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【第5章】 大型化ルート:竜・グリフィン・ナーガ(5)

5-5 “悪魔”と呼ばれた理由:六脚類と宗教の対立


六脚脊椎動物類が大型化し、人類と同時代に共存したと仮定する場合、

その文化的扱われ方は単に「野生動物」ではなく、

宗教的・象徴的敵対者として構築された可能性が高い。

人類は未知の形態や異質な知性を前にしたとき、

しばしばそれを“神”か“悪魔”のどちらかに分類した。


本節では、六脚類が世界の宗教史において

“悪魔”と同一視されていったプロセスを、

文化史・生物学・社会心理学の三側面から考察する。


ーーーーー


◆ 1. “人型に似て人ではない”存在への根源的恐怖


六脚類の知性系統(スフィンクス型、ケンタウロス型、有翼人型)は、

人間と同様の社会性や言語的行動を持ちながら、

形態的には「人間ではない」という二重性を持っていた。


これは、文化人類学で

“不完全な模倣者(uncanny imitator)”

と呼ばれるカテゴリーに該当する。


人間は、自分に似て非なる存在を本能的に恐れる傾向があり、

それは原始宗教において“禁忌”や“悪性の精霊”として体系化される。


六脚類の知性型は、


顔は人に近い


上半身は人型


しかし脚数が違う


あるいは翼がある


動作が人間離れしている

という特徴を持つため、

まさに“異形の近似者”として畏怖の対象となりやすかった。



この恐怖構造は、後世の宗教で「悪魔の姿」として表象された。


ーーーーー


◆ 2. 一神教が導入した世界観の“排他性”


六脚類が“悪魔化”されていった最大の要因は、

一神教の成立と密接に関係している。


● 一神教の成立


“唯一の神”を絶対とする


“創造物”を明確に分類する


“神の形に象られたもの=人間”という思想が誕生


それ以外の知的生物は排除対象となる



ここで問題になるのは、人間以外の“知性を持つ存在”である。


六脚類の知性型(スフィンクス、天狗、有翼人など)は

高度な社会構造を持ち、人間と意思疎通可能だったと推測されるため、

一神教の神学体系にとっては“例外の存在”となる。


宗教は例外を許さない。

ゆえに六脚類は


> 神に似せられざる者=悪魔的存在




として体系化されていく。


これが、キリスト教圏に登場する


翼を持つ悪魔


動物的四肢+人型胴体


角・尾・異形の顔

などの典型的“悪魔像”の原型となった可能性が高い。


ーーーーー


◆ 3. 競合と対立:人類の生息域拡大で“駆逐対象”へ


六脚類が山岳層・森林層・河川沿いに生息していたとすれば、

人類の農耕・牧畜・国家形成が進む過程で

必然的に縄張りが衝突する。


特に大型の六脚類(ドラゴン、グリフィン、ナーガ系)は


家畜捕食


水場の支配


森林資源への依存

を通して、人類の生活圏と競合した。



その結果、


● 人間から見れば → 脅威


● 宗教から見れば → 邪悪な存在


● 文化伝承では → “討伐すべきもの”


という図式が成立した。


聖ゲオルギウスの“ドラゴン退治”伝説は、

この対立構造の象徴的な物語である。


ーーーーー


◆ 4. “討伐の正当化”としての悪魔化


六脚類が実際に知性を持ち、社会を築いていたとすれば、

人類がそれを排除する行為は倫理的な問題を孕んでいたはずである。


しかし、宗教的に


> 六脚類=悪の象徴




という図式を作ってしまえば、

討伐・排除は“正当な神の行い”として理解される。


中世ヨーロッパの魔女狩りや異端審問が

“悪魔との関係”を口実として行われたように、

六脚類に対する迫害にも宗教的正当化が加わった可能性が高い。


ーーーーー


◆ 5. “悪魔化”された具体的特徴


六脚類の形態は、そのまま宗教的悪魔像のテンプレートとなった。


六脚類の特徴悪魔像としての変換


追加の肢(6本)“異形の足”

狭角・触腕“ホーン

尾の第2脳や神経節“悪魔の尾”

翼(有翼人・グリフィン型)“堕天使の翼”

人型+獣脚(スフィンクス型)“サテュロス・バフォメット”

並列処理脳による多視点認識“悪魔の千の目”



つまり悪魔像とは、六脚類の生物学的特徴を

宗教的記号として再構成した結果と考えることができる。


ーーーーー


◆ 6. イスラム・ヒンドゥー・仏教圏における“中立化”


興味深いのは、

一神教で六脚類は悪魔化したが、

多神教では“神聖視”された点である。


ヒンドゥー → ガルダ、ナーガ、シヴァの複数腕


仏教 → 阿修羅、千手観音


日本神話 → 天狗、八咫烏、龍神


エジプト → スフィンクス、ホルス



これは、多神教では“異形の知性体”を

神・守護者・超越的存在として扱う余地があったためである。


つまり六脚類は、宗教圏によって



悪魔


霊的守護者



という三つの異なるカテゴリーに分けられていった。


ーーーーー


◆ 結語


六脚脊椎動物類が“悪魔”と呼ばれた理由は、

単にその形態が奇異だったからではなく、


人型類似への恐怖


一神教の排他性


生息域の競合


討伐の正当化


宗教的記号化


伝承の再構成



といった複合的要因によって

文化的に悪魔へと変換された結果である。


つまり、『悪魔』とは人類の想像の産物ではなく、

“かつて共存していた六脚類の文化記憶”が

宗教的枠組みによって歪められたものかもしれない。

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