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第67話  大魔導師による力の変化

 ファスエッジダンジョンに来て三日目。


 この日で此処での鍛錬は終了する予定だ。

 とりあえず49階層で自分の能力の確認と、新しいジョブを少し鍛えておこう。


 49階層に上がるとまた目の前にファイタードラゴンが待ち受けていた。

 コイツは此処が定位置なのかもしれないな。


 早速黒魔法中級の威力を確かめてみる。


「アイスニードル!」


 氷柱が相手目掛けて飛んでいく。

 しかし、当たってはいるが倒れない。

 ジョブ変更でオレの魔力が下がったからだろう。

 それでも相当のダメージは与えているはずだ。

 鋁爪剣(りょそうけん)を取り出し斬りつけると、簡単に倒れていった。


「うーん、やっぱりジョブ変更でステータスは低下してるのが分かるな。

 少し此処で鍛えてから降りるって事でいいか?」


「勿論です。私も同じなんですから。」


 ここからは魔法剣氷でドンドン討伐していく。

 マジックポーションも更に200個追加しておいた。

 魔力を気にせずに強力な魔法剣を連発していく。

 一時間程で大魔導師のレベルが15を超えたので、最後にもう一度ファイタードラゴンと戦って終わりにする。

 最初と同じアイスニードル。

 今度は一撃で倒れていく。


「よし!51階層へ行くか!」



 51階層へ来たはいいが、未だ昨日よりステータスは低いままだ。

 油断しないようにと気合を入れ直し、スライムマーキュリーの前に立つ。


 スライムマーキュリーは毒属性の攻撃である水銀弾を放ってくるが、ミルファが掛けてくれた毒系攻撃だけを防ぐ魔法、ヴェノムバリアで完全に無力化している。

 その間にオレはファイアを当てるだけで倒していける。


 オークマジシャンには魔法剣で攻撃していく。

 攻撃力は変わってないどころか、レベルアップした分強くなってるので、昨日よりも楽に戦えている。

 総合的に見ると、確実に昨日より楽に戦えているのが分かる。

 これはミルファの魔法の種類が増えた事も大いに関係しているのは間違いないだろう。


「ここも余裕かもな。下へ行ってみるか?」


「そうですね。見るだけでも行ってみて問題ないと思います。」


 ただ、マップを見ても、次の階層への階段まで一時間は掛かる。

 時間も惜しいので、極力魔物を倒しながら進んでいった。


 初めて足を踏み入れた52階層。


 バーゲストという犬の魔物が早速行く手を阻む。

 真っ黒な体躯に真紅の瞳。鎖を引き摺るさまは今までの魔物の比ではない。


「ミルファ、タイミングを見てホーリーを頼む。」


 オレはそう言うと、魔法剣氷を使いバーゲストに突っ込んでいく。

 振り下ろした一撃は首を振る事で動く鎖に防がれる。

 二撃、三撃と繰り出すが、全く当たらない。


 ならば……と、更に相手との間合いを詰め、同じように剣を振るう。

 やはり相手には当たらない。が最後の振り上げを大きくバックステップで躱した瞬間。

 魔力を集中させ、オレの手が金色に輝いた。


「サンダーショット!」


 繰り出された一直線に迸る雷光がバーゲストを襲う。

 バックステップ中の為、空中で回避は出来ない。

 見事眉間に命中し、大きく吹き飛んでいく。

 直ぐに起き上がろうとするが、そこにミルファのホーリーが追撃する。

 それを受けたバーゲストはそのまま倒れ絶命していった。


「強いわ~。結構ギリギリだったぞ。」


「でも、レイジさんは一回も相手の攻撃は受けていませんから。まだ大丈夫じゃないですか?」


 ミルファはまだ余裕があると言うが、オレは痛いのが嫌なのだ。

 ギリギリの戦闘は求めていないのだから、ここら辺が限界だと思っている。


「相手の攻撃を受けながら進みたくはないし、此処で稼いでいこう。」


 そう言ってこのフロアでの戦闘継続を促しておく。


 次に現れたのは野干という妖狐の仲間だ。

 コイツは黒い時と青黄色の時とで行動が変わってくる。

 黒い時は影に潜み、一切の攻撃を受け付けない。

 そして青黄色になった時は一気に襲いかかってくる。

 この時は一切防御行動は取らない為、攻撃チャンスでもあるのだ。


 オレ達は最初はそれが分からず、黒い時に攻撃を仕掛け、全く当たらず、青黄色の時は相手の攻撃を受けに走っていた。

 抑もそれが間違いだと気付くのに相当な時間を無駄にしてしまった。


 野干が青黄色に変わった瞬間、アースウォールで土壁を作る。

 上から来たらミルファの矢の餌食だ。

 左から来たらそこにはオレが待ち構えている。

 右から来たならミルファの矢とオレの魔法で集中攻撃だ。


 これが見事に嵌ってくれた。

 何匹出てきてもこの方法で楽に討伐出来ている。


 このフロアでの状況を考えてみる。

 先ず、野干は結構余裕で倒すことが出来ている。

 問題はバーゲストだろう。

 あれは強い。此処まで10匹程倒しているが、慣れてもその強さは際立っている。

 もう少し余裕が出来たら先へ進んでもいいが、今日は行けるかどうかギリギリだろう。


 そして、これら二種を其々50匹ずつ討伐したところで、下層へ行く事を決断した。

 理由はもう最後だから少し覗くくらいいいだろうと思っての事だ。


 進んでいき、53階層。


 虫フロアだ。先ず出てきたのは、キラーマンティスというカマキリだ。

 その名の通りその鎌は殺人鎌のように鋭く伸びてくる。

 それでいて二刀流だ。かなり防御してる時間が伸びてくる。

 こんな時にはミルファの存在が際立っている。

 足、顔、心臓と狙うポイントを変えながらキラーマンティスを射抜いていく。

 コイツ相手の際にはミルファが倒してくれる。

 このパターンもオレ達の一つの形として出来つつあるようだ。


 ソードスタッグはクワガタの魔物になる。

 その名の通り身体の至る部位が剣になっている。

 鋏は勿論ながら、足と羽も剣として抜群の切れ味を持っている。

 これらの素材としてもかなり優秀なのだが、決して金属ではなく魔物の身体の一部である為、その加工は錬成でしか行うことは出来ない。


 そんなソードスタッグに初めは剣で攻撃を仕掛けたが、難なく弾かれてしまった。

 流石の鋁爪剣(りょそうけん)でも、ただ振るっただけの攻撃では全く通用しないようだ。

 多分魔法は効くだろうが、何となくそんな勝ち方が気に入らなかったオレは、絶対に剣で倒すとムキになっていた。

 そのまま攻撃しても全く歯が立たない。

 そんな攻撃を繰り返し、漸く無理であることを悟ったオレは、妥協して魔法剣で攻める事にした。

 

 使ったのは魔法剣炎。

 これは魔法剣火の上位互換であり、黒魔法中級と魔法剣のスキルレベルが一定以上に達していれば使う事が出来る。

 これを持って斬りかかると、一切の手応えがないまま両断していた。

 切断面は切り口から溶けたようになっており、火耐性を持たない魔物はほぼ一撃で倒せる気がしてきた。

 但し、この技は消費魔力が異常な程多い。

 普通に使っていけば、多分三回が限度だろう。

 まあ、マジックポーションが大量にあるから今となっては関係ないのだが。


 この方法を発見してからはオレの無双が始まった。

 このフロアの魔物は一刀で両断されていき、その全てがオレとミルファの経験値へと変わっていく。

 

 この日の狩りを辞める頃には、大魔導師のレベルは25まで上がっていた。

 勿論、同じタイミングでジョブを変えたミルファも、司祭のレベルは同じくらいになってるはずだ。


 此処から50階層まで帰るだけで、急いでも二時間以上。

 もう少し早く戻れば良かったと多少後悔しながら戻っていくのであった。

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