表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/200

第76話  防衛戦開始

ブクマ200件!

ありがとうございます。

飽きられて減らないように頑張っていきます。

 街門前には既に冒険者が集まっていた。その数は70名程になる。

 但し、現在この場には魔道士と狩人、弓兵(アーチャー)は含まれていない。

 それらの遠距離攻撃を持つ者は、外壁上からの攻撃を行っているからだ。

 そのメンバーを含めると、冒険者だけで100名に達しそうな人数だ。

 そうなると、前回のゴブリンの集落の時には居なかったメンバーがかなり多かった事が伺えるだろう。

 それでも防衛戦にはしっかり参加するのはこの街が好きな事の現れだと言える。

 そんな中に今オレ達も入っていった。


「ロードウインズ到着した。ギルド長は何処だ。」


 やはりこう言う時のエイルはカッコいい。

 普段とのギャップがあるから余計にそう感じてしまうのだろう。


「ロードウインズの皆様、こちらです。」


 ギルド職員がオレ達の元へとやってきて誘導してくれる。

 

「来たな。こっちだ。」


 そこにいたのはギルド長、そしてパウロを中心としたマッドネスサイスの面々だ。

 パウロは一瞬エイルに視線を送ったが直ぐに視線を外した。

 以前のように何か一言嫌味を言うのかと思ったが、何も起きなかった。


「ミルファ、レイジ!ちゃんと来たんだな。」


 オレ達に話しかけてきたのはケントだ。

 今回のブロンズランク試験を通して随分と仲良くなった気がする。

 と言うより、何処となく性格が似てるからなのか、話がしやすいのかもしれない。


「パウロさん、コイツですよ。ブロンズランク試験でメノウリザードオニキスを単独で倒したのは。」


 ケントは何を話したのだろうか。あまりそういう話を広めないで欲しい。

 気持ちはいいが、面倒なのは勘弁被りたいのだ。


「ほう。コイツが……ん?お前……フギンとムニンのヤローにやられた……」


 どうやらフギンとムニンの被害者として、ギルドで顔を合わせた時の事を覚えているようだ。

 あの時このパウロとは一言も会話はしていないはずだが覚えていたらしい。


「そうか、お前が。おい、今回のスタンピードにはアイツ等が絡んでる可能性がある。

 もし見つけたら真っ先に俺に知らせろ。いいな。」


 そう、この人も大事な人をフギンとムニン、そしてオーディンに奪われてるのだ。

 この戦いは場合によっては弔い合戦にもなり得るのか。

 オレ達の前から離れていくパウロを見ながら、そんな事を考えていた。


「後はルナのブラッドローズだけか。お!あれ、そうじゃないか?」


 通りを歩いてくる女性だけが六人。間違いない。

 『麗しきアマゾネス』それがブラッドローズの別名だ。

 その名の通り、ソニアを筆頭に美しい女性が揃っている。

 まあ、オレとしてはルナが断トツなのだが。


「これでゴールドランクが全員集合したな。では作戦を伝える。」


 ゴールドランクを擁する三チームに対してギルド長からこれからの動きに関する説明が行われた。

 遠距離攻撃を持つディル、マッドネスサイスから二名とブラッドローズから二名、合わせて五名は外壁上からの攻撃に回る。


 前衛攻撃タイプは前線の領主軍と共に魔物の撃退への参加。

 此処にはエイル、パウロ、ソニアの各リーダーも含まれた。


 マリーなどの支援タイプは最後尾の街門前にて負傷者の回復を最優先に行う模様。


 そしてオレ達、新ブロンズランク組四人はコモンランク以下を統率し、最前線の一歩手前で包囲網を抜けてきた魔物の討伐役となった。


「では諸君、宜しく頼む。レイジ達四人は一旦集まってくれ。」


 どういう訳か皆が戦いに赴いた後にギルド長から呼び出しが掛かった。


「ケントとルナは先程話した通りコモン以下を引っ張っていってくれ。

 それで、レイジとミルファだが――」


 ギルド長はブリュードルからオレの魔法についても聞いていたらしく、一先ずはミルファと共に外壁上より遠距離攻撃に徹する事。

 旗色が悪く、前線が不利になった際にはケントとルナと合流し、最前線へ向かって欲しいとの事だった。

 言わば別働隊として扱われるようだ。


「つまり俺らは序盤は暇してるしかないんだな。」


 詰まらなさそうにケントは言う。


「いや、必ず前線を抜けてくる奴は多少なりいるはずだぞ。それを抑えるのが仕事だろ。」


「レイジは全てにおいて活躍出来るからそんな事がいえんだよ。羨ましいぜ。」


 いや、別にブロンズに昇格したばかりだし、此処で活躍してもいい事無さそうだから楽したいのが本音なのだが。


「まあ、愚痴っても仕方ねぇよな。レイジ!前線に行くときには絶対声掛けろよ。」


 そう言い残してケントとルナは持ち場へと向かっていった。


「じゃあオレ達も行くか。」


 こうしてオレ達のスタンピード防衛戦は始まった。


 既に夜も深くなっている為、外壁上から魔物は殆ど見えていない。

 魔道士が放つ火魔法によってその場所のみが照らし出されるだけであった。


「こりゃ全く見えないな。最前線はまだまだ東だよな。」


 北に面した街門から東に伸びた外壁に沿って、魔物は進行してきている。

 その為、この外壁上から魔物を狙い撃つ事が出来ていた。

 この外壁の最東端から弓や魔法による攻撃が行われている。


「ディルさんはこの辺にいないのか。」


 オレ達はとりあえずディルを探している。

 その方が攻撃のタイミングを取りやすいと考えたからだ。


「レインアロー!」


 少し先に知ってる技を使う人物を見つけた。

 間違いない、ディルである。


「ディルさん、此処でしたか。」


「レイジ。どうして此処に?」


「とりあえずは此処から魔法攻撃を命じられました。」


「あら?この子って前にウチのルナを訪ねてきた子よね?」


 そんな話声が聞こえ、そちらに目を向けた。

 そこにいたのはブラッドローズのレイとナディの二人。

 確か記憶では二人共ディルに気があったはずだ。


「えーと、確かブラッドローズの……」


 二人から自己紹介をされ、ルナから噂は聞いてるという。

 どんな噂かは分からないが深く聞くのは止めておこう。


「それで、どんな感じですか?」


「分からない。この暗さでホントに分からないんだ。

 今も闇雲にただ射ってるだけだったからな。」


 やはりこの夜の闇が最大のネックになっているようだ。

 生活魔法クラスならオレでも光は出せるが、闇夜を照らす事まではできない。

 ならば属性融合でミルファの聖属性の光と融合させてはどうだろうか?

 ダメ元で試してみてもいいはずだ。


「ミルファ!」


 ミルファにソレを説明する。

 ミルファは半分は理解したようで、とりあえずやってみる事にした。


「いくぞ。」


 ミルファと互いの手を合わせ、出してる魔力を融合していく。

 魔力が混ざり合い、現れる光の玉。

 それを魔物達がいるであろう場所の上空へと飛ばす。

 すると、光はその真下を照らし出し、その場一帯は明るく照らし出された。


「おい!魔物達が見えるぞ!あそこを集中して狙い撃て!」


 光の下の見える魔物は集中攻撃を受け次々と倒れていく。


「レイジさん、これって……やりましたね!」


「ああ。ドンドンこれで皆の視界を作っていくぞ。」


 こうしてオレとミルファで次々と光の玉を出し、外壁上からの攻撃精度が増し、ゴブリン達は倒れてく。

 が、この後魔物は迂回を始め、外壁からの攻撃は届かなくなってしまった。


「おかしい。動きが頭脳的すぎる。間違いなく統率者がいるな。」


 それがディルの見解だった。

 いずれにしてもオレ達は此処に居る意味をなくした。

 ならば前線に立つだけである。


「ミルファ!ルナとケントを呼びに行くぞ。前線に出る。」


「はい!」


 こうして戦いは佳境を迎える事になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=444348564&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ