貯金と年金を切り崩して、私の学費を出してくれていました。でも、私はそれが申し訳なくて、やっぱり大学をやめて働くといったとき、祖母は珍しく怒って言ったんです……」



「しっかり勉強して、大学を出て、社会のために、そして人のために働きなさいって」


「良い人に育てられたんだね、君は」

男は少し掠れた声で言った。


「でも、その祖母も、死んでしまいました。祖母が亡くなった時、大学を辞めようとも考えました。でも、それじゃ、祖母の意志まで失くしてしまうことになる。そんな理由をつけて、私は祖母の貯金と保険で降りたお金を使って、大学に通い続けました」


ユメは一度言葉を切り、目を瞑った。


「そんなことをしていたから、きっと罰が当たったんです……」



「昨夜、叔母が現れて、突然、出て行けと言われました。大学も辞めて、もうすぐハタチなんだからやっていけるだろうと」


「……それで、君はもう諦めて、死のうとでもしてたわけか」

男はまた新しい煙草を咥えて、横目でユメを見据えた。さっきと打って変わって冷たい目だった。


「死のうとなんて……していません」


ユメは男を睨んで、反発した。


「ただ、どうすることもできなかっただけです」



ユメが言い終えると、男はぷっと吹き出した。



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