第02話 一つ目のユニークスキル取得
※3/1多少加筆しました。
「失礼。目が覚めたようだね。」
部屋の入口の扉から入ってきたのは、45歳くらいのダンディな男性。ダークブラウンの髪に良く似合ってる髭。180㎝程の身長で程よい筋肉質な体型。
如何にもザ・貴族って感じの人物だ。
「色々思う所もあるだろうが、とりあえず自己紹介でもしておこうか。私はミルス・ロードプルフこのロードプルフの街を治める辺境伯だ。まず聞きたいのは、どうしてあんな所に倒れていたのかな?」
辺境伯……確か色々な物語だと公爵の次に偉い貴族だったはずだ。
やっぱり貴族の屋敷だったんだと、とりあえずは状況を理解していく。
てか、倒れてた?うーん、今の話から察するにオレはこの家の人間では無いようだな。
「えーと、オレ…いや、私は倒れていたのですか?此処が何処で、自分の家が何処なのかもわからないんですが…。」
嘘はついていない。この世界でのオレの家があるのかもわからないのだから。
「記憶がないのか?街の大通りで倒れていたんだ。誰に聞いてもいつの間にかいたとしか言わないから、状況がさっぱり判らないんだ。とりあえず自分の名前はわかるか?」
名前か、前世での名前でいいのか?
さっきステータスには前世の名前が記されていたのを覚えている。多分そのままでいいのだろう。
「あ、すみません。オレ…私はレイジと申します。ロードプルフ様、倒れている所を助けていただきありがとうございます。」
「レイジ殿だな。あー、話し方は気にせず、気楽に普通に話してくれて構わない。あと、私のことはミルスと呼んでくれ。あとは様も要らないな。まずは身体の回復に努めてくれ。後で食事を持ってこさせよう。」
「ありがとうございます、ミルスさん。」
「うむ、とりあえず今暫く休んでいなさい。病み上がりで質問攻めも困るだろうしな。」
そう言うと、ミルスはメイドに何か呟き部屋から出ていった。
そうか、貴族転生ではなっかたか。
嬉しさと残念な気持ちとが混ざり合い、何とも言えない複雑な感情になっている。
いや、ジョブが鍛冶師の時点である程度予想は出来ていた。
そういえばオレってどんな姿してるんだ?ふと気になって立ち上がり、全身鏡の前に行く。
「なっ!……誰……え?これが……オレ?」
その姿に驚き、少し飛び跳ねてしまう。
僅かに緑っぽい色が入った水色の髪、そして目の色もそれと同じ色をしている。それなのに顔のパーツは前世とほぼ変わらない。なのに………、イケメンだ!
オレって、身嗜みでこんなにイケメンになれたのか!
いや、頬も少し肉が落ちてるな、あと、若い時に出来たニキビ跡も無くなっている。
薄く所々にあったシミも綺麗に無くなっている。
顔もだが、体型も大きく変わっている。
身長は、以前は170㎝程だったのが、今は180㎝弱位になっている。
何より、腹だ!あのビールっ腹が、軽いシックスパックになってるのには思わずにやけてしまった。
何だかんだ、20分程自分の容姿を堪能してると、ノックをし、先ほどのメイドが入ってきた。
食事が出来たので持ってきてくれたようだ。
「食事をお持ちしました。そちらのテーブルでお召し上がれますか?」
「はい、そうですね。ありがとうございます。」
メイドはテーブルに食事を並べると椅子を引いてくれた。オレはそこに座る。
「食べ終わりましたら、そちらの呼び鈴を鳴らして下さい。では、失礼致します。」
そう言うと、メイドはワゴンを押して部屋から出ていった。
メイドが出て行ったのを確認して出された食事を見る。
フランスパン?に野菜スープか?それと……普通のサラダだ。
よく異世界の食事は美味しくないとかあるから、少し不安ではあった。
「うーん、まあ、思ったよりマシか。」
可もなく不可もなく、それでも思ってたよりは美味しく食べられた。呼び鈴を鳴らして、食器を下げてもらう。
「すみません、この後ってどうすればいいんですか?とりあえず休めって言われましたが…。」
「ああ、もうすぐ日も暮れます。明朝にも旦那様よりお声が掛かるかと思いますので、今日はこのままお休みください。」
そう言うと、メイドは一礼して食器を下げ、部屋から出ていった。
そうか、明日の朝か。そのままこの屋敷から出て行くように言われるかもしれないな。
そうなっても狼狽えないように、メニューについても調べておかなければ……。
調べている途中だったメニューを開き、先ほど開こうとしていた『スキル』にタッチする。
格闘LV3(22/100)
火耐性LV2(37/50)
氷耐性LV3(09/100)
鍛冶LV4(60/150)
言語変換LV3(49/100)
詳細が解るのか。それぞれのスキルにはレベルがあって、使っていくとそのレベルが上がっていく仕組みだな。
カッコ内が……予想としては熟練度だろう。
左の数字が右の数字まで達したらそのスキルレベルが上がる。とかそんなところだろう。
熟練度があるのはオレ的にはかなり嬉しい仕様だな。
どれくらいで次のレベルになるのか解ったほうがモチベーションが上がる。
やる気というものは、結構大事な要素である。
問題はこれからの行動でスキルが増えていくかどうかだろう。
実際に、今後モンスターとかと戦う機会があるなら、武器スキルが無いのはかなり辛い。
格闘があっても素手で戦うのは極力避けたい。
まあ、それを今考えても仕方ないので、その問題は保留にして次へ行く。
次は『ユニークスキル』だ。神のような存在から与えて貰えた3つの能力を選べるのだろう。
ただ、その前にこの世界について出来るだけ知っておきたい。
「先に『世界辞典』だな。」
『世界辞典』をタッチする。そこに出てきたのは、『人物』『地名』『スキル』『ジョブ』の4つ。
世界辞典という割には見出しが少ない。
首を傾げながらも『人物』を選ぶ。
『ミルス・ロードプルフ』………………これだけ?
戻して『地名』を選ぶ。 『ロードプルフ』1つしか出ない。
また戻して『スキル』を選ぶ。
出てきたのは、『格闘』『火耐性』『氷耐性』『鍛冶』『言語変換』の5つ。
これってもしかして……。『格闘』を選ぶ。
格闘・・・素手での戦闘技術。LVが高いほど素早く適切に行動する事が可能。グローブや爪系の武器を装備するにもこのスキルが必要。最高のLV10まで到達した人間は未だ皆無。
そうか!オレが今までに聞いた言葉の詳細を調べる事が出来るんだな。
一応要領を得たところで、『スキル』の項目は全て見ておく。
いよいよ『ユニークスキル選択』だ。これを貰えると分かった時に真っ先に思い浮かんだモノがあった。
『経験値〇〇倍』だ。これは是非とも欲しい。何が何でも欲しい。
その1点に期待を膨らませ、『ユニークスキル選択』をタッチする。
色々出てきた。『マップ』『透明化』『隷属化』『ジョブ』『初期ステータスアップ』『MP回復速度アップ』等など……。
しかし、目的のモノが見つからない。2回、3回と最初から見直すがやはり見つからない。
まさか無いのか?もう1度だけ最初から全てに目を通す。それでも無いものはない。
「マジかよ~…」ショックで投げ出してしまった。
何時間か経ち、夜になっている。部屋の中も真っ暗だ。
オレはベッドの上に横たわったままだ。
このまま寝てしまおうかと考えていた。
その時、誰かが部屋をノックしてきた。
「はい。」
オレが返事をすると、先ほどのメイドがランタンを持って入ってきた。
「お休みになられるまでこちらを使ってお過ごしください。」そう言うと、テーブルの上にランタンを置いて出ていった。
ふー、もう一度目を通して、1つくらいは今日の内に決めておくか。
起き上がって再度メニューを開く。『ユニークスキル選択』を選び、出てきたスキルを見ていく。
代用としてまず挙がるのが『初期ステータスアップ』だが、これはデメリットがあるだろう。
高レベルになった時この恩恵は皆無になるに違いない。却下だ。
『隷属化』って…、多分奴隷を作ったり、相手に命令を聞かせるスキルだろう。
興味はあるが、悪人路線まっしぐらだろう。いらないな。いや、女の子に使ってみたいけどね。願望はあるよ、てか、男は皆あるだろう。
ふと、隣の文字に目が止まった。『ジョブ』だ。タッチしてみる。
ジョブ
LV1・・・任意ジョブチェンジ
LV2・・・2ジョブ
LV3・・・3ジョブ
LV4・・・ジョブスキル1つ使用可能
LV5・・・4ジョブ
LV6・・・5ジョブ
LV7・・・ジョブ取得条件表示
LV8・・・6ジョブ
LV9・・・7ジョブ
LV10・・・全てのジョブスキル使用可能
これは!!まさか複数のジョブを同時に付けることが?
もしもそれぞれのジョブにレベルがあって、ジョブを複数付けることが出来たなら、その全てのジョブを同時にレベル上げをすることが出来る。
7ジョブ付けたら経験値7倍とほぼ同じだ。パーティー組んだら別になるけどな。
うん、これは候補に入るな。もう少し仕組みを調べてからだ。
それからも気になったのから調べていき、一番上にあった『マップ』を調べてみた。
マップ
LV1・・・周囲1キロのマップ(ダンジョン不可)
LV2・・・今いるエリアの全体マップ(ダンジョン不可)
LV3・・・現在地の表示、拡大・縮小
LV4・・・ワールドマップ
LV5・・・今いるダンジョンマップ
LV6・・・現在エリアの取得アイテム表示
LV7・・・現在エリアの人物・魔物の表示
LV8・・・表示物の色分け
LV9・・・鑑定とリンク
LV10・・・全てのマップ、人物・魔物の表示、取得アイテムの表示
これって、最初の方はただの地図だけど、レベル上げたらかなり使えるんじゃないか?
この説明じゃハッキリとは解らないけど、場合によっては世界中全員にGPS付けるって事じゃないのか?
だとしたらこれは半端ない。
それが無くてもこれは取得確定だ。夜の部屋をランタンの明かりだけで生活する世界で常に自分を中心に表示出来るナビはかなり役に立つ。
下にある『取得』の文字をタッチする。
本当に取得しますか?※ここではいを選ぶとやり直しは出来ません
はい / いいえ
『はい』をタッチした。すると、身体が白く光りだした。その間2秒程。
凄い光ったな。とりあえずメニューを開いてみるか。
アイテム
ステータス
スキル
ユニークスキル選択
マップ
世界辞典
マップが増えてる。これであと二つだな。残りは明日以降にして、今日は休もう。