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第173話 滞在延長

「……スゲェ……」


 その威力に思わず固まってしまうパーティメンバー。

 オレ自身でさえ驚いているのだから無理もない。


「これが剣技なのか……」


 エイルの陰翳殺(いんえいさつ)と比べても遜色ない威力の技だろう。

 これでゴールドランク試験への準備は整った。

 ミルファ達もシルバーランクに十分な実力を身に付けている。全く問題はない。

 暫くこの余韻に浸りたいが、流石に腹が減って辛い状態だ。

 早く宿へと帰るとしよう。


 今日は魔物素材は売らずに、先日の分の金と魔石だけ受け取りに行く。

 折角メイが付与を覚えたのだから、魔石は売らずに全てキープする事にしている。

 勿論、先にその旨を解体職員には伝えてあり、金と共に魔石も受け取れる手筈となっている。その分、手数料は掛かるが、必要経費なので全く問題ない。

 魔石の売却額がないと金もそこまで大金にはならないようだ。まあ、一般的に考えたら十分大金かもしれないが。

 それでも金には全く困ってないので、そのままギルドを後にした。

 結局ここまでジェフリーには会えなかった。そこまで気にはしていないのだが、少ない知り合いなのだから多少会っておきたい気持ちはあった。

 だが、会えないものは仕方ないと割り切る事にしよう。


 アブ爺さんの宿へと戻ってきた。

 目的も果たしたので宿泊は今日までであると伝える。

 まだライトレイクに戻って三日目だというのにもうこの街を出ると聞いて、アブ爺さんも驚きを隠せない。


「んで、エイルさんにも伝えたいんだけど、今日は帰ってきてるかい?」


「おー、奴らなら丁度今、飯を食ってるわい。直ぐ用意するから着替えたら食堂へ行ってくれるかの。」


 どうやら今日は帰ってきてるようだ。無言で立ち去る事にならずに良かった。


 先に部屋で着替えを済ませ、食堂へ行く。

 どうやらエイル達は既に相当飲んでいるようだ。


「おう、レイジ!お疲れさん。調子はいいか?」


 顔を真っ赤にしているエイルだが、頭も口も正常に働いてるようだ。話をする分には問題ないだろう。


「かなりいいですよ。此処での目標は今日達成しましたから。なんで、明日にでも王都に戻ろうかと思います。」


「おお、そうかそうか……な、なんだって~~!」


 やはり正常に頭が働いていないのか、一度納得した後に飛び上がるほど驚いている。

 ただ、それはエイルだけでなく、マリーもディルも、そしてソニアでさえも吃驚している。

 流石にもう数日はいると思っていたのだろう。突然の事に続く言葉が出てこないようだ。


「え?なに?どういう事?レイジくん達、もう王都に戻っちゃうの?」


 マリーも動揺しているのか、状況をイマイチ理解出来かねているようだ。

 名残惜しさはオレもある。だが、此処でエイル達に甘えてはいられない。少なくとも次の昇格試験が終わるまではやれる事をやらなくてはいけないのだから。


「そうなの……折角会えたのに、残念ね……ルナ……久々に会えて嬉しかったわ。元気でね。」


「姉さま……また直ぐに会える機会があると思うのです。だから全然大丈夫なのです。」


 ソニアの手前、気丈に振る舞うルナだが、その目には大量の涙を浮かべている。それを零さぬ様に堪えているのが見て取れる。

 うーん、このまま帰るのが悪い事のような気がしてきた。どうしたものか……


「んだよ、どうせなら一回くらい一緒にダンジョンに潜ろうと提案しようとしてたのによ……」


 そんなエイルの考えを聞いて一つのアイデアが思い浮かんだ。


「それはいいかもしれないですね。出来ればこいつらにアドバイスの一つくらいして欲しいですし。」


 というよりも、オレ自身ロードウインズとして最後に活動できなかった事に悔いがあったりする。

 出来る事なら元々の五人で、少しでも活動したいというのが本音だ。


「レイジくん、いいのです?ウチは一度でいいからソニア姉さまとダンジョンに行きたいのです。」


「ああ、今後のルナの為にもそうしておいた方がいいだろうな。」


 オレはルナにそう言いソニアに目をやる。


「ソニアさん、一度ルナをみてもらっていいですか?以前のルナと今のルナの違い、その成長を観た上で何が足りないのか判断して欲しいです。」


「……も、勿論いいわ。寧ろこっちがお願いしたいくらいなんだから……」


 ソニアは少し照れながらも快く了承してくれた。

 ケントとメイにはそれほどメリットがないかもしれないので、しっかり謝っておく。


「それなら私もマリーさんと一緒出来る機会が欲しいわ。お願いできる?」


「分かった。それも含めて予定を組んでみるわ。」


 メイはマリーに憧れているんだった。それなら一緒したいと思うのは必然だろう。

 ロードウインズとしても一度ダンジョンに潜りたいから、二日掛けてやった方が良さそうだ。


 アブ爺さんにはあと二日、宿泊の延長を伝えるとかなり喜んでいた。

 夕食を食べながら皆で明日、明後日のパーティ編成を行ってく。

 先ずはロードウインズとして行動したいので、明日は『エイル・マリー・ディル・オレ・ミルファ』の五人で決まりだ。ケント達もそれで納得してくれた。

 明後日だが、これが難航した。

 メイとマリーを一緒にするのは決定だ。ミルファはディルに色々教わりたいという事で二人を同じパーティにする事にする。

 問題はケントだ。ケントの戦闘スタイルはパウロのものを取り入れているので、エイルともソニアとも異なっている。エイルのようなスピードで翻弄するスタイルは一番向いていないのは確かだが、ソニアのようなテクニックを駆使するスタイルもとても真似出来そうにない。

 結局は初日にソニアが見るので、明後日はエイルに見てもらうという事に決まった。

 ついでにルナの戦い方がエイルよりなので、ルナもエイルに見て貰う事に決まる。

 その結果明後日は、『エイル・ディル・ミルファ・ルナ・ケント』と『オレ・マリー・メイ・ソニア』に別れることとなった。

 オレのパーティはお姉さま三人とは、少し緊張してしまうな。

 まあ、オレは二の次で、飽くまでパーティメンバーの底上げを重視した結果だ。

 これで少しでも立ち回りが良くなればいいと思う。


 そんな訳でライトレイクにあと二日滞在が決まった訳だ。

 ランクアップ試験まであと七日。この期間で何かを掴んで欲しいものだ。

四日で何とか一話出来た……

次回も同じくらいの間隔かもしれませんm(_ _)m

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