第06話 冒険者生活開始
本日2回目の投稿です。
思わず頑張ってしまいました。
翌朝、日の出と共に目を覚まし、少し体を動かしたあと準備を始めた。
二階の食堂へ行くと、既に数人が朝食を食べ始めていた。
「おはようございます。直ぐに食事を用意しますね。」
店員は朝から慌ただしそうにしている。一階も朝から盛況なのかもしれない。
朝食に出されたのは、コッペパンみたいなパンとオニオンスープ、あとはサラダだ。辺境伯邸のパンよりこっちのが柔らかくて美味しい。
食べ終えると、部屋で防具を身に着けて冒険者ギルドへ向かう。
ギルドは沢山の人で賑わっていた。入口の前には、待ち合わせをしているのか、何人もの人が屯している。中には貴族のような衣装を身に纏った人物も見受けられた。
外に比べて中は割と普通だ。そこそこ人はいるが、カウンターに列を作るほどではない。
実は、前日に依頼を受けておいて、当日は朝から目的に向かうのが一般的らしい。そんなことを知らないオレは今から依頼掲示板を見に行く。
冒険者にはそれぞれランクがあり、上からクリスタル・プラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズ・コモン・アイアンとなっていて、更にその中でⅠとⅡに分類される。
最初は誰でもアイアンⅡからのスタートとなる。オレもアイアンⅡからのスタートだ。
アイアンランクの掲示板は基本的には常設依頼しかない。
スライムやゴブリンの討伐、ポーションの材料になるアフラ草の採取、森の入口付近にある山菜の採取、あとは非戦闘職向けの街の清掃などがある。
これらは基本的に依頼を受けずにそのまま結果を出せば依頼達成となる。
ただ、ごく稀にだが、富裕層からそこそこ高額でペットの散歩等の依頼があったりするらしい。その為、たとえアイアンランクであっても掲示板に目を通すのが一般的らしい。
今日は特別な依頼は見当たらない。そのままギルドを後にして、街の外へ向かった。
今日もいい天気だ。まずは森にでも行ってみようか。ギルドで見た地図によると、森は街の東に広がっている。
マップを出して確認しつつ、東へ向かう。
いつ魔物が出てもいいように、シミターは腰に携えている。ダガーはアイテムボックスの中だ。
草むらで何かが動いた。直ぐにシミターを構える。ゆっくり近づくとソレは飛び跳ねた。
兎だ。しかしただの兎ではない。後ろ足が異常に発達し、アスリート並みの脚を持っている。
鑑定:フットラビット
「フットラビットって、常設依頼にはなかったな。もっと高ランクか、逆に討伐対象になってないのか。」
いずれにしても初めての獲物だ。仕留める事が出来るなら仕留めたい。シミターを構えてフットラビットと睨み合う。相手が飛び掛ってきた。しかし距離があるため動きが見える。タイミングを合わせてなぎ払った。
一閃。胸を裂いてそのまま動かなくなった。
「ふーっ、ふーっ……あー、緊張するな、これは。」
初めての戦闘で動悸が激しくなっている。緊張した。心臓が飛び出るかと思った。大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
倒したけど、コレをどうすればいいのか分からない。悩んだ末、そのままアイテムボックスに入れる判断をした。
森の前まで着くと、茂みも深くなっている。冒険者以外が入ることはないらしい。
とりあえずそこら辺の草を鑑定しまくる。
雑草 雑草 雑草 アフラ草 アフラ草 雑草 アフラ草 ハーブ アフラ草 辛味香草 雑草
ハーブや聞いたことのない草が生えてる。雑草以外まとめて貰ってしまおう。ドンドン刈り取る。
目の前にゆっくり動く軟体生物がいた。これがあの有名なスライムだ!実物は可愛さの欠片もない、何てことのない無機物だ。
某有名RPGや魔王に進化したスライムなどでは決してない。ただの大きいアメーバだ。
シミターで3回ほど叩きつけると溶けるように消えていった。
消えた跡には小さな汚い宝石みたいな物と、プルプルした物体、鑑定してみると、『小魔石』『スライムゼリー』だった。
「食べれるのか?」
思わず口走ってしまったが、怖いので食べはしない。
それからも、鑑定 採取 採取 採取 討伐 鑑定 採取 採取 討伐……この近辺のは刈り尽くしたらしい。鑑定しても雑草しかない。
「うーん、少しだけ森の中を見てみようか。」
何となく気になってしまい、森林へ足が向く。どうせこの周辺にはもう何もないのだ。
見た感じだと魔物はいない。周囲を鑑定してみる。
杉 雑草 杉 シマイ茸 雑草 杉 レネ茸 楢 楢 タモギタケ 楢 杉 雑草 椚 月光花 楢
キノコだ。聞いたことない種類が多いが、タモギタケは知ってる。食用のはずだ。鑑定がないとわからなかったが。
月光花とは字面は綺麗だな。とりあえず持っていくか。
わからないキノコは放置しよう。毒だったら嫌だし。
もう少し進んで鑑定。
椚 雑草 アフラ草 楢 タモギタケ 楢 雑草 ゴブリン 杉 雑草 ゴブリン 杉 アフラ草 楢
ん?ゴブリンだ!こちらには気付いていない。木の陰に隠れながら近くの一体に近づいていく。
後ろを向いた瞬間に一気に近づきシミターを振り下ろす。肩から腰までを一気に引き裂く。
「っぎゃ!」
死に間際のその声にもう一匹が反応し、こちらに気が付いた。
ゴブリンがナイフで切りつけてくるが、遅い。遅すぎる。思わず左手の盾を出したが当たる前に躱して、そのまま盾で殴りつけた。倒れたところを一突き。ゴブリンは絶命した。
それにしてもゴブリンは気持ち悪い。肌は小汚くヌルヌルしているし、血は黒い。
討伐証明は魔石でいいらしいが、取り出すのを躊躇ってしまう。心臓部にダガーを刺し、そこから手を突っ込み小魔石を取り出す。
もう二度としたくない。ホントに嫌だ。
森の奥に入ると、もっとゴブリンや更に強力な魔物が出そうなので、一旦森林の外に出ることにする。
少し迂回して、アフラ草を集めながら街へ戻ることにした。
そこでも時折スライムが現れそれも討伐し、結構な量の素材を集めて今日のクエストは終了した。
ギルドへ帰還したのは日暮れの少し前。この時間は帰ってきた冒険者や、護衛でこの街に着いた冒険者で溢れかえっている。
依頼完了の報告は…あそこだな。
「常設依頼をやってきたんだけど、ここでいいのかな?」
「はい、大丈夫ですよ。どの依頼でしょうか?」
「ゴブリンとスライムの討伐にアフラ草の採取です。」
「わかりました。では、ゴブリンとスライムの小魔石と、アフラ草を出してください。」
そう言われると、予め用意していた鞄からゴブリンの小魔石2個、スライムの小魔石11個、アフラ草47束をカウンターに並べた。
「え?これ全部ですか?少々お待ちください。鑑定士を呼んできます。」
そう言うと職員は走って奥の部屋に入っていった。二分ほどで四十代後半くらいの女性を連れて戻ってきた。
「お待たせしました。セーラさん、こちらです。」
連れてこられたセーラという女性がカウンターに置いてある小魔石とアフラ草を一つ一つ見ていく。
「間違いないね。全部本物だし、状態も完璧だよ。」
そう言うと、奥に戻ろうとしたので、
「あ、すみません。これ以外にも採取したものって買い取ってもらえたりするのかな?」
鑑定するなら一緒のほうがいいと思い聞いてみた。
「他にもあるんですか!いいですよ。出してください。」
そう言われ、鞄からフットラビットと月光花、タモギタケを出す。
「これはフットラビットかい?一匹丸ごとだとそこそこになるよ。
こっちはタモギタケかい。これは食べられるけど好まれてはいないからねぇ、買取は出来そうもないねぇ。
この花は……えぇ!月光花?本物!?これは凄いよ。これだけで五万Gで買い取るよ!」
まさかの金額だった。月光花はハンパなかった。明日からはこれ狙いでいこう。
受付の職員が明細を出してきた。
ゴブリン 500×2 1000G
スライム 100×11 1100G
アフラ草 200×47 9400G
フットラビット 2000G
月光花 50000G
合計 63500G
「こちらで間違いありませんか?」
初日からヤバ過ぎるな。毎日こうなら冒険者辞めれんわ。
まあ、鑑定が無かったら月光花も無かったし、アフラ草も半分以下だっただろう。
そう考えたら宿代になってないからな。うん、自惚れずにやっていこう。
お金を受け取って身体を流してから帰路に着いた。
まだ陽は沈んでない。しかし食楽亭は早くも賑わいを見せていた。
直ぐに食事を取り、部屋へ戻るとステータスチェックをした。
レイジ(17)
メインジョブ:鍛冶師 LV5
2ジョブ :冒険者 LV2
攻撃:26(12) (4)
魔力:6 (0) (1)
俊敏:14(5) (4)
体力:22(10) (5)
命中:14(5) (3)
精神:6 (0) (1)
運 :10(3) (2)
スキル:短剣・片手剣・格闘・盾・火耐性・氷耐性・鍛冶・言語変換・鑑定
ユニークスキル:マップ・ジョブ
スキルポイント:50
称号:転生者・旅立つ者・幸運者
冒険者のレベルが上がった。某RPGの音楽が頭の中で鳴り響く。
その分のステータスも上がってる。これは『ジョブ』の恩恵だな。素晴らしい。
スキルポイントも50に戻った。レベル1で10ポイントなのか?それでも10合わない。まあ気にしない。
一人ニヤニヤしながら次にスキルを確認する。
短剣LV1(05/10)
片手剣LV2(05/50)
格闘LV3(23/100)
盾LV1(02/10)
火耐性LV2(37/50)
氷耐性LV3(09/100)
鍛冶LV4(60/150)
言語変換LV3(55/100)
鑑定LV2(42/50)
マップLV2(09/50)
ジョブLV2(01/50)
新たに増えたのが『盾』だ。幾つかレベルが上がってるな。これで更に戦闘が楽になるはずだ。
『マップ』も上がってる。たしかエリアマップだったか。建物内だと意味ないし、いずれ必要な時まで放置だな。
明日はどうするかなど、今後について考えながらこの日は眠りについた。
現在所持金 118500G
やっと異世界らしい冒険が始まりました。
しかし、この先の展開は考えていません。
行き当たりばったりで頑張ります。