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第22話

***




 実のところ、私は学校というものがいささか苦手になりつつある。

 まあ理由は色々ある。

 例えば距離をとってくるクラスメイトだったり、悪目立ちする体育の授業だったり、ついていけなくなってきた授業だったり。

 そう、授業。私がなにより悩んでいるのがそこである。

 私は一応地頭が良いはずだ。まあ、自分で言うのもなんなのだが。超人らしく物の飲み込みは早い方だと思う。しかしどんなに地頭が良かろうと全く勉強せず習ってもいない部分を突然解けるかといえば否だ。

 もちろん授業が終わる頃には、はいはいこういうことねと掴めはする。しかし暗記物とかになるともうダメだ。何も分からない。

 そんなわけで、私は学校が最近苦手である。うーん、若くして隊員になった弊害がここに濃縮されているな。

 私は憂鬱な気持ちになりつつ、リュックに必要な物を詰めた。といっても、大抵の物は学校に置いてあるので、私が持っていくのなんて筆記用具と下敷きくらいである。

 家を出て鍵をかける。一階に降りて外に出た。空は曇り空だった。

 静かに歩いた。学校まではすぐ近くだった。歩いて10分。しかし、周囲に生徒の姿が見当たらないので、にわかに不安になってくる。

 もしかして今日は代休か何かとか?行事があったのかも。それか私が時間か曜日を間違えた?

 色々心配事はあったが、とりあえず行くことにした。

 ついてみると、ちゃんと開いている鍵と校舎。恐る恐る教室まで行く。中を覗くと、三人生徒がいた。どうやら少し早く来すぎただけだったらしい。私は安心して教室に入る。

 視線を感じた。暫く見られている感じがあった。しかし、顔を上げて視線の方を見ると、彼らはさっと目を背ける。

 それが少し寂しかったりもして。でも、仕方ないと割り切った。普段来ていない、しかも超人の同級生なんて、気まずいに決まってるのだ。そんな反応になるのも無理はない。

 私はすぐ思考を切り替えて自分の席に座った。一応まだ席替えはしていないみたいだった。授業が始まる前に出来る限り宿題をする。

 正直普段は忙しくて宿題なんてする暇がない。戦闘隊員なので提出せずともある程度は許されるが、それでも限界はある。今のうちにやっておかねば。

 とりあえずやったりやってなかったりのワークを開いて問題を解き始める。数学はそんなに難しくなかった。証明は必要な条件さえ覚えれば後は大体分かった。

 数学のワークが終わったので、今度は英語を解く。実のところ、私は英語はほとんど習得している。隊員になるための座学に英語が含まれているからだ。

 更に、追加で第三言語、第四言語、第五言語も選んで学べたので、私はロシア語と中国語、そしてアラビア語を選んだ。今はどれも日常会話程度ならできる。

 おかげでワークはすぐ終わった。簡単だった。次にやったのは国語だ。現代文は私が苦手な教科だった。唯一対策しようにもできなかった。しかし、もう全問正解は諦めてそこそこに済ませる。

 そうしていると続々と生徒たちが教室に入ってきた。気づけば、チャイムが鳴った。

 先生ががらがらと扉を開けて入ってくる。実は未だに、私はこの先生の名前を覚えていない。


「よーし、ホームルームを始めるぞ」


 四十代くらいの中肉中背。眼鏡をかけた男の先生は、そう言って色々と連絡事項を伝えていった。正直私にはあまり関係のない話ばかりだった。どうせ行事などもあまり参加できないだろうし。

 先生は朝の会を終えた後、私の元へやってきた。


「三浦さん、無理して課題とか出さなくても大丈夫だからね。とりあえず授業を受けてみて、何か困ったことがあれば相談して」

「分かりました」

「あと、これこの前のテストの結果」


 そう言って渡されたのは、珍しく参加できたテストの結果だった。どれもまあまあというか、暗記物以外はそれなりにできていた。数学、英語は高く、社会、国語は低い。理科は中途半端だ。

 私はありがとうございます、と言ってそれを受け取った。


「それからこれ、また見ておいてね」


 大量の紙をどーんと渡される。色々な配布物だ。私は少しげんなりとした気持ちになった。この量を見るのか……恐らくほとんど使わないだろうに。

 しかしそれらもとりあえず受け取って、先生とはそこでさよならする。

 一旦、見てみよう。えーっと、これはほけんだより、これは学級通信、これは性についての講演会とやらの振り返りシート……うん、全部わりとどうでもいいな。

 私は一通り目を通しつつ、1限目の準備をした。

 授業が始まる。1限目は数学だったのでそれなりに理解できた。2限目は国語。古文をやっていた。正直よく分からなかったが、なんとか飲み込む。次は社会。とりあえず出てきた単語は全部覚えた。

 四限目は体育の授業だった。体育館へと移動になり、私は体操服片手に皆の後をついていく。私は体育館の位置も分からないのである。多分一人だったら学校で迷子になっていたと思う。

 なんとか体育館に辿り着き、着替える。同級生は皆友達と楽しそうに話しながら着替えている。そんな中ぽつんと一人で着替えていると、多少惨めな気持ちになった。

 我慢、我慢。

 一応、同じ学校に超人は一人いる。茜だ。しかし、クラスが四つ離れているのであまり話すことはない。そもそも向こうは私が学校に来ていることも知らないことがほとんどだ。

 話の合う人がいれば良いのだが、なかなか難しいだろう。皆積極的に私と関わろうとはしない。もう既に友達グループもできているみたいだし。

 着替えを終えて体育館へ行く。一番最初に来てしまった。やっぱり黙々と着替えると早いらしい。

 暫くして全員集まった頃にはチャイムが鳴り、授業が始まった。今日はバスケだった。


「チームに分かれて対戦するぞー」


 先生の言葉で、クラスごとに4グループ作ることに。ちなみに分けるのは先生が勝手にやってくれた。


「えっと、よろしく」

「あ……うん」

「よ、よろしく」


 私が声をかけると、同じグループの子たちは緊張したように答える。そ、そんなに怖いかな、私。

 落ち込みつつ、試合が始まる。私は早速ボールをとった。

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