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記憶製造装置2号と壊れた少女



私は少女を拾った。


道を歩いていたら少女が落ちていた。

少女は壊れているのか、足が無かった。



足のあるはずの場所には何もなく、そこから赤い液体をどくどくと流していた。

私は泥道の中、壊れた少女を引きずり、湖のほとりへと少女を連れて行った。



湖にはたくさんの水がいた。

透明で綺麗なたくさんの水。


私は水が好きだ。



私は水をすくって、少女の足へと水をかけた。

少女の足から出る赤い液体と透明な水が混ざる。


私は何度も水をすくって、少女の足へと水をかけた。少女からでる液体はいつまでたっても透明にはならなかった。



私は水を、少女の泥にまみれた顔と髪にもかけた。

少女の肌は白く、きめ細やかで柔らかい。

少女の髪は絹のように細い銀色で、透明な水がふさわしいと私は感じた。



私は、美しい少女に水をかけ続けた。

 


少女が意識を取り戻したのは翌日の昼だった。


少女は私を見て目を見開いて驚いたような顔をしていたが、私が水をかけるとその宝石のような青色の目を瞑った。

少女は足が痛くて蹲るように足を押さえていた。


少女の足からでる赤い液体は落ち着いてきたが、少女の足から見えるのは赤ばかりだ。


私は少女に水をかけ続けた。



少女は苦しそうな顔で私に「ありがとう、もう水は大丈夫」と言った。

私はすくった水を湖へと戻した。



少女は綺麗な手を器用に使い、足に白い布を巻いた。

白い布は少女の赤い液体で赤く染まった。



私は水をすくった。



少女は「水はかけないで」と私に言う。



私は手にすくった水を湖へとまた戻した。



それから。

私は少女の話を聞いた。

少女の名前はサレアという。


花の名前らしい。

白い花びらに先が桃色の、私が見たことない花だ。



サレアは足が無いから歩けなかった。

ずりずり、手を使って這いずり回ることしかできない。



私はサレアの綺麗な手が土で汚れるのは嫌だった。

サレアの綺麗な手が石や木屑で傷付くのは嫌だった。


私は壊れたサレアを治すことにした。



セミの足はだめだ。

サレアには小さすぎる。


ブタの足もだめだ。

サレアには短すぎる。



サレアに必要なのは人間の足だ。




私は人間の足を集めることにした。



近くの村に出向いて、美しい少女の足を2個用意してほしいと頼んだ。

村長の娘は美しい足をしていた。



私は、村長の娘から足を2個もらった。



村長の娘は足から赤い液体を流したまま、赤い液体でまみれた村長の頭を抱き抱えたまま叫んでいた。




私は湖に戻り、サレアに足を見せた。



「綺麗ね」



サレアは満足そうに微笑んだ。

私は足をサレアにくっつけた。



私はサレアを修理する。



サレアは少しではあるが歩けるようになった。

歩くサレアは今まで私が見たなによりも美しかった。



サレアは私に手を差し出した。

サレアの手は、木屑や石のせいで擦り傷や切り傷ができている。サレアは微笑んでいる。



私はサレアの手を切り取った。


赤い液体がたくさん出ないように、すぐに白い布で巻く。

サレアが前やっていたのを真似するように。



サレアは少し痛がっていたが、大人しく休んでいる。

私は人間の手を集めることにした。



先ほどとは隣の村に行き、美しい少女の手を2個用意してほしいと頼んだ。村に美しい手を持つ少女がいたからだ。



私は少女の手を2個もらった。



少女は手首から赤い液体をどくどくと流して目から透明な液体を流していた。

私は炎で燃え盛る村から出て、サレアの待つ湖へと帰った。



私は湖で、サレアに手を見せる。



「いいわ」



サレアが頷いた。



私はサレアを修理した。



サレアの手は擦り傷や切り傷がなくなった。




しなやかな手足のサレアは、手足が継ぎ接ぎだらけでも、世界中で一番美しい。




けれど、サレアはまだ壊れているらしい。



私は、サレアの修理を続けた。



サレアは足の指も手の指も、一本づつが完璧でなくてはならない。私は村から、国から、星から、サレアの部品を集めた。サレアの中身も修理した。



肺を取り外して、くっつけて。


腸を取り外して、くっつけて。


胃を取り外して、くっつけて。


血管を取り外して、くっつけて。


脳漿を取り外して、くっつけて。


心臓を取り外して、くっつけて。



「目はもっと深い青を。海のような美しさを」



サレアが望む。

私はサレアの眼球を取り外した。

海のような美しい深い青の眼球を入れる。



「髪はもっと輝くような銀色を。妖精のような神秘さを」



サレアが望む。

私はサレアの頭皮を引き剥がし、髪を抜いた。

妖精のような輝く銀色の髪をサレアにつける。



サレアは身体中、中身も外も継ぎ接ぎだらけだ。


あらゆる継ぎ接ぎの肉と肉がこすれて、プシュップシュッと透明な液体と赤色の液体が滲み出る。



サレアが私に微笑んだ。




サレアは今日も、世界で一番誰よりも美しい。




End.



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