【第6章】 なぜ六脚脊椎動物類は絶滅したのか(2)
6-2 宗教による烙印(悪魔化)
〜中型知性種の迫害:文化衝突の帰結〜**
六脚脊椎動物類の絶滅を語る際、
単なる生態学的競合では説明し切れない要素が存在する。
それは「宗教的世界観」による排除であり、
特に中型知性種(スフィンクス、ケンタウロス、オルニス、天狗系統)との衝突は、
人類史の宗教意識の形成と密接に結びついている。
人類社会が複雑化し、
宗教的権威が政治的秩序の中心に据えられた時代、
“人に似て、しかし人ではない”
この存在は、宗教体系の枠組みに収まらない異端の象徴だった。
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◆ 1. “人間中心主義”という宗教的枠組み
多くの宗教体系――とくに
一神教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム)
古代国家宗教
東アジアの天命思想
は、
「人間が神の似姿であり、神の代行者である」
という根本原理をもつ。
この世界観は、
人間以外の知性生物を想定していない。
ゆえに、六脚知性種の存在は世界観を揺るがし、
人間は唯一特別ではない
神の似姿ではない種が存在する
神から授かった“支配権”の正当性が崩れる
という宗教的危機を引き起こした。
この時点で六脚知性種は、
生態競合を超えて宗教的脅威として認識される。
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◆ 2. 悪魔化のメカニズム:
“異形”を排除することで世界観が守られた
宗教体系が異形の存在を排除する方法は二つしかない。
1. 神格化して吸収する(スフィンクスの一部)
2. 悪魔として排除する(ケルビム以外の全種)
六脚類は多くの場合、後者――
悪魔化の道を辿った。
なぜか。
●(1)姿が“人に似て非なるもの”だった
顔や上半身は人間型
しかし四肢構造は異形
角・翼・尾などが存在
人類は進化論以前から
“人間に似た異形”に強い恐怖を示す。
これは心理学的にアンキャニー・バレーに属する現象であり、
六脚類はまさにその典型であった。
●(2)知性を持っていた
知性を持つ非人類は、宗教的秩序において競合者である。
「言葉を理解し、論理を語る異形の存在」は、
宗教が定義する“人間の特権”を侵す存在であった。
●(3)独自の文化体系を持っていた
ケンタウロスの埋葬文化、
スフィンクスの口述伝承、
天狗・オルニスの隠遁的文化。
これらは、宗教の布教にとって“排除すべき異文化”だった。
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◆ 3. 一神教圏における“ドラゴン/悪魔=六脚類”の構造主義
聖書の時代、ドラゴン(六脚大型種)の表象は
完全に“悪”として描かれるようになる。
● 旧約聖書:レヴィアタン(巨大蛇型=ナーガ系)
● 黙示録:大いなる赤い竜(六肢を持つ象徴)
● 聖人伝:聖ゲオルギウスの竜退治
● 中世美術:竜=サタンの化身
これらは単なる象徴化ではなく、
実在した六脚類の狩猟・駆逐行為の宗教的正当化だった可能性が高い。
人間と六脚類の競合が激化した際、
宗教はその行為に“正義”という名を与え、
駆逐を自然化した。
つまり、
> 宗教は六脚類絶滅の“思想兵器”として機能した。
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◆ 4. 中型知性種の迫害:
文化的衝突の末の沈黙
スフィンクス、ケンタウロス、オルニス、天狗――
これら中型知性系六脚類は、
宗教権威が成立すると同時に、
姿を消してゆく。
理由は三つ。
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◆ (1)“神に似せて造られたのは人間だけ”という教義
この教義のもとでは、
人間に似た知性を持つ異形は 存在してはならない。
ゆえに、
異形種は悪魔の化身
あるいは堕天した天使
あるいは神が試すための“誘惑者”
として排除された。
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◆ (2)六脚類の“複数脳(並列処理)”を魔術と解釈
六脚類特有の“三核脳”は、
人間が認識できない速度で情報処理を行い、
多視点認知
同時会話
超反応速度
を可能にした。
これが
“魔術”“妖術”“超常的知性”
として恐れられ、宗教的迫害の理由となった。
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◆ (3)文化的統一を求める国家宗教との衝突
古代国家は、
統治のために“単一の世界観”を必要とした。
多様な知性種が共存する状態は、
権力構造の安定にとって致命的であったため、
宗教権威は六脚類の排除を暗黙に後押しした。
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◆ 5. 六脚類の“歴史からの消去”
宗教的迫害の結果、六脚類は
史書
伝承
美術
彫像
記録
のすべてから“象徴化”される。
彼らの実在性は排除され、
記憶は
天使
悪魔
妖怪
魔物
幻獣
という抽象化された枠に押し込められた。
この過程こそが
六脚類が“神話化”した理由であり、
同時に“絶滅した”理由そのものである。
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◆ 結語
六脚脊椎動物類の絶滅は、
単なる生態系競合ではなく、
**宗教思想と文化統合の圧力によって引き起こされた
“知性種間の歴史的衝突”**である。
宗教は彼らを悪魔化し、
排除し、
記録から消し去り、
象徴へと変換した。
こうして六脚類は、
生物史から姿を消し、
“神話の生物”としてのみ残った。




