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俺は弱い

 20キロは長い道のりであった。途中遭遇したモンスターは確かに強くなっていて、福ちゃんの力がなくては倒すのは無理だった、と思う。が、

「福ちゃん、次にモンスターにエンカウントしたら俺一人で戦ってみてもいいかな?」

「いいけど何で? やられたらどうするの?」

「一人で倒せるか試したいんだよ」

「そう」

 そして、遭遇した。初めて会ったのとは違う、赤い色のゴブリン。性格は狂暴そうだ。いきなり襲いかかってきた。俺は咄嗟にかわすと、刀を抜いた。

「俺一人でやるんだ!」

 福ちゃんは片目の猫だが真剣な眼差しで見てくれている。

「うわあああああ!」

 俺は刀を上段に構え突進した。ゴブリンも向かってくる。最初に攻撃を当てたのは、俺だった。パンチを出してきたゴブリンの右腕を斬り落とした。

「グルルルルルル!」

 ゴブリンは30ゴールドを落として逃げていった。

「やったぞ福ちゃん!」

「ちゃんと倒せてないじゃない。逃げられた」

「でも勝ちは勝ちだ」

 その時福ちゃんの尻尾が立った。

「たかちゃん、何か来る」

「え? 何も感じないけど……」

 とんでもないスピードで駆けてきたのは身長が2メートルほどもあるこれまた赤いゴブリンだった。その背中には右腕の無いゴブリン。さっきのやつがグループのリーダーでも連れて来たのか?

「たかちゃん、こいつはあたしもいないと倒せないと思う」

 俺は福ちゃんの言うことも聞かず、一人で刀を振りかぶった。

「斬った!」

 と思ったが、ノッポなゴブリンには傷がつく程度だった。

「たかちゃん、一度ひいて!」

「あ、ああ……!」

 ノッポなゴブリンは俺の腹に蹴りをくらわせてきた。強い痛みが走る。しかし、ボスネズミにやられた時は疲れていたしレベルも低かったので瀕死になったが、今回は防御力が上がっている。まだ戦えそうだ。

 その時右手の無いゴブリンをノッポが投げてきた。俺は刀を正眼に構えると綺麗に真っ二つになった。今度は100ゴールド落とした。俺はそれは後で拾うとして、ノッポの方を向き、剣を構えた。

「だああ!」

 と俺はノッポに攻撃するが傷しかつかない。その代わり手痛い反撃をまたくらった。

「たかちゃん!」

 福ちゃんは緑色の息で俺を回復させた。

「やっぱりあたしがいないとね!」

 福ちゃんはノッポの方を向いた。

「やめろ福ちゃん! 殺される!」

「あたしをなめないでね」

 福ちゃんがそういうとノッポは福ちゃんを攻撃しようと右腕を伸ばしてきた。しかし福ちゃんはそれをジャンプし、腕を駆け上ってノッポの頬に噛みついた。そして一気に炎を吐いた。ゴブリンは跡形もなく消え去り、2500ゴールドも落とした。

「強いなあ福ちゃん……」

 俺は自信をなくしてしまった。

「あたしはレベルが上がるのが早いって聞いたじゃない。たかちゃんもマイペースでレベル上げていこうよ」

「そうだな……。まあまずはあそこに見えるカイムとかいう街へ入るか。寝よう」

「うん。あとお腹すいた。さっきのゴブリンたかちゃんが危なかったから丸焼きを食べられなかった」

「ごめんな福ちゃん」

「いいわよ」

 俺達はカイムへの入り口に向かって行った……。

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