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第65話  経験値稼ぎ開始

本日二話目です。


 オレ達は今、シームルグに乗ってファスエッジダンジョンへ向かっている。

 そのスピードは時速300キロに迫る早さだ。

 確かにこれなら500キロ先のファスエッジダンジョンまで2時間と掛からずにたどり着くだろう。


 背中には僅かに窪みがある。これが直接風が当たらないようにオレ達を支えてくれているようだ。

 これは早く結界系の魔法を覚えた方が良さそうだと、オレもミルファも二人して思っていた。


 最初はロードプルフの街から見えないように低空飛行だったが、直ぐに高度を上げていき、気が付けば見える景色全てを見下ろす程の高度まで上昇していた。

 元々は高所恐怖症だったはずだが、今ではそんな事はなく、高度による恐怖は全く無かった。

 敢えて言うなら、目撃される恐怖が一番だったかもしれない。


 予想通り2時間掛からずにファスエッジダンジョンへ到着し、早いうちにダンジョンアタックに入ろうとしていた。


「おい、レイジ。何処へ行く。」


 シームルグがそのままダンジョンへ入ろうとするオレ達を引き止めた。


「私に捕まれば50階層まで一気に行けるぞ。早く捕まるのだ。」


 それは素晴らしいが、オレとミルファの二人で50階層より先を進んで行けるのだろうか。

 ミルファもそこが不安なのかいい顔はしていない。

 その不安をシームルグに相談してみた。


「レイジは私を召喚出来るのだろう?そのまま本体が手伝っても経験値にはならないだろうが、召喚された私ならば魔法扱いだからな。

 問題なく経験値にもなるはずだ。さあ、いくぞ。」


 そう言われたら行くしかないだろう。

 ミルファと顔を見合わせお互い頷くと、共にシームルグにしがみつく。


「よし!ではいくぞ。」


 そう言うと、オレ達は足元から光の粒子となって消えていった。


 次の瞬間には見覚えのある空間にいた。

 この古代の地下宮殿のような雰囲気。

 そう、ここはファスエッジダンジョン50階層、シームルグのいた部屋だ。


「早くも此処に戻ってきたな、レイジよ。」


 声のする方を見てみると、人型のシームルグがそこに立っていた。


「さて、残り四日で鍛錬出来る場所だったな。ならば此処はうってつけだろう。

 一つ上のフロアにはファイタードラゴン。一つ下にはオークマジシャンと、どちらに行っても丁度いい相手が揃っている。

 四日もあればかなりいい経験値稼ぎになるだろう。」


「……前回はエイルさん達の力が大きかったと思うんだけど大丈夫か?」


 自分を過大評価するつもりはない。実際オレがガンガン攻めて行けたのは、ディルが背後を守ってくれていたからだと分かっているつもりだ。

 だからこそ、不安が大きくなっている。


「大丈夫だろう?ミルファも支援魔法が使えるし、弓での援護もしてくれる。

 ミルファを守ってやるなんて奢ってるなよ。お前達は対等だと思って、お互いの背中を預けて戦えばここらの魔物に遅れを取ることなどありえんのだから。」


 その通りだった。オレはミルファを守るべき存在だと思って戦っていた。

 それは間違いなのか。いや、間違いではないだろう。

 お互いがお互いを守って戦えばいいのだ。

 オレもミルファに守られてるという自覚を持てば、自然と前へと進む力になるという事なんだろう。


「……ミルファ、後ろは頼むな。」


「……はい!任せてください。」


「んじゃあ、シームルグに頼らなくて済むように頑張ってくるわ。」


 二人の姿を眺めているシームルグは微かに微笑むと二人を送り出し、自らは宮殿へと入っていった。



 先ずは、以前も戦った事のある49階層へと向かう。

 このダンジョンで上へと進むのは初めてなので、少し違和感が有る。

 前回は1日10フロアという強行軍だった為に、戻って魔物狩りなど出来るはずもなかったからだ。


 上がるといきなりファイタードラゴンが待ち受けていた。

 不意を突かれたオレは先制攻撃を受けてしまう。が、咄嗟にミルファはガードを掛けてくれていた。

 お陰でダメージは殆ど無く、直ぐに反撃に出る事が出来た。


 いきなり全開で行く。

 オレなりに考えた属性融合の使い方。

 今までは出来なかった二属性同時使用、これを融合ならばより思った通りの効果を発揮してくれるのではないだろうか。

 オレが今回使うのは水属性をメインに風属性でその熱量を奪っていくイメージだ。

 これで生まれるのが氷になるだろう。というのがオレの勝手なイメージだ。

 実際には氷の発生には至らないかもしれない。

 なので、これを魔法剣で行うとする。

 魔法剣水をメインに風属性でその温度を氷点下まで低下させていく。

 これで……魔法剣氷の完成だ。


 見事にイメージ通りの氷を纏った剣になっている。

 何故氷なのか?答えは単純だ。

 某国民的モンスター育成ゲームでもドラゴンタイプは氷タイプが弱点だったからだ。


 早速剣を構え、ファイタードラゴンと対峙する。

 今度はオレから攻撃を仕掛ける。

 なぎ払いからの巻き打ち。そこから、その勢いのまま振り下ろしを浴びせると、雄叫びとともに倒れていく。


「っし!完璧!」


 思った通りの攻撃が出来た。

 今の一連の流れは自分でもかなり良かったと思う。

 後から知ったのだが、これが切欠でスキル『連撃』を入手していた。


 同じようにこの魔法剣氷でリザード兵も難なく倒すことが出来た。


「これはいけるな。ミルファ、援護お願いな。」


「任せてください。レイジさんの背中を守るのは私だけの仕事ですからね。」


 この調子でドンドン倒していき、この日だけで合計100匹を超える魔物を倒していた。




「ふー、属性融合を使った攻撃は強いけど、魔力消費が大きすぎるな。この短時間で枯渇寸前だ。」


「戦闘スタイルをもう一つのパターンを作って、魔力を少し温存させながら戦うスタイルを見つけなきゃダメな感じですか?」


「そうだな。そうすると……ミルファをメインにオレは囮に徹する感じか……。

 よし!明日はそれを試してみようか。」


「私がメイン?無理ですよ!レイジさんをメインとした別の方法を考えましょう。」


 ミルファはサポートだけでないく、通常戦闘においても十分に才能があると思っている。

 足りないのは自信だけ。それを自覚すれば一気に化ける可能性があるはずだ。


「オレが見る限りは、ミルファってかなり才能の塊だと思うんだよな。

 とりあえず一回やってみよう。なっ!」


「うう……分かりました……出来る限り頑張ってみます……」


「その間はオレがミルファの背中を守り続けるから。」


 そんな事を話しながら50階層へ戻ると、シームルグから休むなら神殿を使っていいとの許可が降りた。

 入ってみたものの、中は何もなく、ただ広い空間が広がっているだけだ。


「なあ、ここって何もないのか?」


 流石にこれだと、外にテントを張った方が休める気がする。

 そんな思いからシームルグに聞いてみた。


「ふふっ、レイジは想像力が足りてないようだな。ここの空間はイメージを実体化させる事の出来る特殊フィールドとなっている。

 まあ、生物は無理だがな。例えばそうだな……これなんかどうだ?」


 そう言い、シームルグが実体化させたのはオレの鋁爪剣(りょそうけん)だ。

 細部まで完璧に同じ作りになっている。


「それは……鋁爪剣か?まさかイメージだけで?」


 俄かには信じられないが、今目の前で起きている現実がそれを物語っている。

 まさかと思いながらも普段使っているベッドをイメージする。

 次の瞬間、目の前にはいつも使っているベッドが置かれていた。


「ホントに出ちゃったよ。」


「レイジだから此処への立ち入りを認めたのだ。今は此処でしっかり休め。

 それと……前世の知識の物をイメージするのは禁止だ。

 アレらはこの世界に持ち込んではいけないものだ。食べ物だけはいいがな。

 それと、食べ物以外の物は持ち帰るのも良くはないな。

 持ち帰りたい物があるなら一声掛けてくれ。それで判断しよう。」


 ちょっと考えていた事を読まれたのか、オレがそれを実行する前に禁止されてしまった。

 しかし、この広い空間にベッドだけあっても落ち着かなくて眠れる気がしない。

 出来れば部屋くらい欲しいトコなのだが……

 という思いをイメージしてしまったからなのか、そこにプレハブサイズの部屋が現れた。


「あ……」


 中を見てみると何もないただの部屋。

 寝るには丁度サイズの部屋になっている。


「ミルファ、此処にベッド持ってきて休もう。」


「分かりました。でも……食事は外行かなきゃ火を使えないですよね。」


「食事もイメージで出せばいいんじゃないか?」


 オレはそう言うと、この世界には存在しないが、現代人は皆が大好きな料理をイメージしそこに実体化させた。


「これは……いい香り。何て料理ですか?」


「これはラーメンだ。前世の世界では皆が食べていた最もポピュラーな食べ物だな。」


 その時、匂いを嗅ぎつけたシームルグもこの部屋へと入ってくる。


「なんの匂いだ?美味そうで敵わんぞ。」


 まあ、仕方ない。もう一つ追加で実体化させ、シームルグも一緒にコレを味わい、体を休める事となった。

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