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足長おにいさん  作者: ふうりん
Episode.2
18/21

(18)

藤木は入り口の横にかけてあるにマフラーとコートを身につけて言う。

「ちょっと買い出し行ってくるよ。しばらくよろしくね」

「は……はい」

ユメは先ほどの体勢のまま、ドアに手をかける藤木の背中を見つめていた。


「それと」

藤木は少しユメの方に顔を向ける。


「もうユメちゃんをからかったりしないからさ。安心してよ」


一瞬自嘲にも見える笑みを見せて、藤木は店から出て行った。

嬉しい言葉のはずなのに、残されたベルの音は、なぜかまたユメの心とは反対だった。



一人になると、店内は一層寒く感じられた。

暖房は入っているものの、古い建物なのであまり効いていない。

「悪いことしちゃったな……」

ユメは椅子に腰掛けて、ぽつりと呟いた。藤木が置いていった布巾に指先が触れる。それをそのまま掴もうとした時、軽快なベルが鳴った。ユメはほぼ反射で立ち上がり、「いらっしゃいませ!」と言って入り口を見た。


「え……なんで? どうしてユメがここで働いてんの?」

「——早紀ちゃん」

早紀が立っていた。

なぜか偶然を喜ぶ様子ではなく表情に疑問が浮かんでいるようで、いつもの早紀ではないような感じがしてユメは戸惑った。

「この近くに引っ越ししてさ!大学の近くで求人探してたらここがちょうど募集してたから……。ごめんね! 言い忘れてたや」

「あ、そうだったんだ! ちゃんと言ってよー。びっくりするじゃん」

早紀がいつもの調子で笑ったので安心した。住み込みで働いているとは、なぜか言えなかった。こんなことは初めてだった。


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