【第6章】 なぜ六脚脊椎動物類は絶滅したのか(1)
6-1 人類との縄張り競合
六脚脊椎動物類(Hexavertebrata)が地球上から姿を消した理由を考察するうえで、
最も重要な要因は 人類との生態的・文化的縄張り競合 である。
大型・中型の六脚類は、いずれも人類と同じ「陸上生態系の上位ニッチ」に位置していたため、
弱肉強食の生物学的競合だけでなく、
文化・宗教・社会構造をめぐる衝突も必然的に発生した。
本節では、六脚類絶滅の主要因としての「人類との競合」を、
生態学・文化史・神話学の各観点から整理する。
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◆ 1. 生態的競合:同じ“上位捕食者”を共有した宿命
六脚類の大型種は、
食物連鎖の最上位に位置する捕食者であり、
人類の狩猟活動と縄張りを直接重複させていた。
● 人類と重なった主な資源
大型草食獣(シカ、バイソン、ウマなど)
水場・谷筋・洞窟などの地形資源
安定した移動ルート
高地・森林といった生息域のコア領域
特に人類が群れで行動し、
火を扱い、
武器を持ち、
組織的狩猟を始めた時点で、
大型六脚類は 人類と“完全競合”する生物群になってしまった。
これは生態学的に見て最も危険な状況であり、
高確率で片方が駆逐される形で決着する。
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◆ 2. 中型知性種との“文化的衝突”
スフィンクス・ケンタウロス・有翼人といった中型知性種は、
集団生活や道具使用・限定的な文明性を持ち、
人類と同じレベルの“社会的動物”であった可能性が高い。
これは以下の理由で衝突を生む。
●(1)社会領域の重複
両者とも
集落形成
共同狩猟
子育て
衝突回避ルール
を持つ“社会的動物”だった場合、
縄張りの重複は単なる資源争奪ではなく、
文化圏の衝突になる。
●(2)言語・信号体系の違い
異種間社会は、
コミュニケーション誤解 → 警戒 → 敵視
の連鎖を生みやすい。
●(3)精神的優位性の争奪
中型六脚類が高度な記憶力・並列処理脳を持っていたとすれば、
人類はそれを脅威として認識した。
→ まさに“異形なる知性”は最初に迫害される。
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◆ 3. 宗教的・神話的迫害の始まり
人類社会の宗教構築が進むと、
異形の生物は “神の側の存在”か“悪魔”かの二極化で分類されるようになる。
特にアブラハム系宗教(ユダヤ・キリスト教)は
人間を「神に似せて作られた唯一の被造物」と定義したため、
姿の異なる知性種は “神の秩序の異物” と認識される。
その結果:
六脚類は悪魔視
ドラゴンは“サタンの象徴”へ
有翼人種は“堕天使”に分類
ケンタウロス・スフィンクスは“野蛮の象徴”として排除
宗教的迫害は、生態的脅威よりも強力で、
人類側に“殲滅”を正当化させる力を持つ。
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◆ 4. 集団狩猟の発達と火器の導入
人類は以下の技術によって、
六脚類を圧倒する存在になっていく。
● 火
六脚類の大型種は高体温維持が苦手だった可能性が高く、
火は最大の脅威となった。
● 石槍・弓矢
翼や膜構造、目・関節など弱点が多い六脚類には致命的。
● 騎兵・犬の家畜化
特にグリフィン・ケンタウロスなどの中型種は
“俊敏性の優位”を失う。
● 火薬武器
中世後期以降、大型六脚類は存在し得なかった。
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◆ 5. 六脚類は出産数が少なかった
知性種・大型種に共通するのが
“少産” である。
もし六脚類の多くが
高知能
社会性
長寿命
二〜四胎程度の出産
だった場合、人類の
大量繁殖
高い移動性
集団戦闘能力
に対抗できなかった。
→ 個体数での敗北は絶滅を意味する。
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◆ 6. 存在証拠を“文化的に破壊した”可能性
人類が六脚類を排除した後、
その痕跡を宗教的・文化的に“抹消”した可能性がある。
六脚類の遺骸を悪魔祓いとして焼却
建築物・洞窟の痕跡破壊
文献の宗教的編集
証拠の神話的象徴化
世界各地の“ドラゴン殺し”伝承の横展開
ドラゴン伝承が「英雄の象徴」として再利用されたことで、
本来の“生物学的存在”としてのドラゴンは歴史から消えた。
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◆ 結語
六脚脊椎動物類が絶滅した要因の第一は、
人類という異常な捕食者との競合であった。
六脚類は、
人類と同じ生態ニッチ
同じ移動ルート
同じ食料
同じ営巣地
同じ社会性
を共有したため、
“共存できない関係”にあった。
そして人類が、
文明・宗教・組織戦闘を手に入れた時点で、
六脚類は競争に敗北し、
生態系から消滅した。




