第1話「2026年8月15日午後12時02分」
2026年8月15日。
日本列島が夏の熱気に包まれていた、その正午。
――世界は、まだ一つだった。
午後12時02分。
国際宇宙センターの監視室に、警告音が鳴り響いた。
「未確認天体、突如出現!」
スクリーンに映し出されたのは、軌道計算不能な巨大隕石。
それは昨日まで存在していなかった。
軌道解析はわずか数十秒で結論を出す。
「落下予測地点……日本寄りの太平洋」
世界中が凍りついた。
だが――
高度約1万メートル。
隕石は、爆発した。
核爆発にも似た閃光。
しかし衝撃波も、熱線も、放射能もなかった。
代わりに空から降ってきたのは、
金色の粉だった。
それは風に乗り、雲に溶け、海へと降り注いだ。
⸻
その瞬間を、
東京の片隅で見上げていた少年がいた。
「……なんだ、あれ」
田中瑛斗、18歳。
進路も夢も決まらない、どこにでもいる高校生。
隣には、幼なじみの河合皐月がいた。
「花火……じゃ、ないよね」
二人の瞳に映る空は、
ありえないほど金色に輝いていた。
⸻
翌朝。
太平洋上に、新たな島が発見される。
どの地図にも存在しない。
どの衛星写真にも写っていない。
国際連合は即日緊急総会を招集した。
日本首相・松田美由紀は断言する。
「これは災害ではありません。
――世界規模の転換点です」
1週間に及ぶ協議の末、
日本主導による「新島調査隊」の派遣が決定された。
⸻
そして、調査隊が島に上陸した瞬間。
彼らは、常識が崩壊する光景を目にする。
宙に浮かぶ大地。
剣と魔法。
異種族が共存する街。
まるで――
日本のアニメに描かれるファンタジー世界。
その世界の名は、
まだ誰も知らなかった。
後にこう呼ばれることになる。
――ドラードと。
そしてこの出会いが、
二つの世界を、
一つへと引き裂いていくことを。
まだ、誰も知らない。




