【第2章】陸上で分岐した六脚脊椎動物類(1)
2-1 30〜80cmの初期陸生六脚類
六脚脊椎動物類(Hexavertebrata)が海から陸上へ進出した初期段階において、その体サイズはおおむね30〜80cmの範囲に収束していたと推測される。
この値は、化石記録の欠落を前提にしつつも、生物力学的・生理学的な制約から導かれる『最も合理的な推定値』である。
本節では、この体サイズがどのような意味を持ち、六脚脊椎動物類のその後の多様化にどのような影響を与えたかを論じる。
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◆ 1. 陸上移行時の体サイズは『生存可能域』で決まる
海中生物が陸へ進出する際、その体サイズは重力負荷・脱水・温度変動の三要素に大きく左右される。
◆(1)重力負荷
外骨格+軟骨構造では、大型体躯は気中で自重を支えることが難しい。
ユーリプテリド規模(2m超)は陸上ではほぼ自立できない。
→ 小型化は必須だった。
◆(2)脱水耐性
表皮が完全に外骨格化していれば脱水は比較的抑えられるが、六脚脊椎動物類は『外骨格の縮退途中』であったため、脱水リスクが高い。
→ 身体表面積あたりの体積が大きすぎても、小さすぎても不利。
→ 30〜80cmは脱水とエネルギー保持のバランスが最良。
◆(3)温度変動
古生代〜中生代初期の気候変動は激しく、浅い湿地〜沿岸域は日射の影響を強く受けた。
→ 一定の体積がなければ温度変化に耐えられない。
→ しかし大型化すると熱放散が困難。
結果として、初期六脚類の生存可能域は30〜80cmの中型サイズに自然と収束する。
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◆ 2. このサイズは『機能的六脚歩行』の最適領域でもある
六脚構造(3対6肢)のもっとも重要な利点は安定性の高さと速度の両立である。
しかし、それが発揮されるのは「肢の振り幅と体重が適正範囲」に収まったときだけである。
◆ なぜ30〜80cmか
30cm未満
→ 肢が短すぎて六脚の利点(常時三点支持)が消失
→ 昆虫に近くなりすぎ、脊椎的歩行の意味が薄くなる
1m以上
→ 六脚で支えられる体重を超え、外骨格が負荷に耐えられない
→ 内骨格が未発達な段階では破綻する
よって 30〜80cmが六脚構造の歩行効率が最も高い領域となる。
このサイズは、後の
・スフィンクス
・ケンタウロス
・グリフィン
・ドラゴン
など『大型六脚類』の祖形として十分な能力を持っていた。
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◆ 3. 初期六脚類は『肉食性の中型捕食者』だった可能性
陸上における中型捕食者の体長は、環境最適値として30〜80cmに集中しやすい。
例:
・クモ型捕食者(鳥類・小型哺乳類)
・小型恐竜
・肉食鳥類・大型トカゲなど
初期六脚類も同じように、小型脊椎動物や節足動物を捕食する中型捕食者だった可能性が高い。
六肢歩行は
・高速移動
・急角度旋回
・崖地形での安定行動
に、適しており、沿岸湿地〜乾燥地帯へ急速に分布を広げたと推測される。
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◆ 4. この『中型期』こそが六脚類の分岐を生んだ
30〜80cmという体サイズは、六脚類の進化における『分岐点』となった。
このサイズは
・巨大化への潜在力
・微小化と外骨格特化(昆虫化)への可能性
・知性化と社会化(人型六脚類)への道
・翼の獲得(有翼人・グリフィン種)への発展
すべてを許容する『中立サイズ』である。
ここから六脚類は
・小型化ルート(外骨格→昆虫へ)
・中型知性ルート(スフィンクス・ケンタウロスへ)
・大型化ルート(ドラゴンへ)
・翼化ルート(有翼人・グリフィンへ)
と分岐していった。
つまり、この『30〜80cmの初期陸生六脚類』は六脚脊椎動物類のー「進化的ハブ(中心点)」ーだったといえる。
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◆ 5. 人類との接触はまだなかった
六脚類が初めて陸に上がったのはデボン紀末〜石炭紀初期であり、人類どころか哺乳類の原型すら存在しない時代である。
そのため、この段階の六脚類は、人類と関係する神話生物(スフィンクス・ドラゴン等)の『太古の姿』ではあるが、文化を共有するほどの知性はまだ持ち合わせていなかったと推測される。
知性化や人類との交錯は、もっと後の進化段階(中期〜後期六脚類)で起きる。
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◆ 結語
初期の陸生六脚脊椎動物類は、30〜80cmの中型捕食者として陸上に登場した。
このサイズは、
・重力・生理・脱水・温度に最適
・六脚歩行の機能が最大化
・多様な進化ルートが可能
・昆虫化・大型化・知性化の起点になる
という、極めて重要な意味を持つ。
この『中型期』が存在したからこそ、後の六脚類の多様な進化――
ドラゴン、スフィンクス、グリフィン、有翼人、ケンタウロス――
が成立する基盤が整えられたといえる。




