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足長おにいさん  作者: ふうりん
Episode.2
14/21

(14)

錆びた空気。

湿気にやられた襖に、薄い灰色の壁。

すり減った畳が敷かれた六畳一間の、日当たりの悪い部屋。


藤木は、隅に敷かれた薄そうな布団に包まって眠っていた。

周りに誰も住んでいないせいか、部屋の中は静まり返っている。


ユメは、この空間がひどく苦手だった。


「店長、起きてください」

布団の横に膝をついて呼びかけてみるが、藤木は微動だにせず、死んだように眠っている。

「店長、店長…」と体を揺すった。それでも藤木は起きてくれない。

ユメは少し腹が立ったので、眠る藤木に文句を言ってみる。


「勤務を始めて3日しか経ってないただのバイトに、店まかせっきりにして寝てるなんて絶対おかしい。おっさんのくせに……何こどもみたいに……ぃっ!」


ぼすっ


3日前のように、また腕を引っ張られ、気づけば藤木の胸にダイブしていた。

どうやら藤木はこの手法が得意らしい。というより、何故いつも不意を打たれてしまうのか。

そんなことを思いながら、藤木の胸から体を起こそうとしたが、藤木の腕にそれを阻まれ、後頭部を手で掴まれて顔を藤木の胸元に押さえつけられた。


ちょっと待てよ。

これって、抱きしめられてないか……。


サァ……と血の気が引く音が聞こえた。これはまずい。

そう思って、ユメは必死に暴れたが、暴れるほどに不思議と布団の中に引きずられていく。


息苦しさと、藤木の力の強さに冷や汗が噴出してくる。

「てんちょ…店長!やめて!」


「君はまだ、自分の置かれてる立場が分かっていないみたいだね」

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