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第136話 防具を新たに

 セイレーンと召喚契約をした翌日、全員で防具を見にやって来た。

 オレ達全員の防具はゲームでの装備と比べてもかなり貧弱な装備だろう。実際オレの現在の装備は青銅の盾に魔鋼の胸当て、魔糸チュニックと魔糸で出来たパンツ、それと鉄の腕輪だ。

 実は特殊な効果は何もない普通の装備だったりするのだ。しかもチュニックはワイバーンにやられてボロボロの状態である。

 これはそろそろ買い換えないと、見た目も機能もヤバいトコまできていた。


 他のメンバーはロードプルフで最後に買っていたのだが、それもとりあえず揃えただけである。

 ミルファ以外はお金が無かったからといえばそれまでだが、とにかく安物で揃えただけなのだ。

 今回のダンジョンである程度稼いでいるのでパーティの金は結構豊富だ。ここらでその金を使って装備を一新してもいいだろう。


「全員がそうだけど、下半身が心許ないよね。」


「俺もそうだけどアンダーウェアがちょっと弱ぇんだよな。そこは何とかしてぇな。」


「私は急遽付いてきたようなものだから、全然装備を整えられていないわ。そろそろ何とかしたいわね。」


「ウチは特にないのです。」


 ルナ以外は防具に対して何かしらの不安があるようだ。やはりここらで見直した方がいいかもしれないな。

 冒険者が多く集まるこの通りには装備関連の店が多く並んでいる。防具専門店もこの中に5店舗あり、其々の店が自分の店の特徴を出そうと張り合っている為、店毎に品揃えが異なるのも特徴だ。

 但し、武器もそうだが、この街の近辺に鉱山が少なく、金属をメインに使った装備の種類は少ない。ミスリルだけはダンジョンでドロップするので一応は豊富といえよう。

 魔物素材はとにかく多い為、それらをあしらった武具は数多く、この街の目玉になりつつあるようだ。


「ギルドで聞いたオレ達レベルのオススメの店は此処らしい。入ってみようか。」


 店の中はかなり綺麗にされていて、商品のディスプレイも高級ファッションショップ顔負けの作りだ。


「これはスゲェや。此処なら相当いい防具にありつけるんじゃねぇか?」


 ケントを筆頭に皆その目を輝かせているが、オレは気付いてしまった。

 オレ達はアイテムボックスを使う事で一度に大金を手にしていくので、ギルドは一番高級店を紹介したのだろう。

 しかしこの店だと、オレ個人の資産を使えば支払う事は出来るが、抑の実力が伴っておらず装備出来るかが分からない。

 慎重に選ばなければ痛い目を見ることだろう。


「今回は金額は考えずに装備出来る商品の中から、防御力と付与効果の両面からいい商品ならそれで構わない。それぞれ選んでみよう。」


 皆目を輝かせて防具を見始める。

 アンダーウェアは考る間もなく決まった。ミスリル糸で編んだチュニックとパンツだ。

 ミスリルをこのように加工する技術が凄いと思ったのだが、このミスリル糸はダンジョンの76階層から現れるミスリルスパイダーのドロップ品だとか。この街の最強パーティだけが取ってくることが出来るレア素材らしい。

 その為値段も半端なく、上下セットで2000万Gとの事。まあ、買うけどね。

 勿論これは全員分だ。ミルファとルナはパンツではなくスパッツで、メイはレギンスにする。そこは装備の違いで分かれるからな。


 盾も同様にミスリルシールドでいいかと思う。ポイズンドラゴンの鱗を使用したポイズンシールドもいいかと思ったのだが、単純に見た目が悪かったので却下した。見た目って重要だよな。

 腕と足装備も色々見たが、これといったものがなかったのでミスリル製で揃えておいた。

 重量的にも比較的軽めなので、これでいいだろう。


 ミルファはオープンフィンガーのグローブを追加。ルナは銀の腕輪を。ケントは今の装備で十分という事で、アンダーウェアのみとなった。

 そしてメイだが、これにはミルファとルナも真剣に探していた。やはり女性は機能だけでなくファッション性にも気を遣う。三人の中ではメイがダントツでセンスがいいのだが、ミルファとルナもメイに感化されてか色々気を使うようになってきた。


「メイさん、これは?」


「うーん……ここのデザインが良くないのよね。」


「これがいいのです。」


「ルナちゃん……私にミニスカートはちょっと似合わないかな?」


 なかなか決まらず時間だけが過ぎていく。

 ケントも流石に飽きてきたようだ。


「メイさんだったら何着ても似合うからそこまで拘らなくてもいいと思うのになー。」


「そういう事じゃねぇだろ。」


 ファッションってのは自己表現だ。自分らしさを出す為にそこまで拘っているんだろう。まあ、分からない人間にとってはどうでもいい事なのかもしれないが。

 それは人其々だ。ケントの武器に対する拘りも分からない人にとっては馬鹿臭く見えるものだ。その人その人の拘りを他人がどうこう言う必要はないだろう。

 少なくともオレはそう思っている。


「二人はどっちがいいと思う?」


 白を基調としたロングコートのようなローブとクリーム色の膝丈のワンピース。

 両方とも魔糸を使用しており、素材に差はない。後はデザインだけのようだ。


「俺はやっぱり白の方だ。メイさんには白が似合ってるからな。」


「オレはこっちのクリーム色の方だな。デザイン的にメイには膝丈ワンピが似合うと思う。」


 オレとケントの意見は完全に分かれた。何の参考にもならなかったのかもしれない。

 その後も悩んだ末に白い膝丈のワンピースを選んだ。但し、これはミスリル糸を使っており、値段を見て最初は除外していたらしい。別に気にしなくていいのにな。


 最終的に2億Gほど掛かったが、今後何処かでまた稼げばいいだろう。

 これで防具の調達は終わった。明日にでもこの街を発つとするか。


 ◇


「アブ爺さん、今日も宜しくなー!」


 今日もアブ爺さんの宿へと戻ってきたオレ達は、明日この街を発つ事を伝えた。


「そうか、寂しくなるのぉ。ならば今日の夕食は盛大にやろうかの。」


 安く泊まらせて貰ってるのでそこまでは求めていない。無理はしないで欲しいのだが。


「マジかよ爺さん!だったら俺も何か手伝おうか?」


「そうか?ならばお願いしようかの?」


 一人テンションの上がったケントがアブ爺さんと共に準備に取り掛かる。


「ケントのヤツ……仕方ない、オレ達も手伝おうか。」


 ケント一人を手伝わせて自分達が休んでるなんて出来るはずもなく、皆でアブ爺さんの手伝いをする事にした。

 庭に火をくべてバーベキューをする事になった。

 野営以外での外での料理に少し違和感を感じたが、本来バーベキューとはこんな感じだ。何も不思議な事はない。

 アブ爺さんは奮発してオーク肉を買ってきたが、オレは大量に持ってるんだよな。出してやれば良かった。

 ならば代わりにワイルドカウとトロル肉を出してやろう。これで三種類の肉を楽しめるはずだ。

 大量の氷を用意しておき、そこで酒を冷やしておく。これで冷たいエールも確保出来た。

 この日、夜遅くまで騒ぎ通し、ライトレイク最後の夜は更けていった。


「次の行き先だけど、レイジさんはどっちがいいと思ってるの?」


「オレ?それを言ったらミルファはそっちを選ぶだろ?言わねぇよ。」


「バレちゃってるのかー。まあ、私はもう決めてるけどね。」


「ウチも決まってるのです。」


「なんだ。二人共決まってるのか。あ、因みに二対二になったらオレが決めるぞ。多数決の行方がオレに掛かる事になるからな。」


「多数決だからいいと思うよ。寧ろレイジさんが決めた事に誰も文句言わないと思うけどね。」


 それでも皆の気持ちを聴いておきたいから今回はこうしたんだ。


「ウチも実際は何処でもいいのです。レイジくんやミルファちゃん、皆と一緒にこうして色々な場所に行けるのがとっても楽しいのです。」


「私もー!」


 ルナの言葉に嬉しくなったミルファがルナに抱きつく。オレも嬉しいがここは自重して抱きつきはしない。


「明日、街を出たタイミングで皆に聞くから。こういうやり方ってワクワクするんだよ。」


「レイジさんも楽しんでるんだね。良かった!」


 ミルファはオレが皆に気を使って聞いてると思ったのか。それもあるけど、楽しめる所では楽しむから。

 さて、明日に備えて寝るとしよう。

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