30日目
とうとう「この部分で完結します」を選ぶときが来た。
●で選択するだけなんだけど、これで大丈夫だろうか?
えぇい …… ま ま よ っ !
ポチッとな。
「っぷ ふ ―――― っ!!」
小説情報の完結設定は、よぉし、完結済になってる!
よし、よし、これといって目立った入力ミスもない。
はぁ、緊張した~ぁ、お?!
「評価者数、2人になってる」
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「毎度ど~もぉ!」
「張り切ってるな」
「あーねこんぶちゃん、こんちゃー」
「それ、勢いでつけたんですって~」
ここでのわたしは、猫昆布茶だ。
少なくともヒラギノ角ゴシックではなくなった。
Pタンが作ってくれたアバターは、猫ミミ少女に昆布のマント。
わたしのイメージだそう、少し子供っぽいけど不思議と似てる。
「毎日更新を補習で落っことす貴様が悪い。勉強するかストックするか、どちらか選択していれば個人情報の流出は避けられた事態だった。 ……違うか?」
「ぬぅ……生意気なPタンめ~!」
「JKの幼児語は理解に苦しむよ」
わたしが17歳と知られてからPタンの上から目線は相変わらずで、やや説教が具体的になり増加傾向にある。相互さんは相変わらずヒラヒラしていて、わたしと相互さんではない。
「どうだった?」
「テスト結果?」
「総合評価だよ」
あぁ、そっち?
小説情報は公開されている。
知っていそうなものなのに。
「なんと! 総合評価22ポイントでした~!!」
「えーたったの22pt?」
「そうか、御苦労だった」
Pタンはムスッとした。
「ありがとうございます」
「ばかも休み休み言え。色々試せと言ったのに更新を優先した挙句、本業の勉学がおろそかになって更新まで1度停まった。読者を掴まえて意見を聞くべきだった、大失敗の大失態だよ、おたんこなす」
「Pタンそこまで言うことないよー」
「誰がPタンだ、誰が!」
「あー怒ったー」
あ っ 、 逃 げ た 。
相変わらず身軽だな~。
「でも完結しました、話はここから!」
「無駄口を叩くな。作品で語ってくれ」
Pタンが「ったく」と腰を下ろした。
「で? ……話ってなんだ」
「評価満点、ありがとうございました」
「たった12ポイントだろ」
「12万円分ですから~!」
苦笑しながら「へんな影響、受けやがって」と呟いたPタンが、ゴソゴソ鞄から取り出したのはマジックで大きく【 賞 与 】と殴り書きした封筒。
首を傾げていると「これだからJKは」と押し付けてきた。
「どんだけブラック企業だよ、12万じゃ安すぎだろ」
「はぁ、そういうものですか。なにしろJKだもんで」
「ボーナスって意味」
「ボーナスですか?」
「イメージが違っても文句言うなよ。キャラ全員が作者のイメージどおりなんて、そんなことありえないんだからな」
な、これは……デジャヴ?
FAのときと同じ世界線?
「あっ……ありがとうございます!!」
「現金なやつだなぁ、猫昆布茶さんは」
「早速これ、ここ? ここに飾っちゃお~かな?!」
わたしの名前は、猫昆布茶。
今日から小説家になりました ――――
完結処理は画面で確認しながら書いていたんですけれど。
私は完結ボタンを選択せずに一度投稿してしまいました。
痛 恨 の ミ ス !! (>_<)/