表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/54

俺のかわいい猫の福ちゃん。

 俺は道場で竹刀を振っていた。俺の名前は三上貴明(みかみたかあき)。中学で剣道部に入った俺は高校でも続けていた。現在3年生で剣道の推薦で大学入学も決まっている。今日も稽古を終え自宅に帰った。

「何か嫌な予感がするんだよなあ……」

 俺はそう思っていた。翌朝、部屋に突然魔法陣が広がった。その中心から女性が出てきてこう言った。

「えと、あなたが三上貴明さんですか?」

「え? まあそうですけど、あなたは誰なんですか突然」

「私はメルル! 表の世界から剣士を集めています!」

「剣士?」

「今裏の世界では魔王軍と聖騎士団が戦っています。私はあなたをスカウトします!」

「いやあの何を言っているのか全く分かりません」

「行きますよ! 魔法陣から外に出ないでください!」

「いやこんな狭い部屋じゃ出ないも何も……って俺いきなりそっちの世界に行くんですか!?」

「ワープ!」

 その時……。

「にゃー」

「うん?」

「あら?」

 転生した世界は中世ヨーロッパという感じだった。そして……。

「ここどこ?」

「福ちゃん!」

「ふくちゃんってこの猫ちゃんのことですか?」

「そうだ……」

「たかちゃん」

「うわ! 喋った」

「あたしの言うことわかるの?」

「あ、ああ」

「ここでは動物も喋りますよ」

「猫ちゃんは役立ちますよ。だって口から……」

 そのとき福ちゃんがアクビをした。すると

 ゴオオオオオオオオオオオ!!!

 っと炎が出た。メルルの服が燃えた。

「きゃ! 酷い! リターン!」

 燃えた服が戻った。

「すごーい」

「いや福ちゃんのほうがすごいよ……」

「このように猫ちゃんは炎を吐くことができます。それ以外に出せるブレスもありますよ!」

「冷気も?」

「はい! と猫ちゃんの説明が済んだところで剣士登録へ行きましょうか!」

「ちょちょちょ待って! 元の世界には戻る条件は?」

「魔王を倒せば!」

「やっぱりゲームみたいなのと一緒なんだね……」

「ゲームって言う人結構いますね! よくわからないですが」

「福ちゃん、早く帰れるようにさっさと魔王倒しちまおうぜ……」

「そうね。飼い主と喋るの恥ずかしいわ」

「あら! この猫ちゃん……福ちゃんでしたか、左目がありませんね?」

「うちに迷い込んだ時には既に栄養失調で……。片目が白くなってたんです。そしていつの間にか取れちゃったみたいで」

「それで飼ってあげてたんですね!」

「まあうちには当時他の猫が二匹いたし、三匹になるのも同じかなって……」

「なるほど! いい人なんですね貴明さんは!」

「いや病院連れてったりするのは俺の母親だし、あまりかまってやれなかったな……」

「何か暗くなってきてますよ! だったらこの世界でもっと仲良くなればいいじゃないですか!」

「それもそうかな」

「そうですよ!」

「じゃメルルさん。剣士の登録場所に連れて行ってください。俺は魔王を倒して元の世界に帰ります」

「はい!」

「福ちゃんついておいで」

「はーい」

 俺達は剣士の登録所に向かった。

「絶対に許さんぞ魔王! 俺は推薦で大学決まってんだ! 学校に迷惑がかかる!」

「あっ! 大丈夫です。魔王倒せればワープしたその時に戻れるみたいですから!」

「マジか。じゃのんびり行くか」

「のんびりはいけません!」

 メルルに怒られた。俺達はどうなるんだ……なあ、福ちゃん……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ