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【第5章】 大型化ルート:竜・グリフィン・ナーガ(4)

5-4 水生巨大蛇=ナーガの系譜


南アジア・東南アジア・チベット・中国南部などに広く分布する

巨大蛇型の精霊・神格――ナーガ(Nāga)は、一般には水棲の蛇神と解釈されている。


だが、その描写にはいくつかの“生物学的矛盾”が存在する。


ナーガはしばしば巨大で、直径1メートル以上、全長10~20メートルとされる


長距離の遊泳能力を持ち、湖・河川・地下水脈を自在に移動する


高い知性と社会性を示す伝承がある


水陸双方で活動し、しばしば“半人半蛇”として描かれる


身体が異様に太いわりに“しなり”が大きく、蛇の筋構造と一致しない



これらは現生の爬虫類的巨蛇アナコンダ・ニシキヘビでは説明不能であり、

むしろ**六脚脊椎動物類の“水棲退化型”**と解する方が整合的である。


本節では、ナーガを六脚類の大型水生分岐として再構成する。


ーーーーー


◆ 1. 六脚脊椎動物類の“水棲回帰”は不自然ではない


六脚類の分岐を考える上で、

大型化ルートの中に“水棲回帰”の群があったと仮定するのは合理的である。


水環境は、


重力の制約が大きく緩和される


巨大体躯の維持が容易


捕食圧が安定する


陸上外骨格の制約が外れる



という利点があり、

巨大化した六脚類が水へ戻ったとしても不思議ではない。


有力な候補は、

**外骨格を完全に失い、軟骨性内骨格を強化した“蛇型六脚類”**である。


六脚類の祖形が軟骨性支持構造を持っていた以上、

水棲化により硬骨化を避け、

柔軟な“鞭状の体幹”へ移行した可能性が高い。


ーーーーー


◆ 2. ナーガの“異様な太さ”は蛇では説明できない


ナーガ伝承における特徴は、現生の蛇類と一致しない。


●(1)蛇より著しく太い


人の胴体を容易に超える太さは、蛇類の筋節構造では支えきれない。

筋節ミオメアの配置が均一な蛇類は、直径の増大に比例して運動能力が低下するためである。


ナーガ伝承の“太さ”はむしろ、


軟骨性の中心支持軸+周囲の厚い筋層


という、六脚脊椎動物類の体幹構造に近い。


ーーーーー


●(2)水陸両棲性


巨大蛇は基本的に水中で活動し、水陸両用ではない。

対してナーガは


地下水脈




地上


神殿



あらゆる環境を往還する。


これは、水生哺乳類アザラシ・カワウソの柔軟性とも一致しない。


水生回帰した六脚類であれば、


水中 → 推進に特化


陸上 → 狭い空間を移動可能(肢の退化)



という進化の辻褄が合う。


ーーーーー


◆ 3. ナーガの“人頭蛇身”は、知性を持つ旧型六脚類の名残


ナーガは文化によって以下のように描かれる:


上半身が人型、下半身が蛇


人面蛇身


蛇の上に冠を載せた“王”の象徴


鱗をもつ人型の亜人



これは、単なる象徴化ではなく、

知性系六脚類が水棲退化した形態と解釈できる。


六脚類の中型グループには、


スフィンクス


ケンタウロス


有翼人オルニス



など、人型の胴体+獣的下半身を持つ種が複数存在する。


この“上半身だけ人型を維持する”という構造は、

知性維持に必要な頭部・胸郭のみを温存し、

下半身を生態適応に合わせて変化させる六脚類特有の進化様式として説明可能である。


ナーガの人頭蛇身は、

知性系六脚類が水棲化し、脚を完全に消失させた最終形態である。


ーーーーー


◆ 4. 六脚類由来の“副脳構造”がナーガ伝承の知恵性を説明する


ナーガは伝承上、極めて高い知能と精神性を持つ。


仏教では地下世界の守人


ヒンドゥーでは水と知識の守護者


川を司る“蛇王”


グナイ(智の象徴)として扱われる場合もある



巨大蛇の脳容量では説明できない高度な知性は、

六脚類の特徴である**三核脳(並列処理脳)**の名残と考えれば説明可能である。


水棲回帰に伴い、

視覚情報は低下しても、


振動感知


水圧察知


化学感覚


方向定位



が“脳の別領域”で並列処理されていたとすれば、

人類から見て“知恵ある存在”と認識されても不思議ではない。


ーーーーー


◆ 5. ナーガが“大蛇”として語り継がれた理由


なぜ、人々はナーガを“巨大な蛇”として記憶したのか?


理由は単純である。


六脚類の脚は完全に退化していた


水棲化により体が細長くなった


鱗が強調され、外見が蛇に近づいた


人間社会と接触する頃には、ほぼ“蛇の形態”だった



つまり、人間が接したのは

すでに“巨大蛇状に変化しきった六脚類”だったのであり、

原初の六脚構造は人類が知る前に消失していた。


ーーーーー


◆ 6. ナーガは六脚類の“最終的な隠れ種族”である


大型化ルートの六脚類は、陸上で人類と競合し、

ほとんどが討伐・駆逐によって姿を消した。


しかし、水棲回帰したナーガ型だけは、


人類の捜索・狩猟領域外だった


洞窟・地下水脈に潜むことで隠遁できた


個体数は少ないが長寿であった



という理由から、

もっとも長く生き残った六脚類の末裔と考えることができる。


ナーガ伝承が近世まで生き残っている事実は、

彼らが“比較的最近まで存在した”可能性を示唆する。


ーーーーー


◆ 結語


ナーガは蛇ではない。

爬虫類でもない。

六脚でもないが、六脚類の“退化した末裔”である。


外骨格を完全に捨て、

内骨格を軟骨性へ特化させ、

脚を失い、水中生活へ回帰し、

知性だけを残した――


その進化の果てが、ナーガという巨大水棲生物であった。


ナーガ伝承は、

六脚脊椎動物類の“最後の影”を映す文化的残像である。

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