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二話 不吉 -ふきつ-




2050年5月2日。


その日は、ゴールデンウィークの中間日であり、多くの学生と社会人が最も忌み嫌う日でもある。


そう、この日はゴールデンウィークとは関係ない、ただの平日だ。


東京都新宿区にある高校に今年入学したばかりの奏汰 英士は、欠伸噛み殺しながら教室に入った。

まだ一ヶ月程度しか経ってないが、それぞれのグループが既に生成されつつある。


英士もグループとまではいかないが、友達の輪の中に存在しており、ちょうど自分の席の周りに集まっていた二人の友人に「おっす」と声をかけた。


一人は高校デビューで染めたと意気揚々に語っていた茶髪の男子高校生。

もう一人は特にスポーツをしてるわけではないがガタイだけはいい男子高校。


「よ、英士」

「おはよう奏汰くん」


「ん、もしかして昨日のオカ研板の話ししてた? 」


オカルト研究掲示板、略してオカ研と呼ばれるサイトなのだが、この学校にはすでにオカルト研究会略してオカ研があるのでそれを避けるためにオカ研板となった……その話題を聞きながら英士は自分の席に座った。


「あー昨日さ、またあの例の科学者が先月の事件の真相色々書いててさあ、まあ耶麻凪(やまなぎ)君が見つけたんだけどね」


「え、更新あったの? 」


と英士は耶麻凪 陽(やまなぎ ひなた)に話を振った。


「おう、健太(けんた)のやつとホラー映画見てたんだけど、お約束(お色気)シーンが長ったらしくてその間にオカ研板漁ってたら急に来てさ」


「ふむ……」


「で、急に例の科学者、あ、SMね? がまたつらつらと書いてて……」


「耶麻凪君が読み上げてたの僕は聴いてただけなんだけど、今回のも信憑性は低い……かな? 」


そう言うと高橋 健太(たかはし けんた)はチラリと陽に目を配る。


「えー……そうかねえ、SM……前から思ってたけど、こいつのハンドルネームちょっと如何わしいな……まあそれは置いといて、今回の内容は一ッッッ気に真実味が増したんだぜ!? 」


「というと? 」


英士は両手を顎に置いて、興味津々の表情を作っては陽に期待の眼差しを送る。

陽はそれに応えるかのようにゔぉっほんと大袈裟に咳払いをした。


「いいか、SMの全文を読み上げるが、『襲撃者の内一人とコンタクトが取れた。彼の犯罪衝動は黒煌による原因とみて間違いないが、やはり不可解な点がある。一つは何がトリガーとなって犯罪行為に及んだのか。もう一つは、黒煌とは違う何かの要因があるのか。上が抑えるまで引き続きコンタクトを取り続ける。しかし、NYの頭が市民を抑えつける技量があるなんて到底思えない、とC博士はぼやいていた。恐らくJPもその内大きな規制が入るに違いない。そうなる前に、協力者を待たず、無事な容疑者を逃がす事になる。T先生へ』……だ」


「後半口乾きすぎて変な声でてたぞ」


「うるへー、まあ今のが原文ママなわけだが……」


陽は持ってきたミネラルウォーターをガブリと大きな一口で飲み込み、続けた。


「相変わらずなーに書いてんだか、分からん」


「だろうね……僕もこの人の文書理解出来なかった……」


「聞いた感じ、先月の事件で捕まった奴らとコンタクト……留置所とかで会って話した? っていう内容があったよな」


「ああ、そこはそこまで重要ではない」


陽は、健太と英士に指でチョイチョイとこっちに近付けと促し、二人はお互いに? を浮かべながら陽の顔に近づく。


「書いてあることが本当なら、やっぱりやべーぞあの黒い光の柱、しかも政府がぜってー裏で操ってる」


「その根拠を早くお聞かせ願いたいね」


「おう、いいか? 注目すべきは、NYからの文だ」


陽は自分のスマホの中に入っているファイルを開き、二人に見せた。


「NYの頭……そのまんまの意味だとニューヨークの市長だとか、別の意味で最も近い者ならアメリカの大統領ってわけだが……つい最近あったよなあ? 向こうの方でも、こっちの方でも、記者会見」


「日本は覚えてる……アメリカもあったのか? 」


「それがあったんだよ、しかもアメリカだけじゃない! オーストラリア、フランス、エジプト、あらゆる場所でその都市のお偉いさんがあの柱に付いて触れて、関与を否認してるのさ」


「んー、あれ、そーいやネットではあの柱の事、あんま触れられてなかったな…… 」


御名答!! と言わんばかりに指を鳴らす陽。


「そうなんだよ、おかしいんだよ! いくらこの本文に書かれてる事が事実でも、アメリカ国民がそんな美味しいネタを黙ってるわけがないんだ。あれがなんなのか、お互いファックファック言いながら議論しあうのが奴等の性分さ」


「それほかの国にも同じこと言えるけどね」


「ま、それもそうだな。しかし……」


陽が次に指差したのは、彼の〜からの文である。


「こっから見たら分かるけど、この科学者は既にあの柱が何なのか見当が付いてるらしい。オマケに名称まで決めてやがる」


「これなんて読むんだろ……こっこう? 」


「それであってるはず、でだ」


「陽の言いたいこと、分かった」


白熱していた陽を遮り、英士は淡々とした口調でそう呟いた。


「ふぇ」


咄嗟の事だったので、陽は素っ頓狂な声をあげてズルっと滑る動作をした。


「陽がこの後言いたいことって、このC博士の事。このC博士ってのは実は実在する人物で……写真あるんだろ? 」


「ああ、うん」


陽は渋々フォルダから件のC博士の顔写真や、海外の科学雑誌のスクショを取り出した。


「この人か」


英士がスマホの先に映る人物に指差す。

その写真は、どうやらその博士が若い頃の写真なようで、トンガッた髪型に若干ひきつつも、名前の欄を見る。


カルディ博士、それがC博士となるわけだ。


「耶麻凪君ほんとすごいよね……あの少ない情報量からこの人を特定するなんて……間違ってる可能性あるしもしもそうなら間抜けだけど」


「おい最後」


「それに関してはどうやって特定した……というか確信したんだ? 」


「普通に名前の頭文字がCのニューヨークもしくはアメリカ全域の科学者を一個一個サイトで見に行って、関連性のあるキーワード入力していったらこの人が出てきたから」


「……なんか、うん」


「判断材料がそれだけ……? 」


「でもこの人で間違いないと思うぞ! ほら、ここにも書いてあるけど、四次元の空間を産み出す研究してる人なんだぞ、しかもSNSの方も見てみろよ」


四次元がなんの関係性を示してるんだ……と英士は心のなかで苦笑しながら陽のスマホを引き続き覗く。


スマホの画面にはカルディ博士のSNSが映る。

数年前にアカウントを作成していたらしく、呟き(投稿)が多く、ほとんどが英文か海外で言うところの絵文字で埋め尽くされている。

陽はカルディ博士のアカウントの一番上にある自動翻訳された呟きに無言で指を差す。


「『空がいつもより暗い:[』? なにこれ」


すると陽は真剣な顔をして更にスマホの画面を色々とタップし続ける。


「この人がこんな詩的な文をSNSなんかに投稿する事は滅多に無いんだ。そんで直近の投稿がこれ、で、これが今のところ最新なのね……」


陽は指でサッとカルディ博士の呟きを少し遡るようにスクロールし、目的の呟きでピタリとタイミングよく止める。


「で、この人日本に来てるんだよ!! 先月!! 」


陽の指差す先に記されているのは、カルディ博士が日本に来たという証拠。

自動翻訳された呟きと、載せてある写真から推測するにそこが空港である事が分かる。

二機の飛行機を眺めるように、そして手前は小さな桜の枝の束が飾られている写真。


「『羽田:)』……」


「これで日本に来たのは確実だ!! そんでもって最近のあのニュースが追い重なって……」


陽は早く話したくてウズウズが抑えきれないポーズを取っている。


「ほらこれ! 神奈川県にある研究所が謎の爆発事故を起こしたっていうやつ! 」


「これか……」


英士は当時のニュースを思い出しながら、陽のスマホに映る記事を眺める。

研究所といっても、旧棟の方が爆発したらしく、しかも爆発物は置いてなかったとして、警察は爆発が意図的に仕組まれた線での調査をしているとニュースでは報じられていた。


「先月の黒い柱、柱に触れた人間、空が黒い、カルディ博士の来訪、研究所が爆発……ピースはつながったなぁ!? 」


「「え」」


「え? 」


陽は大いに一人で盛り上がり、二人にもこの高揚感を共有しようと盛大に話を振ったが、どうやら盛大にコケたらしい。

英士も、健太も、何処か納得出来ないものがあった。

それが……


「カルディ博士は確かに日本には来てる」


「おう」


「でもそれだけでこの黒い柱の関係者とは言えないよな。日本に来たのはただの観光なだけかもしれないし、東京→神奈川に行ったという証拠も今のところは見つかってない」


「え、で、でもSMがC博士って書いてたし、それにこの人変な匂わせ投稿してるし……」


「空がいつもより暗い……陽が言いたい事って、規制されてるSNSでの意味深に書かれたこの呟きがカルディ博士と黒い柱を関連付けてるって言いたいわけだよな」


「そう!! んでしかもその日のアメリカ全土は雨とか台風とか無くて晴天だったんだってさ!! それに夜のことを指していたとしてもわざわざこんな詩的な言い回しにする必要ってある? 」


「そうだな、でもこれってカルディ博士が黒い柱に関連しているっていう証拠としては薄いよね 」


「ん……? 」


「一個だけ例として挙げるけど、この人はアメリカ国民がやってるチキンレースに乗っかっただけっていうただの呟きなだけ……つまり特に深い意味は無く呟いただけの可能性も考慮したか? 」


「どういう……ああ……そういうことか……」


英士は、二人に見せるように自分のスマホで、SNSの検索欄に色々な単語を記入した。

黒い柱、それに準ずる単語を並べ検索した所、出てきたのは黒い柱に関係する呟き……しかし、直接的な単語、文章等は書いてない呟きばかりがヒットした。


「ネットにありがちな、人がやってるから自分もやるっていうやつ」


「うう……で、でもさ、神奈川の研究所も爆発したのって、もしかしたら黒い柱に関係する実験か何かで……」


「それも薄いかな」


「ど、どうして……」


「政府があの黒い柱に関係してて、危険な物だと認識していて国民に本当に隠したかったら、神奈川の研究所が仮にもしも黒い柱に関連していたとしたら、報道したりするかな? 」


「確かに……僕なら触れないね」


健太は頬を掻きながら陽に申し訳なさそうに伝える。


陽の顔はどんどん暗くなっていく。

英士はコホンと軽く咳払いをし、続けた。


「でもおかしいのは、どの国も関与は否定してるくせに、国民が黒い柱に触れるとすぐに消化しに行くこと」


英士は二人に見せたままのスマホを一番上までスクロールした後、更新ボタンを押した。

すると、先程まであった呟きの一部が数件削除されてしまったのだ。


「健太も言ってたけど、俺がもしも政府側の人間で黒い柱に関与していなかったとしたら、普通に無視が一番。でも彼等は会見では触れたし、国民が何か呟いたらすぐに消しにかかる、陽が疑いたくなる気持ちも分かる。けど……」


「黒い柱がもしも危険なものだとしたら、国民が混乱するのを防ぐため、とか? 」


「そうそれ、三十年くらい前に流行ったウィルスの時もいろんな情報が行き交って、中にはデマもあるわけで……そのデマに踊らされる人も中にはいたわけだ。で、そういう人達が大小揉め事を起こして……それが国全体で起こったら大変だよな。政府は今、あの黒い柱に関しての情報を自分達で手に入れてる最中で、国民に触れさせないのはやはり危険物だった時の事も考えて……だから、予防線って意味で敢えて触れたんだと思う」


と、英士はここで、陽の方に視線をやる。

陽はグッタリと机に突っ伏して、降参のサインの意であろう、手をプラプラとさせている。


「ま、でも奏汰君のもあくまで仮説だから……でもこれが一番有力だと思うよ? 」


「陽の線もあり得なくはないけど、結論を急ぎすぎて一部がちょっと飛躍しすぎてるな……というかそもそもの話、SMの話を全部信じるってのもアレだけど」


「もうこれ以上……俺を虐めないで……」


ははは……と三人は乾いた笑い声をあげた。


「あと陽」


「なんでしょうか……もう俺の論は論破されたのにまだ破壊するつもり? 」


「いや、そうじゃなくて……」


英士は陽のスマホを指で操作し、SMの文章を再び開く。


「さっき、襲撃者とコンタクトを取った事が重要じゃないって言ってたけど、どうしてそう思ったんだ? 」


「え、どうしてって……あれ、なんでだっけ」


「耶麻凪君は着眼点が不思議だね……」


「多分カルディ博士の事調べるよりも、この襲撃者の人らを調べていったらもっといい仮説が建てれたかもな、まあ俺と健太は多分それでも、あの黒い柱はただの自然現象だと結論付けると思うけど」


陽が何かを言い返そうとしたが、ここで教室の扉がガラガラと音をたてて開いた。

担任の教師が軽い挨拶と共に入室し、教壇の前へと上がる。

三人はお互い自分の席に戻る。


「はーい、朝のホームルーム始めますよー」


教師がそう言うと、今日の日直である生徒が号令し、それを期に英士のいつもの日常がまた始まった。




*


今日も今日とて、いつも通り。

奏汰 英士の高校生活の一日は無事に過ぎていく。


午前中の授業も、特にサボったり居眠りせず、真面目な姿勢で受けた。

お昼休みも、朝に話していたオカルト話で再び花を咲かせ、あっという間に午後の授業、そして放課後となる。

移動教室の都合で三人一緒に移動していると、気になる女子生徒に目を惹かれ、それを健太に指摘されて頬を赤くする。

昼に食べたコンビニ飯の弁当の中に今時珍しい、髪の毛が混在していたが対して気にせずそのまま食べた。

変わった事なんて、たったこれだけ。

これがあと三年続く。




__奏汰 英士は未来を知らない。


知る必要も、何故なら、今はまだ見いだせてないのだから。




*



放課後。

英士は友人二人に一旦の別れを告げて、一人渋谷区の方へと立ち寄った。

駅から徒歩で直ぐに着くショッピングモール内の本屋で、そこで特別に取り扱ってるとか、そこが安値で本を売ってるとか、そういった特に深い意味はないが、英士はその本屋を選んでいる。

本当にただ、気に入ってるわけではない。


いつも読んでるジャンルのコーナーへささっと移動して、人が居ない事を確認した英士は一冊、目に付いた本を手に取る。


推理小説、それもかなり昔の方の作品群で、英士は序盤のページを軽く読み流していく。


数ページ、また数ページとどんどん読んで行き、見切りを付けて棚に戻す。


また違う本を取り出し、同じ事の繰り返し。


本屋に寄ったその日、ピンと来た物語だけ一冊買っていく。

英士は、自身のお眼鏡にかなう作品を見つける為にどんどん切り捨てて行った。


五冊目。

取り出した途端、ふとタイトルが目に映った。


「シンドローム」


背表紙にはそれだけ記載されている。

そのまま手に取り、ページを捲る。

簡易的なあらすじが載っていて、これがなんとも奇妙な始まり方であった。


『その日、世界中の火山が一斉に噴火した。原因は不明である。一斉に噴火したとあるが、同時刻、一寸のズレも無く噴火した為、翌日には地球が灰の星となった。更に……』


その続きも、地球の壊れる様子が淡々と書かれていた。


タイトル回収が一瞬で終わったような気がするが、しかしその後の物語は何が書かれているのか全くの未知数。

現に他の本と比べると少し分厚く、語られる物語がかなり気になる。


英士は、その一冊を閉じ、そのままレジの方まで持っていった。


道中、今朝の話を思い出した。

襲撃者の話……先月逮捕された容疑者らの話の事、当時の速報が鮮明に記憶されていて、観ていて違和感を感じていた。

同時刻、違う場所で数多の犯罪が行われていたのだとか。

警察はその時点でグループでの犯罪を疑ったが、その後の取り調べで彼等は全くの無関係者だと言う事が判明した。


同時刻に赤の他人同士が犯罪に走った、という事実は英士だけではない、多くの人達が関心を集めた。


中でも、ネットで散々騒がれたのは、容疑者が全員あの黒い柱の現場にいたということ。


シンドローム。

意味は、確か、症候群。

そして、複数の症状や徴候が同時に現れる状態を指していたはず。



__黒い柱は危険だ。



陽の声で、頭の中に唐突に響いた。

健太と共にその論は薄いと否定していた英士であったが、だからといってこちらもそれ相応の論を持っているわけではない。


何が起こるか分からないこの世の中、もしかしたら本当にあの黒い柱は……。






*


ビルとビルの隙間。

カモフラージュの意味も込めて設置した簡易的なバリケード……段ボールで出来ているため心許ないのは言わないお約束。


__あの猿島で発生した黒煌から何日経過したか。

ボロボロになった白衣の袖から見える腕時計は、午後23時を示している。

今は腕時計で時間を確認せずとも、スマホやその他媒体で時間を簡単に見れるというのに。

それでもつい袖を捲ってしまう。

なのに、腕時計は昨日からうんともすんとも言わず、同じ時間だけを指している。


「……」


横で大きな鼾をかいて寝ている男を軽く押しのけ、ノートパソコンを起動し、男の状態を観察していく。


年齢28にもなると、体臭は少しキツくなるが、やはり風呂に何日も入ってないのが原因だろう。

それは自分にも返ってきてるのだが。


「……健康状態、やや良好。しかし依然として黒煌による影響は目視で確認できない」


眠っている男の瞼を持ち上げたり、脈を測ったりと男の微細な変化に気付きやすいように常に確認する。

こは

キーボードのカタカタ音が響く中、頭の中で描くのはいつもあの光景。


__あの日、確かに藤堂先生は夜空にいた。


黒煌に(吹き飛ばされた(ように見える)事象故、直ぐに捜索を開始するも、不思議な事に博士は行方不明となった。


あの量の血ではすぐに失血死するため、結局捜索隊は一日経たずで解散となった……。


__絶対、あれは藤堂先生だった……!!


キーボードを叩く音が段々と大きく、そして煩くなる。

派遣された捜索隊も、今回の黒煌の件で参加していた有識者の方々も、やはり何か大きな力が働いて今はバラバラとなってしまった。


間違いない、政府側はクロに近しい位置に居る。


藤堂先生の捜索も切り上げるスピードが早く感じたのは、恐らく彼が邪魔な存在になってくるから。

黒煌が原因なのかは不明だが、瀕死の状態となった為にトドメと言わんばかりの放置、これで誰も疑問を抱かず藤堂先生はこの世を去るだろう。


しかし、現時点で二人、抗うために戦う事を決意した者がいる。


一人はアメリカで量子力学を専攻していた博士。

そしてもう一人は、黒煌の力を持つただの研究員。



現時点でのレポートを書き留め、ノートパソコンを閉じては一人、ただ心の中で呟いた。


__待っててください。私が、必ず先生を見つけ出します……!

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