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第08話  紅の狼

本日も2度目の投稿です。

明日からはペース落ちると思うので出来るだけ進ませてみました。

 翌日、昨日と打って変わって快晴だ。

 早めに朝食を済ませて、早速ギルドへ足を運ぶ。

 掲示板にはランク不問の依頼が出ている。それは雨の後に現れる『虹の欠片』及び『虹の結晶』の採取。

 それは昨日読んだ本にも書いてあった。

 ロードプルフの北西にある『赤狼の丘』。そこの中心にある窪みに一定以上の雨水が貯まることによって現れるのが虹の結晶だ。

 ただし、そこはレッサーウルフの巣。そしてそのレッサーウルフを率いているのが、地名にもなっているレッドウルフなのだ。

 レッサーウルフはアイアンクラスでも一応は戦える。しかし、レッドウルフはブロンズクラスで何とか戦えるレベルらしい。

 ただしレッドウルフは一定以上の力を持つ者の前には姿を現さないと言われている。


 どうするか悩む。実際オレが受けるには時期尚早だ。

 しかしチャンスでもある。虹の結晶が現れる条件を丁度満たしているらしい。

 とりあえず向かって、ヤバそうだったら周辺の別なものを採取してくるのもアリだな。

 自分にそう言い聞かせて赤狼の丘に向かうことにした。


 そこは見晴らしの良い草原。その先にある小高い丘、そこから木々によって先の視界が奪われており、その先はどうなっているのか分からない。

 前を歩く冒険者達はそのほとんどがその林へと入っていく。

 やっぱりあの中らしい。ぶっちゃけ行きたくない。いや、狼とかヤバいじゃん。現代日本に生きてる人が剣を持ったからって狼と対峙できるかって話なのだ。

 それでもここまで来たからには行かざるを得ないだろう。重い足取りながらその林に入っていく。

 マップを見る限り中心部はまだ北だ。しかし先行してる冒険者は北西に向かっている。

 ついて行くべきか、マップに従って中心部に向かうべきか、足を止めて考える。

「おい、どうした?ここまで来てビビっちゃったか?」

 後ろから追い越していく冒険者が声を掛けてくる。

「いや、オレはこっちへ行くわ。」

 そう言ってオレは北へ向かうことにした。


 一応鑑定を使っているので、途中にあるアフラ草は採取していってる。

 その他にも売れそうな物は採っていく。昨日本で調べたのが役に立っている。

 少し進むと前方に動く影が見えた。レッサーウルフだ。

 流石にレッサーだ。その大きさは小型犬より一回り大きいくらいなのだ。

 木の陰に隠れながらゆっくり近づく。と、その時右手から別個体が走ってきた。

 飛び掛ってきたレッサーウルフに対し、すかさずミドルキックを入れる。

 ここで格闘スキルが役に立った。起き上がろうとしているレッサーウルフに間髪入れずシミターを振り下ろす。腹を裂かれた個体は直ぐに動かなくなった。

 しかし、その音で先にいた個体がこちらに気がつき襲ってくる。

 今度は飛びかかっては来ず、足元に噛み付きに来た。足を引いたが直ぐに回り込んで噛み付きにくる。

「あぁ~面倒い!」そのまま蹴り上げ一回転して倒れこむ。そしてすかさず切りつけた。

 辺りを見渡したがこれ以上はいないようだ。倒したレッサーウルフをアイテムボックスに入れ、先へと進む。

 マップを見ながら暫く進むと、鑑定に引っかかった。

 『虹の欠片』

 ビンゴだ。それを拾い上げ、更に周囲を鑑定する。この先にもう一つ見つけた。

 この時オレは虹の欠片を見つけた事で周囲への警戒が皆無になっていた。

 あそこで道を外れ、一人進んできた道が正しかった。その事が堪らなく嬉しくて、この先にあるであろう虹の結晶を早く採取するべく、周囲には目もくれずにそちらに走っていた。

 二つ目、三つ目と虹の欠片を採っていく。そして遂に窪地を見つけた。


 鑑定してみるとそこには確かに『虹の結晶』がある。

 そこに向かって一歩踏み出そうとしたその時、

「ギャオォォォン」

 横から腹部に何かがぶつかってきた。視界に映る景色が一回転する。

 何が起きたのか、その視界には空が映っている。そこに入り込んでくる紅色の獣。

 レッドウルフ…叫びたくても声が出ない。逃げたくても身体が動かない。

 その顔がこちらに近づいてくる。

 嫌だ、助けて……死にたくない……嫌だ……

 涙を流しながら絶望に打ちひしがれる。


 恐怖で意識が持っていかれるその刹那、レッドウルフの身体は宙を舞い、そこへ現れた影により首が飛ぶ。

「やっぱりこいつに付いて来て正解だったぜ。」

「アンタの言うこともたまには正しいのね。」

「なんだと!いっつも正しい事しか言ってねーだろうが!」

「何言ってるのよ、この間の盗賊の尾行だって、アンタの言うとおりにして撒かれちゃったんだから。」

「あれはお前が横から五月蝿くするから…」

「お前たち、喧嘩するのはいいけど、こいつ死ぬぞ?」

「お!こりゃひでーや。腹が抉れて内蔵見えちゃってるじゃん。マリー、治してやれよ。」

「言われなくてもするわよ。ハイヒール!」

 緑の帽子を被った女が魔法を唱えると、オレの腹の傷が一気に治っていく。

「大丈夫?傷は治したけど、流した血は戻らないから無理しちゃダメだよ。」

 キョトンとしたまま固まっているオレに話しかけている。

「おい!大丈夫かー?意識あるかー?」

 目の前で手を振りながら男も話しかけてくる。そこで我に返り、辺りを見回す。

 既にレッドウルフの姿はない。いや、正確には死体はあるのだが、視界に入らない。

 目の前には三人の男女の姿がある。

「あなたたちは?……レッドウルフは?」

「レッドウルフはもう倒したよ。おめぇは一人でこんなトコまで来るなんて何考えてんだ?」

「倒した…?助かったんだ…よかった…」

「お前、装備を見る限りまだアイアンだろ?一人でここに来るなんて十年早いぞ。」

「はい、すみません…。」

「まあ、助かったんだ。細かいことは気にすんな。おっと、オレはエイル。ゴールドだ。んで、こいつがお前の傷を治したマリー。こっちの無口がディルだ。」

「あ、助けてくださりありがとうございます。オレはレイジです。まだ全然新人だけどよろしくお願いします。」

「あら?礼儀正しいヤツだわ…。」

「アンタが礼儀知らずなだけでしょ!ごめんねー。コイツ常識なくて。」

「いえ、命の恩人ですから。」

「でもね、ホントにコイツの言うとおりだよ。ここはアイアンが来ていいトコじゃないの。依頼はランク不問だったかもしれないけれど、実際はブロンズ以上推奨なんだから。」

オレは何も言えず俯いたままだった。

「とりあえずアレ取ってこないか?」

 無口がディルが突然口を開いた。

「ああ、そうだな。ちょっくら行ってくらぁ。」

 エイルは走り出し、窪みの大きな水たまりの中から、透明でありながら光が当たる度に七色に輝くその球体を丁寧に拾い集めていく。

 三往復くらいで全て集め終わった。

「よし、これで全部だな。結構な数になったなー。これってかなり壊れやすいみたいだから相当注意して運ばなきゃならんぞ。鞄に入れるにしても重ねて入れて大丈夫か~?心配だな。」

「ねえねえ、キミも持ってよ。身体が弱っててもそれくらい出来るでしょ?」

「だな。まあ、お前を尾行したからゲットしたようなもんだしな。分け前はしっかりやるよ。」

 向こうから思いもよらない提案が出た。それだけで報酬貰えるなら願ったりだ。

「いいんですか?俺にとっては願ったりですけど…」

「いいんだよ。その代わり絶対割るなよ!コレ相当割れやすいらしいからな。」

「はい。気をつけます。このレッドウルフはどうします?素材として結構な値段で引き取って貰えそうですけど?」

「コレは無理でしょ、手間と体力を考えたら虹の結晶には全然及ばないよ。」

 そうか、普通はアイテムボックスなんて持ってないよな。この大きさを持って帰るなんてオレもゴメンだ。

 けど勿体無い。バレずに運ぶ方法は何かないだろうか?

「勿体無いよなー。マジックアイテムでもあればなー。」

 ん?マジックアイテムだと?

「あんなの高くて買えないわよ。今回の報酬次第では何とかなるかもかもだけどねー。」

 そうだ。この鞄をマジックアイテムって事にすれば…

「えーと、この鞄なら運べると思いますよ。」

 そう言ってレッドウルフの亡骸を持って鞄に入れるふりをする。鞄の入口にアイテムボックスの黒い空間を作っておき、そこへ入れていく。

「マジかよ!お前アイアンだろ!スゲーもん持ってるなー!」

 三人共かなり吃驚している。

「なあ、そこに虹の結晶はいれれないのか?」

「いや、割れやすいものって入れたこと無いのでどうなるのかさっぱりわかないんですよ。念のため止めておいた方がいいと思いますよ。」

「あ~、だよなー。んじゃ、帰るかー。」

彼ら三人と一緒に帰路に就いた。

読んでいただきありがとうございます。

この日の終わりまではいけませんでした。

話を考えるだけで熱が出そうです。


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