10 武者修行の果てに
(美紅さん、美紅さん)
<墓>に花を添えてから、
(俺が必ず、美紅さんを守ります)
若木は、墓石の裏に回った。
そこには、隠し階段があった。
***
「はぁはぁはぁ」
動く屍たちを蹴散らし、辿りついた、地下迷宮の最奥。
棺に手を伸ばした若木。
開けると中には、一巻の巻物。
「これが……!」
棺の巻物を手にした途端。
「我の眠りを覚ますのは、誰だ?」
響き渡る、地獄のような声と、黒い霧。
霧の中から現れたのは、
月の届かない地下迷宮なのに、
━━狼男⁈
若木の肩が跳ねる。唾を呑み、後ずさる。
「い、い、犬!!!」
若木は犬が大嫌いだった。
「噛むなよ、噛むなよ……!」
「……なんだ、ポップコーンじゃないのか」
「は?」
「ポップと関係ないくせにしゃしゃりでおって!
死ね‼︎」
「……なんだよくわからんが、こんなとこで死ぬわけにはいかないぜ!」
若木が緑リュックから<コーラ爆弾>を投げる!
コーラの缶が狼男に破裂する。視界を真っ黒に染める。
「ぐわぁぁ! コーラくさい‼︎」
「も一発! サイダー爆弾‼︎」
サイダーの缶が狼男に破裂。泡で、動きを止める。
「ぐわあ! サイダーくさい‼︎」
「━━とどめだ!」
鮮やかな緑の飛沫が、狼男を飲み込む!
「うわぁ、メロンソーダァァァ!!!!」
その、刹那。
嫌な音が、あちこちからした!
「しまった、やりすぎた!
━━崩れる!!」
そう、今の衝撃で、地下迷宮が崩壊し始めたのだ。
「ヤベえええぇぇ‼︎」
若木が光の速さでダッシュする。
「待てー!ソフトドリンク男ー‼︎
巻物返せー!!」
追いかけてくる狼男。
「ちっ。しつけーなぁ!」
若木が振り切ろうとすると、
「グワァァァァッッッッ‼︎」
狼男の絶叫が!
「なんだ?」
振り返ると、狼男が、崩れて崖になったところから、落下しそうになっている。
「まじかよ」
伸びてきた手が、けむくじゃらな手を掴む。
間一髪、若木は狼男を救出した。
だが、そのとき、若木のポケットから、青い何かが落ちた。
「走るぞ!」




