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草原演義  作者: 秋田大介
巻六
303/783

第七 六回 ③

サチ渾沌郎と(とも)に勝形を解き

スク麒麟児と(とも)に剛将と争う

 そうして論功行賞もことごとくすみ、部族(ヤスタン)の新制も定まった。アサンとヒラトがあらかじめ整えておいたものである。すなわち、



  部族(ヤスタン)太陽(ナラン)たる大カンにしてスンワ氏族長(ノヤン)

   衛天王 カントゥカ


  軍民両政に(わた)ってカンを輔弼する丞相(チンサン)

   聖 医 (ボグド・エムチ)アサン・セチェン


  財政・司法を(つかさど)る執政にしてカオエン氏族長(ノヤン)

   潤治卿 ジュン・ヒラト


  近隣部族(ヤスタン)との折衝に当たる外交官

   奇 人 チルゲイ


  軍を統率して人衆(ウルス)家畜(アドオスン)を守る大将

   花貌豹 サチ


  民事を統轄する執政の補佐官

   雪花姫 カ(ツァサン・ツェツェク)コ・コバル


  軍の先鋒(ウトゥラヂュ)を務める将にしてネサク氏族長(ノヤン)

   麒麟児 シン・セク


  カムタイを宰領し商旅を保護する守護官(タンマチン)にしてカムタイ氏族長(ノヤン)

   一角虎 ス(エベルトゥ・カブラン)ク・ベク


  イシを宰領しメンドゥ防衛を司る守護官にしてウラカン氏族長(ノヤン)

   竜騎士 カトメイ


  軍の布陣(デム)および牧地(ヌントゥグ)の敷設を指導する参謀長

   知世郎 タクカ


  軍の機密を司り戦略の決定に携わる軍師

   渾沌郎 ボッチギン


  情報収集および伝達を司る将領

   矮狻猊 (わいさんげい)タケチャク・ヂェベ


  武具の工廠を司る将領

   蒼鷹娘 (ボルテ・シバウン)ササカ


  軍馬(アクタ)厩舎(アラチュグ)を管理する将領

   妖豹姫 エミル・ガネイ


  旌旗(トグ)や軍袍の支給を司る将領

   娃白貂 (あいはくちょう)ジュチ・クミフ


  北辺防衛を司る将領にしてチダ氏族長(ノヤン)

   牙狼将 (チノス・シドゥ)カムカ・チノ


  糧食(イヂェ)の確保および兵站を司る将領

   笑破鼓 クメン


  遊軍を率いる将領にしてダマン氏族長(ノヤン)

   急火箭 ヨツチ



 以上、十八人がウリャンハタ部の諸将である。このほかに、



  カムタイにて政務を司る客将

   紅大郎 (アル・バヤン)クニメイ・ベク


  双城を結ぶ駅站(ヂャム)を管轄する客将

   銀算盤 チャオ


  イシにて政務を(たす)ける客将

    ─  ミヤーン


  イシにて内政を管掌する文官

   瑞典官 イェシノル


  イシにて防衛を指揮する武官

   鉄将軍(テムル) ヤムルノイ



 これら五人が大カンの名の下に改めて登用された。またミクケルに(くみ)して敗れた諸氏族(オノル)人衆(イルゲン)および家畜は、それぞれ分配された。


 ヒラトらが行った諸々の改革はひとつとして民意に(たが)うことがなかったので、人衆がこれを敬慕して奉った名こそ「潤治卿」である。


 戦後処理を()えたカントゥカらは意気揚々と東帰した。途中、タケチャクがムカリとミクケルの遺児の行方を探るため列を離れたほかは、うち揃って凱旋した。




 さて、興奮冷めやらぬ彼らのもとに一騎の早馬(グユクチ)が至ったのは、ドゥルガド台地を出てまだ三日目のことであった。拝謁した騎兵は、祝辞(ウチウリ)もそこそこにあわてて言うには、


「クル・ジョルチ部の先鋒(アルギンチ)、およそ五千騎が南下中です! カムカ様はパンヤン高原に拠って援軍を待っております!」


 この報は諸将をおおいにあわてさせた。しかしアサンは冷静に言った。


「おそらくその五千騎は、我らを探るためのものです。隙を見せれば好機(チャク)と判断されて大軍が発せられるでしょう。あわてることはありません。我が軍は渾沌郎君と花貌豹のおかげで健在です。その五千騎を撃てば、侵攻は見送られるはずです」


 カントゥカは麒麟児シンに命じて(ホイン)へ向かわせることにした。すると座中よりスク・ベクが立ち上がって、


「俺も行くぜ。まだ暴れ足りない」


 無論大喜びで許されると、二将は勇躍(ブレドゥ)して勝利を誓う。結局二将に加えてタクカが五千騎をもって援軍に向かうことになった。

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