第14話 相部屋
いつも読んでいただきありがとうございます。
仕事中以外はこのストーリーが頭の中を駆け巡っています。
今日は休みだ。
いや、正確には明日から住む家の掃除をするのだ。
というのも、明日からロードウイングスの先輩三人の住む家に厄介になるのだが、住む為の場所が確保されていないのだ。
そういう訳で、急遽掃除をしようという事になったのだ。
普段より少し遅めの起床をし、食堂へ向かう。
「あ、おはようございます。」
元気に挨拶をしてくれた少女はデュティ。宿の看板娘?だ。
先日買い物に付き合ってくれた。決してデートではない。まだ彼女は子供なのだから。
相変わらずここの飯は美味い。これを食べられなくなるのは残念だ。
パーティリーダーのエイルから今夜の食事を此処で出来ないか聞いて欲しいと頼まれている。
一階ロビーへ行き、受付でその旨を伝えた。答えとしては、連泊している客の頼みなので大丈夫とのことだ。
部屋で着替えを済ませ、ギルドへと向かう。場所が分からないのでギルドで待ち合わせをしているのだ。
ギルドは今日も慌ただしい。昨日のテンションのまま依頼を受けてる人もチラホラ見受けられる。
「お!いたいた、こっちだー。」
エイルが二階から降りながらこちらに手を振っている。一緒にいるのはギルド長だ。
ギルド長も一緒にこちらへやって来る。
「待ったか?ちょっとこのおっさんと話があってな。」
「君がレイジだな。先日は挨拶も出来ずに申し訳なかった。俺はギルド長をしているダインだ。よろしくな。まあ、師匠がこいつだと苦労するだろうが、マリーとディルがいるんだ。問題ないだろう。」
「おっさん、マリーも弟子をとったんだぞ。まあ、コイツの彼女なんだけどな。」
「ちょ、何言ってるんですか?別にそんなんじゃないですから!」
「ふっ、お前らが師匠か……。俺も年を取る訳だ。」
「そういう訳で今日は、コイツの住む部屋を確保する為に家の掃除をしなきゃいけないんだ。じゃあな、おっさん。」
ギルド長をおっさん呼ばわりとか……、この人はどんだけ凄いんだ?
ギルドを出て新しく住む家へ向かいながら聞いてみた。
「エイルさんって、ギルド長に対しても全然物怖じしないんですね。」
「ん?まあ、長い付き合いだからな。10歳からだから……17年の付き合いになるのか。はえーなぁ。」
「へー、子供の頃からなんですか、その頃からおっさん呼ばわりしてたんですか?」
「どうだったかなー?忘れたわ。」
言いたくないのか?言葉を濁しているのでそれ以上は聞いてはいけない気がした。
ギルドから20分程歩いた先に冒険者が数多く住むエリアがある。
その中でも高ランクが住む高級エリア、そこにロードウインズの住居があった。
その家は4LDKと車庫のような作業スペース付きである。
高級といっても土地的には冒険者の多いエリアという事で、一般の町民のエリアよりは安くなっている。
「おーい、レイジ連れてきたぞー!」
玄関を開けてそう叫ぶと、奥からディルが顔を出した。
「待ってたぞ。」一言だけである。
すると、二階から慌ただしく降りてくる音がして、
「いらっしゃい、遅いよー。」
と、マリーが。その後ろに人影が……。
ミルファだ。ケントと顔を合わせるのが怖かったらしく、住まいである孤児院には帰らず、マリーの部屋に泊まったらしい。
ともあれ、全員が揃ったので住まわせて貰う部屋の掃除を始める事にした。
リビングを抜けた先にある部屋らしい。扉を開けるとそこには壁……。いや、違う。本が積まれて壁になってるのだ。
これは全てマリーの本らしい。流石魔法を使う人は勤勉だ。これらを一旦外へ出し中を見る。
ガラクタだらけだ。丸太、変な形の大きい石、ドラム缶?等など。全てが何かに役立つかもしれないと、エイルが集めたものらしい。
全て処分だ。
ドラム缶……いや、待てよ?
「風呂ってあったりしますか?」
「あったらいいけどねー。水で身体を流す場所はあるけど、風呂は無いわよ。」
「この大きい缶って湯船になりませんか?」
一同が揃ってハッとする。「「「それだー!」」」
とりあえず部屋の物は全て出し終わった。
「じゃあ掃除しておくからキミ達二人が寝るベッドを買っておいでよ。」
どういうことだ?首を傾げているとマリーがそのまま続ける。
「あ!言ってなかったっけ?ミルファちゃんも此処に住むことになったんだけどね。部屋はもう此処しか無いのよ。まあ新入りどうし仲良く相部屋でよろしくね。」
寝耳に水だ。いや、確かに嬉しいのは間違いないのだが。
オレも男なのだ。間違いが起きるかも知れない。いや、間違いなく起きるだろう。
タイプかって言われたらそうでもない。しかし可愛いのだ。
いや、もしかしたらこの身体になって好きなタイプが変わったのかもしれない。
こんな可愛い子と相部屋で、しかも同じベッドで寝るとかって。
これは師匠のオレに対するしれんですか?手を出したら破門にするとかそういうのですか?
もう既に思考がそっちにしか働いていません。ごめんなさい。
「それってまずくないですか?仮にも年頃の男女ですよ。それはないでしょ。」
「いやいや、レイジ、冒険者たるものそんなことで狼狽えてどうするんだ?外で野宿となったらそんなシチュエーションはいくらでもあるんだぞ?」
「そうよ、何となくレイジくんってウブっぽいから、日頃から慣れておいた方がいいだろうしね。」
うん、いい流れだ。口ではこう言ってるけど相部屋大歓迎なのだから。
「まあ、冗談抜きでそういう感じで頼むわ。んじゃ、ベッド買いに行って来い。」
家具屋の場所はミルファが知ってると言うので、二人で向かうことになった。
先日行った商店街の住宅街寄りなので案外近い。
「レイジさん、ごめんなさい。こんな事になってしまって。」
「いや、謝ることはないでしょ。普通に動揺しただけだから。」
「極力迷惑かけないようにしますので、どうかよろしくお願いします。」
寧ろ大歓迎なんだがな。昨夜も最終的にはオレが誘ったような空気になってた訳だし。
「てか、ミルファこそオレと相部屋でいいのか?そっちのが心配だわ。」
「私は全然!寧ろ嬉しいってゆうか……」
なんですか!この可愛い生き物は?抱きしめてもいいですか!
お互い顔を真っ赤にしながら、沈黙が流れた。
着いたのは中古の家具屋だ。新品は高いうえにオーダーメイドの為、日数が掛かってしまうらしい。
選んだのはセミダブルより少し大きいサイズのベッド。
ミルファはお金が無いから床に寝るのでいいと言っていたが、流石にそういう訳にもいかないので、このサイズにした。勿論お金はオレが支払った。
これより大きいのもあったが、値段的に無理だった。
「ベッドだけってのも寂しいけど、今は無理だよな。これから頑張って集めるか。」
「そうですね。頑張りましょう!」
ミルファも気合が入ってる。ホントに頑張ろうと思った。
家に戻ると殆ど掃除は終わっていた。
そして、あの大量の本がまたオレ達の部屋に戻されていた。
聞くと、「この本はミルファちゃんがこれから勉強するのに使うのよ。」との事だ。仕方ない。
ちなみに、部屋にあったガラクタはオレのアイテムボックスに入れてある。
石や丸太は依頼で森に行った時に捨てることにしよう。
ベッドは明日届くらしい。オレは宿に戻るし、ミルファは今夜もマリーの部屋で寝るらしい。
ある程度終わって、一息入れる。
今日の夕食は皆で食楽亭だ。全員テンションが上がってる。
ミルファは始めて食べるらしい。相当嬉しそうだ。
エイル達も数年ぶりらしい。基本予約は受け付けてないみたいなので、並ぶしかない。
それが嫌な人は行けないのだ。
食楽亭は今日も大行列。受付で朝予約とった旨を伝えると、二階の宿泊席へと案内された。
しかし、メニューは一階の通常客のメニューだ。
各自それぞれがこの素晴らしい味に舌鼓を打ち、大満足で帰っていった。
一人部屋へ戻り、久々にメニューを開いた。
ステータス
レイジ(17)
メインジョブ:鍛冶師 LV7
2ジョブ :冒険者 LV6
3ジョブ :戦士 LV5
攻撃:54(17) (10)(15)
魔力:10 (0) (5)(0)
俊敏:28(7) (11)(5)
体力:44(14) (12)(11)
命中:27(6) (9)(6)
精神:10 (0) (5)(0)
運 :20(3) (7)(5)
スキル:短剣・片手剣・格闘・盾・警戒・火耐性・氷耐性・鍛冶・清掃・言語変換・鑑定
ユニークスキル:マップ・ジョブ
スキルポイント:150
称号:転生者・旅立つ者・幸運者・少女嗜好者
ちょっと見てないと随分上がったな。攻撃力が凄いな。確かにゴブリンは必ず一撃だったわ。
スキルポイントも溜まってる、使っとくか。スキルだな。
短剣LV2(08/50)
片手剣LV2(38/50)
格闘LV3(29/100)
盾LV2(04/50)
警戒LV2(11/50)
火耐性LV2(37/50)
氷耐性LV3(09/100)
鍛冶LV4(60/150)
清掃LV1(02/10)
言語変換LV4(41/150)
鑑定LV3(59/100)
マップLV2(45/50)
ジョブLV3(09/100)
よし!ジョブ上げるか!
ジョブLV4(09/150)
これでいいだけど、LV4だとジョブスキルを1つ使えるって?何なんだ?保留だな。
ジョブは増えてるかの確認っと。
『武道家』『シーフ』『商人』
おお!増えてるな。確かシーフは短剣スキルと素早く動けるようになる事だから、ステータスが上がった事で増えたのだろう。
商人はアイテムの売買のはず。て事は、この間の買い物か。うん、そうに違いない。
とりあえずジョブは変えずにこのままにしておこう。
ステータス管理が辛くなってきました。
前回との比較でおかしなところがあれば教えていただきたいです。
今後もよろしくお願いします。