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第146話 交流

「ブロンズランクへの昇格と俺達の出会いに乾杯だーーー!!」


 レイヴィンの声で昇格祝いと称した宴が始まった。

 今回の金は世話になったお礼という事でオレが支払う事になっている。


「それじゃあ改めて自己紹介させてもらうよ。俺はレイヴィン。ブロンズランクパーティ【ケルベロスの雷】のリーダーをしているよ。」


「自己紹介とかいるのかよ?知らないのはその人だけだろ?個別でいくねぇか?まったく……あー、トマスだ。先日重騎士(ヘビーナイト)になったからそろそろシルバーランクを狙っている。宜しくな。」


「俺はフィオーラだ。言葉遣いは癖だからどうしようもねぇな。見ての通り戦士職で乙女戦士(ヴァルキュリア)を目指してる最中だ。こいつら共々宜しくな。」


「えっと、俺っすね。コリンっす。先程ブロンズランクになりました。試験中はメイさんのガードのお陰でかなり助けられました。ありがとうっす。まだまだ不甲斐ないっすけど、宜しくっす。」


「……ククルフィンです。冒険者になって三ヶ月の素人ですが、皆さんの役に立てるように頑張ってます。」


「……エヴァラフィア……」


 ククルフィンとエヴァラフィアはエルフのようだ。冒険者になって三ヶ月という事は、オレ達とほぼ同期という事だ。親近感が湧くな。


「あー、ククルとエヴァは双子なんだ。エルフはどちらかと言うと無口な方なんだけど、エヴァはその中でも特別喋らない方かな?あまり気にしないで欲しいな。」


 何となくそんな気はしていた。まあそれは仕方ないだろう。

 次はオレか。だがコリン以外覚えてくれなさそうだが。


「オレはレイジだ。一応このパーティのリーダーをしている。ギルド長からゴールドランク試験を受けないかと打診があったので、それまではこの街に滞在する予定だ。その間はどうか宜しく頼む。」


 そんなオレの挨拶にいち早く反応したのはレイヴィンだった。


「えー?レイジって次のゴールドランク試験受けるのかい?だったらライバルだね。楽しみだよ。」


 何故かライバル認定されてしまった。いや、コングチャンピオンを倒した時からそういう流れになっていたのかもしれない。


「ミルファです。このパーティでは射撃手を担ってるのかな?腕はイマイチかも知れないけど頑張ってます。宜しくお願いします。」


「俺はケント。トマスと同じ重騎士だ。俺も重騎士にはなったばかりだからどっちが先に上に行けるか勝負しようぜ!」


「ウチはルナなのです。見ての通り獣人なのです。ジョブは獣騎士(ビーストナイト)で、後は……レイジくんの番なのです。」


 ルナの番発言に顔を赤らめるケルベロスの雷の若手メンバー。その中ですごい形相で睨みつける男が一人、レイヴィンだ。

 嫉妬の炎が渦を巻き、周囲の人々が焼かれる寸前である。この男の前でそれ系の話は厳禁である。


「私で最後ね。今回ブロンズランクになったメイです。ランクは一番下だったけど、一応最年長です。でも今回でブロンズⅠランクになれたので皆に並ぶ事が出来ました。コリン君が言ってたけど、パーティではヒーラーを担ってます。以後宜しくお願いします。」


 これで全員の自己紹介が済んだ。何故こんな合コンみたいにやるのか分からないが。

 そしてそのまま今日のブロンズランク試験の話題へ。

 実は最初のグループ分けの際にメイはコリンら三人と同じグループに入っていたらしい。だが回復だけでなく支援魔法も充実しているメイが加わる事で、このグループだけ突出した強さになってしまったようだ。

 その理由がスピードの魔法にある。動きが早くなるという事は攻撃速度の上昇に連結される。攻撃速度が上昇されれば、一方的に攻撃することも、反撃に対して即座に反応する事も可能になる。

 他のグループが一回の戦闘に3分掛かっていた時間が、このグループだけ1分で済ます事態になり急遽メイの扱いを変更したようだ。


「それから私は全グループ持ち回りになって、とにかく支援ばかりしていたわ。支援なしの戦闘を見る為に休んでる時間もあったけど、大変だったことには変わりないわね。」


 予想以上に大変だったようだ。

 因みにオレはスピードの魔法による支援はそこまでは受けない。どうにも効果が薄く感じる為だ。

 オレの考えでは俊敏の数値を+20とか+30くらいの効果なのだろう。オレのステータスでは微々たるものになってしまい、そこまでの効果は望めなくなってると思われる。

 それでもコモンランクのメンバーにとってその効果は絶大だったようで、メイが加わる事で戦闘時間の大幅短縮が行われたらしい。


「それでそっちはどうだったの?いい物件は見つかった?」


「おう!スゲー家だぜ。見たらビックリするだろうな。」


「あれは反則だよ。とても冒険者の家には見えないよ。」


「ホントだぜ!俺もフィオーラも暫く開いた口が塞がらなかったからなぁ。」


 どんな家なのか想像できないでいるケルベロスの雷の若手三人に対して、至って冷静に分析していくメイ。

 今までのオレの行動から、金にものをいわせて豪勢な屋敷でも購入したのではないかと予測を立てた。

 しかし半分は冗談交じりの予想で、まさかこの予想通りだったと知った際には、別の意味で驚愕したのだった。


「ねえケント、もしかして貴族みたいな屋敷を買ったとか言わないわよね?」


「……俺は金を払えるわけじゃないからな。飽くまで傍観を貫いていただけだ。どんな家かは見たら分かると思う……」


 そんなケントの反応に自分の予想が正しかったとメイは判断したようだ。

 一方でレイヴィンらはオレ達のパーティの魔道士事情を聴いてきた。


「レイジらの中に魔道士はいるのかい?」


「基本はオレがその役目を担ってるかな。ジョブは魔法戦士だから黒魔法スキルを持ってるからな。」


 外部向けのジョブは魔法戦士としているので此処ではそれを伝える事にした。

 6ジョブとか伝えるのはリスクが大き過ぎる。まだそれを伝える程親密でもないのだ。


「魔道士になる為の条件って魔道書の閲覧だけ?コリンを魔道士にしようと思ってるんだけど、それだけでなれるか不安でさ。」


「魔力が一定値以上ないとダメだったはずだぞ。現在ジョブが重要な筈だわ。冒険者からだったらなりやすいけど、戦士からだったら相当経験を積まなきゃ厳しいだろうな。」


「俺はずっと冒険者のままっス。魔道士以外はなる気が無かったんで。」


「なら大丈夫だろ。ただ、それで黒魔法のスキルは得るだろうけど、それだけじゃ魔法は使えないぞ。詳しくは魔道書に書いてあるからしっかり読めば問題ないだろうけどな。」


「それに関しては俺も分かるよ。一応魔道書は一通り読んだからね。」


 そう言うレイヴィンはどんなジョブなのか無性に気になった。


「レイヴィンのジョブって何なんだ?」


「俺?聖騎士(パラディン)だよ。なんかカッコイイからってだけで選んじゃって。」


 聖騎士ならば僧侶を歴ている。それならば魔道書を読んでいるのも納得だ。

 実はククルフィンも魔道士に、エヴァラフィアは神官を目指すようで、エヴァラフィアはさっきからずっとメイを尊敬の眼差しで見ていた。

 今後エヴァラフィアはメイをお姉さまと呼び、慕い続けて行く事になるとは誰も予想だにしていなかった。


 この日だけで一気に親密になったオレ達は近いうちに一緒に狩りをする約束をして、解散する運びとなった。

 この後メイにオレ達の新居を紹介したのだが、呆れたように「やっぱりね」と言うだけだった。

いつもご覧いただきありがとうございます。

最近は私自身も「あれ?」って思うような単純な間違いなんかの指摘を頂きありがたく思います。

しかし当方がアホな為、その間違いに気づかなかったりするので、詳細に教えて頂けるとありがたいです。

宜しくお願いします。

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