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第23話

 ぐんぐん走って行く。前にいる子たちを素早く抜かして、そのままシュートを決めた。


「白チーム2点ー」

「足はっや」

「シュートうまっ」


 今度は相手チームがボールを持っている。私はボールをバウンドさせている相手チームの子の横から、さっとボールをバウンドし奪いとった。

 そのまま反対方向に走り、至近距離からシュート。ボールは綺麗に入っていった。


「白チーム4点!」

「うますぎでしょ……」

「やば、これうちら圧勝じゃない?」


 今度は何人かが私をマークしたのだろう。傍にやってくる。私は走ってボールを持っている子の方へ向かった。

 またボールをとろうとしたが今度は傍にいた相手チームの子たちに阻止される。仕方ないので私は先回りしてボールを持っている子の前に来た。

 右へ行くフェイントをかけられたが見切り、そのまま彼女と同時に左へ行ってボールを奪う。

 すぐ他の子たちが追いかけてきたが、私は手加減しつつも彼女たちに追いつかれないように走った。そして引き離したまま今度はスリーポイント地点からシュートを決める。

 ボールは板にぶつかりするりと輪っかの中を抜けていった。


「白チーム7点!」

「まだあと2分も残ってる!」


 うーん、一人でやりすぎたかもしれない。今度はパス中心にしていくか。

 私はまたボールを奪い、それを一番空いていた子に投げた。

 その子は瞬時にボールをバウンドさせそのまま走る。しかし、すぐ追いつかれて周囲を囲まれた。

 私はなるべく彼女の投げやすい場所へ向かう。手を振ると彼女はえいっ、とボールをこちらへ投げた。しかし低空飛行したそれは容易にとられてしまう。

 私は急いでボールをまた奪い、そのまま敵がいないところへパスをした。

 ボールを受け取った子はなかなか足が速く、そのまま何人も抜かしてシュートする。……が、惜しくも外れ、敵に奪われた。

 今度は背の低い子だったのでなかなか奪い取れなかった。仕方なく私は敵の前に行き、フェイントをしかけ相手の行動を誘導しつつボールをとる。

 丁度相手ゴールのすぐ前だったが、付近は敵に囲まれていたので、思いきってそのままボールをゴールへ投げた。

 綺麗な放物線を描いたボールは、一直線へゴールへ進みごとんと落ちる。


「白チーム10点!」


 そのとき、ビー、ビー、とブザーの音が響いた。試合が終わったのだ。

 次の試合は休憩なので、私は壁の傍へ行って座る。うーん、やりすぎたかもしれない。流石に相手のボールを奪いすぎだ。

 反省していると、他のチームの試合が始まった。

 見ていると面白い。うーん、けっこう互角だな。一点とったりとられたり。互角の戦いだと見応えがある。

 あ、あそこ投げられるのに!あー、敵にとられた。やっぱり、試合中はどうしても視野が狭くなるのだろう。なかなかキラーパスも多い。

 結局、別のクラスのチームが勝ち、私のクラスのチームは負けてしまった。

 その後も試合を見ていると、時間はあっという間に過ぎた。


「集まれー」


 そんな合図と共に皆が一斉に先生の前に集う。私は小走りで列に並び、座った。

 先生がいくつかアドバイスをして、授業が終わる。

 久々のバスケ、楽しかった。やっぱり学校だとこういうスポーツができるのがいいな。でも、やっぱり手加減は難しい。あんまり手加減するとやる気がないみたいに思われるが、かといって普通にやっても周りの活躍を奪ってしまう。

 周囲の反感を買っていなければいいが、と思いながら、私は更衣室に行き、ささっと着替えを終わらせた。

 一度更衣室を出たが、タオルを忘れたことに気づいて戻る。そのとき、中から声がした。


「すごいよねー三浦さん。超人ってなんであんなに運動神経いいの?」

「まあ、あの子は私たちとは違う人間だから」

「でも、あんなの勝てるわけないよねー正直向こうには同情しちゃった」

「現役の戦闘隊員なんでしょ?そんな人に勝てたら逆にすごいよ」


 ……これは、嫌み的なやつなのか、それとも純粋に褒められてるのか、どっちだ?

 しかし、私はこんな中に入っていく勇気は出なかったので、会話が終わるまで待とうとそっと扉から離れた。

 そのまま適当にボールで遊ぶ。シュート、シュート。どこからやっても入る。流れ作業だ。

 つまらなくなったのでやめた。そのとき、丁度女の子たちが出てきて、更衣室の電気が消えた。

 今だ。私は更衣室に入って、ささっとタオルを取って出る。

 なんか、疲れたな……。

 私は肩に重いものを感じつつ、体育館を後にした。

 それから購買で昼食を買って食べる。うーん、サンドイッチおいしいな。

 そんなことを考えていると、背筋にぴりぴりとした感覚が走った。

 この感覚、エミュレイターセンサーだ。まだそんなに近くない。でも、強い。これは危険度A-2体分くらいはありそうだ。ただ、この反応……もしかして分裂群か?

 どうしようか。今日は流石に休みをもらってるし、依頼も来ていないようだし……うん、無視だな。こんだけ強いなら多分それなりに知能もあるだろうし、そんなにすぐ殺さなくても大丈夫だろう。……たぶん。

 そうして給食を食べ終えたはいいものの、エミュレイターセンサーの反応が若干増している気がする。なんか、こっちに近づいてるような。

 一応本部に連絡することにした。昼休み、教室を抜けて人のいない一階の職員玄関の方へ行き、レグラムを起動する。


「こちら三浦史詩夏。危険度A-2体ほどの規模のエミュレイター群が恐らく半径1km前後にいます」

『こちらEES。了解した。至急緑階級1名、赤階級5名、青階級6名を派遣する。ただし到着には五時間程度かかる見込みのため、もし民間人に危害が加えられそうな場合は三浦隊員に足止めを要請する』

「えっ、わ、分かりました」


 そんな……今日はせっかくの休みだったのに。

 私はがっくりしつつ、レグラムを閉じた。どうか、なにもありませんように。

 五限目。科目は英語。普通に授業を受けていると、突如レグラムがぶるぶると震えだした。ま、まさか……。

 私はげんなりしつつレグラムを開いた。


『緊急依頼。札幌市中央区の札幌市立第一中学校にて危険度B10体が発見されました。三浦隊員は速やかに討伐してください』


 危険度B10体!?だいぶ多いな?!

 近年まれに見るレベルの量に、私は思わず唖然とする。でも、まああの反応からしてそれくらいではあるか。

 クラスメイトたちはざわざわとして私を見ていた。うっ、流石にレグラムの声、聞こえてたよね……。

 と、同時に、校内の放送が突如鳴り出す。


『緊急事態です。グラウンドにてエミュレイターが発見されました。同個体は校内に侵入した模様です。生徒は落ち着いて速やかに屋上に避難してください』


「と、とにかく皆、屋上へ行くんだ!焦るな、押すな!」


 先生の一言で、全員が立ち上がってのろのろと動き出した。


「えー、嘘でしょ」

「怖い……」

「危険度Bって、めっちゃ強い奴だよな?そんなんが10体って……」


 そんな声があちこちから聞こえる。

 まあ、そう思うのももっともだ。私でも、危険度B10体と戦うことは滅多にない。というか、危険度B10体は黄階級の領分なのだ。私でもそんなに長い間足止めできるか微妙である。

 そのとき、ある男の子が声高らかに叫んだ。


「皆、大丈夫だよ!三浦さんが倒してくれるって!でしょ、三浦さん!」

「え」

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