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新技

 俺はレベル20まで上がるのを福ちゃんに待ってもらった。その間俺は一人で雑魚から狩っていき、ついにノッポのゴブリンを倒すことができるようになった。

 そして俺達は次の街へと移動することにした。

「宿主さん、ここから魔王軍の本拠地に近い街はどこですか?」

「魔王軍は北東に本拠地を構えているよ。そっち方面に行くとガゼルの街があるよ」

「ありがとうございます」

 しばらく歩くと福ちゃんが言った。

「ねえ、新技考えた」

「息?」

「まあそのようなものだけど。たかちゃん刀抜いて」

「わかった」

 俺は刀を抜いた。何をするのだろうか?

「はあああ」

 と福ちゃんが炎を吐くと俺の刀にまとわり付いた。

「すごいなこれ。属性攻撃っていうのができるかもしれない。福ちゃんが思いついたのか?本当に頭のいい猫なんだな」

「炎だけじゃないよ」

 すると福ちゃんは冷気を吐き、それも刀に。

「これは属性だけじゃなく固くなるから攻撃力も上がるかもしれない。お、いい所に」

 赤ゴブリンがいた。試してみようか。

「ゴブリイイイイン! くらえ!」

 と叫んで刀を振り下ろしてみたが、ドン、という衝撃音がした。

「これは氷だな。もっと鋭くしないと斬れないな」

 俺は赤ゴブリンにパンチをくらっていたが全然平気だった。無視して会話を続けた。

「そうなの? それ自分の意思でできる?」

「俺は剣士だけど、やってみよう」

 目を瞑って、集中した。

(鋭く、もっと鋭く)

 目を開けると刀に鋭い氷が。これは斬撃能力がアップしていそうだった。

「試そう」

 俺はパンチをくらい続けていたが構わない。氷の刀で赤ゴブリンを斬ってみた。綺麗に真っ二つになった。

「ふうん。強いね、断面がキレイ」

「そうだな。俺にも操作することができたよ」

「剣士って魔法も使えるのかな?」

「わからないけど今の俺じゃ無理だ」

 福ちゃんは炎で赤ゴブリンを焼いて食べた。

「前から思ってたけど、それあんまりいい食べ物じゃないんじゃ」

「おいひいよ」

 福ちゃんは夢中で食べ続けた。さすが肉食の猫だけある。ライオン等と同じなのだ。

「そういえば福ちゃん、雷の息? は出してないよね? 雷だから息じゃないか」

 食べ終わった福ちゃんが言った。

「やってみる」

 福ちゃんは「かみなり かみなり」と念じている。すると、

「ぽわっ」

「何だ?」

「雷雲だよ」

 見ると高さの低い小さな雲から雷がバキバキ出ている。

「もっと上がれ!」

 雲は高く上がった。すごい雷が俺の刀に落ちた。

「痺れ……ない?」

「あたしの意思で攻撃範囲を指定できるみたい。これで雷の刀、完成」

「すごいな。ゲームでよくある三種の属性をこれで出来ちゃったよ」

「ねえ試そうよ」

「敵を探そう」

 周りを見渡すと少し遠くに巨大なカエルがいるのが見えた。

「あいつは……水属性か?」

「たぶんそうだよ」

 そうとなれば試す! 何でも挑戦が大事だと心に刻み込んでいた。俺は巨大カエルに向かって行った。福ちゃんも走ってついてきた。

「くらえ!」

 俺が剣を上段に構えると、カエルに雷が落ちた。

「福ちゃん! これすごいぞ! 俺が魔法使ったみたいだ」

「すごいね!」

 そしてそのまま斬った。巨大カエルは初見だったが、一振りで倒すことができた。

「しばらくこれで強そうな相手も倒せる自信が湧いてきた」

「いいぞ! たかちゃん!」

 俺達は意気揚々とガゼルの街へ向かった……。

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