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第09話 パーティ

ツイッターアカ作りました。

あまりつぶやく事はないかもしれませんが、そちらもフォローして頂ければ幸いです。

 エイル・マリー・ディルの三人はゴールドランクの冒険者で、レッドウルフに殺される寸前だったオレを救ってくれた命の恩人だ。


 その時のオレは目的だった虹の欠片を見つけた事で周囲が見えなくなっていた。その油断しているところに現れたレッドウルフに一撃で瀕死にされてしまったのだ。

 以前から、正確には転生前から一つに集中すると、周りが見えなくなると上司からも言われていた。

 この世界では本当に気を付けないと命に関わると実感させられた。


 その後三人の内の一人、マリーに回復して貰ったオレは彼らの荷物持ちとして同行し、共にロードプルフの街に戻っている。

「それにしてもお前のその鞄はいいよなー。アイアンでマジックアイテム持ちなんて始めて見たぜ。」

「ははっ、まあ色々あるんですよ。」

「なによ、人には言えない秘密の入手ルートか?こっちは命を助けてやったのになー。」

 エイルは不貞腐れたようにそっぽを向いたが、その顔はうすら笑いを浮かべ、口笛を吹くような素振りを見せている。

「でもこの子のおかげで荷物少なくなってるんだからいいじゃない。あんまり詮索しないの。」

「別にいいだろ。気になる事を聞いてるだけなんだし。そもそも嫌なら嫌って言うだろ。」

「誰もがアンタみたく何でも言える訳じゃないの。気になっても気を使ったり、空気を読んだりしてあえて聞かなかったりしてるんだから。」

「そうして気が付いたら険悪になってるってか?言いたいこと言ってぶつかって始めて相手の事が分かるんじゃねえか。」

「だからアンタは単細胞だって言うのよ。」

「おい、ムキになって手に持ってるもの割るなよ?」

 言いたいことをズバズバ言うエイルに対し、マリーはそのブレーキになる調停役だ。それが気に入らないエイルはその後突っかかっていき、喧嘩になりそうな所で普段無口なディルの一言で落ち着いて終わる。

 それがこのパーティーのパターンみたいだ。


 そんな三人のやり取りを見つつ街へと帰る頃にはすっかり日が傾いていた。

「たっだいま~。虹の結晶、見事にゲットしてきたぜー!」

 ギルドに入るなり高らかに宣言するエイル。

 その後ろをマリーとディルが並んで付いて行き、最後に小さくなりながらオレも後を追う。


 依頼終了報告のカウンターで全員が持っている虹の結晶を出す。その数丁度十個だ。

「これだけじゃないんだぜ。おいレイジ、アレ出せ。」

 そう言われてカウンター前の床にレッドウルフを出す。職員は一様に驚愕している。

「まだあるんだけど、これが私たちとこの子の共同の取り分ね。残りは後から個別でやりましょ。」

 レッサーウルフを出そうとしていた所でマリーが止めるように言う。


 虹の結晶は一つ5万Gらしい。それが十個とか馬鹿げてる。

 更にレッドウルフが10万Gだ。値段の理由を聞いたら、燃えるような真紅の毛皮がかなりの高級品らしい。牙や爪も武器として加工されるらしく、それらも中級以上の価値があり、上級冒険者からも好まれているとか。

 先日の月光花もだったが、冒険者は半端なく儲けれる。その分本当に死と隣り合わせだ。そのことを十分に実感させられた。


「さて、全部で60万だ。どう分ける?

 エイルが切り出した。

「単純に四人で分ければいいんじゃない?一人15万よ。」

「いやいや、そんなに受け取れませんよ。オレは助けていただいた身分ですし。」

「さっきも言ったと思うけど、キミを尾行したから入手出来たものなのよ?あのルートを探し出してあの場所にたどり着いたのも、そのマジックアイテムでレッドウルフを運んだのもキミだよ?キミにはこのお金を受け取る資格が十分あると思うけど?」

「いや、でも…」

「デモもストもないの!受け取りなさい!いい?」

「は、はい、わか…りました。」

 コソコソ「マリーこえーだろ?」「はい、吃驚しました。」

「なんか言った?」「「いえ、なにも!」」

 マリーの迫力にオレとエイルは口を噤むしかなかった。いいのかな?と思いつつも、15万を受け取り自分の採取品をカウンターに並べた。

 その中の一つにマリーが反応する。

「ちょっとまって、これ惰眠草じゃない?こんなのも採取してたの?」

「あ。はい。皆さんと合流する前に丘の中腹あたりだったかな?そこで。」

「コレ私に売ってよ。5千G出すから。」

「はい。いいですよ。てか差し上げますよ。助けて頂いたお礼って事で。」

 ニコッと笑いその惰眠草を差し出した。

 残った分を換金すると、全部で9600Gになった。

 内訳はアフラ草200×18で3600、レッサーウルフ1000×2で2000、虹色の欠片1000×4で4000だ。



「本当にお世話になりました。色々とありがとうございました。」

 深々と頭を下げて立ち去ろうとしたが、

「なあ、お前俺たちと一緒にやらないか?」

 思いもよらない言葉を掛けられた。周囲の確認もしないで馬鹿みたいに死にかけたこんなオレに。

「このまま一人でやってるより俺達とやった方が絶対強くなれるぞ。んで、俺達はお前のその鞄があったら一日の稼ぎが何倍にもなる。お互いウィンウィンだろ?」

「あ、アンタ何一人で決めてるのよ!バッカじゃないの?」

「なんだよ、反対か?」

「反対なんかじゃないわよ、何で私達に相談もしないで決めてるのよって言ってるの!」

「お、そうか?わりぃ、わりぃ。でもいい提案だろ?マリーとディルの技術もコイツに教えてあげれば絶対コイツの為にもなるだろうしさぁ。」

「俺は構わない。」

「私だって異論はないわよ……全くしょうがないわね。」

「こっちは皆こう言ってるけど、どうだ?」

「いいんですか?あんな簡単に死にかけるようなヤツですよ?」

「そんなだから鍛えてやるって言ってるんだ。」

 オレは俯きながら大粒の涙を流していた。前世においてこんなに人に優しくされることは無かったのだから。

「……よろしく……お願いします。」

涙でグチャグチャになった顔を見られないよう俯いたまま、小さい声で答えた。

「よろしくな、レイジ!」

いつもより結構短くなってしまいました。

話の長さを合わせるのって難しいですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] パーティって良いですね~ 大半の主人公達は強過ぎて、パーティの意味は皆無(笑)
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