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まだまだまだ序盤

 やっと手に入れた。元の世界でも持ったことのない真剣だ。これを振ることができると思うと気分が高まる。

 そして俺は200ゴールドのトーストではなく400ゴールドのサンドイッチを食べ、福ちゃんにハムを千切ってあげた。するとパンも食べてみたいと言ったので食べさせてみると美味しい、と言った。

「福ちゃん、俺ちょっと眠い」

「あたしも」

「宿っていくらなんだろ?」

 宿に向かうとたったの10ゴールドだった。受付のおばさんに理由を聞いてみると、

「まあ、始まりの街というのはこんなものよ」

 と、変な発言をされた。この人はこの世界で生まれた人なのか? すると、

「怪しんでるでしょ、あたしのこと」

「え、まあ……」

「魔導士のメルル様がこの街に剣士を連れてくるのはよくあることだわ。ここは魔王の本拠地から一番遠いからね」

「一番遠い……。ボスネズミは福ちゃんがいなかったら倒せなかったのに」

「ボスネズミ倒したの!? あれはレアモンスターよ。初心者だったら逃げるのが一番ね。その猫ちゃんが倒したの?」

「ええそうです。めちゃくちゃに強いんですよ。福ちゃんは」

「うーん、でも魔王軍の幹部には敵わないかな」

「そんなに強いんですか?」

「この街も何度も焼かれたからね」

 だが、この街は綺麗な中世ヨーロッパ風の街並みが保たれているようだが。

「また怪しいと思った?」

「怪しいというか不思議だな、と」

「ここはメルル様が剣士を連れてくる街だから王国から特別に建設技術の高い職人が優先されるのよ。あなた違う世界から来たんでしょ? たぶんそっちの世界とはレベルが違うわ。作業を眼で追えないもの」

「なるほど、よくわかりました。とりあえず一晩泊めてください」

「その子は聖獣?」

「はい。それで登録と言っていました」

「じゃその子の分は無料だからあなたの10ゴールドだけでいいわ」

 福ちゃんは福を呼んでくるようだ。俺達は鍵を貰って部屋に入り、シャワーを浴びると爆睡した。福ちゃんは俺が起きたとき添い寝の状態だった。

 鍵を返すとき言われたことがある。

「あなた剣士時計を付けてないの?」

「なんですかそれ?」

「剣士登録の時に貰えるはずよ。ノベイラさんが忘れたのかしら」

 俺達は剣士登録所へ話を聞きに行った。

「あ、三上さん! すみませんでした! この剣士時計を付けてください」

「さっき宿でも言われたのですが、これなんですか?」

「レベル、経験値や所持ゴールドなどがわかります」

「そんな大事なもの忘れたんですか!?」

「すみません! 実は私……猫アレルギーなんです。早くいなくなればいいと……はっ! ごめんなさい変なこと言って」

「あたしのことが嫌いなの?」

「うぐぅ……」

「まあしょうがないですよね。アレルギーじゃ」

「可愛いとは思うんですけど……」

 俺は剣士時計を左手首に付けた。

「聖獣用は無いんですか?」

「パートナーの分も剣士なら一緒に確認できますよ」

 俺は少しいじってみると自分のレベルが7まで上がっていることが解った。そして福ちゃんのレベルは34に達していた。

「福ちゃんすごい」

「あたしすごいの?」

「猫族の中には成長の早い子もいますよ」

「聖騎士団まで遠いな。しばらくモンスターを狩り続けるか」

「あ、それならもうちょっと強いモンスター達が周辺にいる街に移動したらどうでしょうか?」

「どこですか?」

「あちら」

 ノベイラさんは北の方を指さした。

「北に20キロほど行けば「カイム」という街があります。そこなら強いモンスターがいますよ。でも行ったら私とはしばらくお別れです」

「福ちゃんがいなくなって嬉しいんでしょ」

「……はい。ちょっと痒くなってます」

「それはいけないな。早く去ろう」

「あたしが嫌いなの?」

 福ちゃんはまた聞いた。

「可愛いとは思いますよ。隻眼でかっこいい点もあるし」

「それ聞ければ満足だわ」

 そして俺達はようやく第二の街に向かおうとしている。しかしまたレアモンスターに出会ってしまった。巨大なボスネズミ。福ちゃんが殺気立つ。

「お前何匹もいるんだな。宿のおばさんの話を聞いてそう思ってたけど。じゃあボスネズミって呼んでるだけで本当のボスじゃないんだな。北に行けばもっと強いのがいるのかな」

 すると福ちゃんが激しい息を吐いた。今度は冷気だった。ボスネズミは凍っていく。

「氷も効くのね。色々試したいわ」

 俺は刀を一閃すると、巨大な氷は半分に割れた。福ちゃんのアシストが必要だったがボスネズミを自分の手で倒せたことは嬉しかった。俺は出てきた1000ゴールドをポケットに入れる。

「行こうか福ちゃん! 未知の街へ!」

「うん!」

 俺達はとりあえず北へと歩を進めた。

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