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第16話  告白

 家に帰ると美味しそうな匂いが立ち込めている。

「只今帰りました。顔も出さずに外出してしまい申し訳ありませんでした。」

 そう、今日からこの家に住む事になったのだが、朝来た時にエイルとマリーには会っていない。

「おかえり。起きなかった私が悪いんだし気にしてないよ。こちらこそごめんね。」

 台所に立つマリーが顔を此方に覗かせて言う。

 しかし、リビングを見渡してもエイルの姿がない。

「あれ?エイルさんは?」

「ふふっ、あそこで色々やってるわよ。」

 マリーが指差した方からは何やら物音が聞こえてくる。

 確かあっちには新たにドラム缶を置いた浴室があるだけだ。

 まずは挨拶をしようとそちらへ向かう。


 やはりエイルは浴室にいるようだ。

 元々は身体を流すだけの場所だった。それをオレ達が使うことになった部屋に眠っていたドラム缶を置き、ドラム缶風呂として使うことになったのだ。

 少し弄って使いやすくしてるのかな?なんて思いながら中を覗いた。


 中を見て驚愕した。その浴槽の大きさが倍になっているのだ。

 ドラム缶の大きさを倍にするなんて考えられないからだ。

「な、な……」もう言葉にはなっていない。

「おう、帰ったか。どうよ、これ!すげーだろ!我ながら会心の出来だと思うぜ。」

 聞くとエイルは『錬成』のスキルを持っているらしい。

 もう一つドラム缶を持ってきて二つ並べる。

 そして二つのドラム缶の接している面を錬成で分解し、今度はそれを繋げるように再構築させる。

 見た目が悪いという事で、上部に丸みを持たせてやっている。

 お湯は地下水をポンプ式に汲み上げるようだが、その途中に火魔法を刻印されたマジックアイテムを施す事によって水をお湯に変えてあるらしい。


 今は浴槽内部のザラザラ感を無くすのに試行錯誤している。

 やるからにはとことんやる。これがエイルの信条らしい。

 しかし残念ながらこの日はいいアイデアが出ずに、また後日改めて続きをやることにしたようだ。


 キッチンではミルファも手伝い夕食が出来上がろうとしている。

 女性二人がキッチンに立つと華やかさがあり、なんとも艶かしい。

 ディルがテーブルを拭き、出来上がった料理を並べている。

 食卓テーブルは四人用なのだが、とりあえず椅子だけを一つ足して五人座れるようにしている。

 因みに追加されてる余りの席にはオレが座る。

 ミルファが私がそこに座るからと言っていたのだが、そこは紳士らしくオレが買って出たのだ。

 間もなく全ての食事が出揃い、この家で初めて全員が揃っての食事となった。



「そーいやお前らのジョブって何なんだ?冒険者か?」

 不意にエイルが聞いてきた。

「私は冒険者です。先日なってきたばかりですけど。」

「ふーん、レイジは?」

「オレは鍛冶師です。元々そっちの職をやっていたので。」

「鍛冶師か……レイジ、明日神殿に行って戦士になるか。」

 マジですか、困った事になった。

 オレにはユニークスキルであるジョブスキルがある為神殿に行く必要がない。その上3ジョブに戦士を着けているのだ。

 神殿に行ってそれがバレたら騒ぎになるだろう。

 何とか行かずに済ます方法を探すがそんな直ぐには出てこない。

 オレは黙って俯いている。

 もうこの際オレの事を話してしまおうか。そんな事を考える。

 この先も全て隠したままでいても、複数ジョブの能力で何処かで綻びが生じるであろう。

 その時になって露見してしまうより、此処で打ち明けたほうが印象もいいのではないか。

 しかし、これを話したら今までのように接してくれるのだろうか?そんな不安もあり、なかなか言えずにいる。

「レイジ?」

 沈黙しているオレの顔をエイルは覗き込む。

「すみません。オレ、皆さんに隠してることがあるんです。」

 隠し通せる自信がない。もう話してしまおう。そう決心したオレは皆を見渡す。


 そしてオレは話した。ユニークスキルのジョブとマップの事、アイテムボックスがあり、鞄がカモフラージュである事、ステータスを見ることで自分の能力を数値化して見れる事。

 転生の事は言わない。これは誰にも言わないと決めている。

 皆口を開けたまま固まっている。


「…なので神殿には行きたくないんです。変に広まって騒ぎになるのも嫌なので……。」

 誰からも返事は返ってこない。


「えーと、皆さん?」

「……あー、いや、信じない訳じゃないんだがよ、あまりにも現実離れしててな、いやー…マジで?」

 うん、信じて貰えてないのね。普通はそうだろう。

 なのでまずは目の前にアイテムボックスの空間を作り、そこからダガーを取り出す。

「これがアイテムボックスです。」

 皆の驚き方が凄い。しかし流石に信じたようだ。


「んじゃあ、何時でもジョブを変えられるとして、戦士に出来るか?出来るならそうしておいてくれ。」

 そう言われ、ユニークスキルジョブによってジョブを三つ着けていることと、そのジョブが鍛冶師・冒険者・戦士である事を話す。

 再びその場は驚きに包まれたようだ。


「ねえねえ、それって他の人のジョブを変えたり出来ないの?」

 マリーに言われ、ハッとしたオレはそれを出来ないか色々やろうと試みるが、無理そうだ。

「無理そうですね。でももう少し試してみます。」

「んー、ジョブ編成をもう少し考えた方がいいかもな。鍛冶師も戦士も力任せのパワータイプ職だ。どうせならもう少し他の能力が上がりやすいジョブを入れたほうがいいだろ。」

 それならシーフ辺りだろうか。とりあえず今変更可能なジョブを伝える。

「狩人にはなれないのか?」

 ディルに言われハッとする。そう、今日は弓スキルを手に入れている。

 狩人には弓が扱えればなれるのだ。

 確認すると、やはり狩人が追加されていた。


 戦士を外して狩人に、そう言うと外すのは鍛冶師との事。

 鍛冶師はレベルが高く能力の上昇値も一番高い。出来れば外したくないのだが、今後のジョブスキルを考えたならそれが一番らしい。

 ジョブスキル。未だ無いのだが、経験を積むことで使えるようになるらしい。

 言われた通り鍛冶師を外し狩人にした。メインジョブを戦士に、冒険者、狩人の順だ。


 食後もオレの持つユニークスキルの説明をし、今後の運用を皆で考える。


 ユニークではないが、鑑定持ちだということに驚かれた。

 鑑定士とは、鑑定というジョブスキルを持つジョブらしく、これをジョブ関係なく使えるというのは前例がないらしい。

 ただ、鑑定士の鑑定は最初からある程度の事が分かるという。

 オレのはスキルレベルに応じて分かる項目が増えていっている。

 まあ、これも異常って事が分かったのは収穫だ。


 エイル・マリー・ディルの三人は真剣に聞き、その運用を必死に考えている。

 ミルファはもう目を輝かせて、すごーい!としか言っていない。


 それなり遅くまで話し込み、この日は解散し寝ることにした。

 そう、ミルファと同じベッドで……



  --------------------

  ◇ステータス◇


 レイジ(17)


 メインジョブ:戦士    LV6

 2ジョブ  :冒険者   LV7

 3ジョブ  :狩人    LV1



 攻撃:43 (18) (11)(2)

 魔力:12 (0) (6)(1)

 俊敏:25 (6) (12)(2)

 体力:35 (13) (14)(1)

 命中:25 (6) (10)(3)

 精神:12 (0) (6)(1)

 運 :19 (5) (8)(1)



 スキル:短剣・片手剣・弓・格闘・盾・警戒・命中・火耐性・氷耐性・鍛冶・清掃・言語変換・鑑定


 ユニークスキル:マップ・ジョブ


 スキルポイント:70


 称号:転生者・旅立つ者・幸運者・少女嗜好者



  ◇スキル◇


 短剣LV2(08/50)

 片手剣LV2(38/50)

 弓LV2 (13/50)

 格闘LV3(29/100)

 盾LV2(04/50)

 警戒LV2(11/50)

 命中LV1(08/10)

 火耐性LV2(37/50)

 氷耐性LV3(09/100)

 鍛冶LV4(60/150)

 清掃LV1(02/10)

 言語変換LV4(77/150)

 鑑定LV3(72/100)


 マップLV2(48/50)

 ジョブLV4(11/150) 14話終盤にてup!


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