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第132話 再度湖畔のダンジョンへ

 オレ達は今湖畔のダンジョン50階層に来ている。

 もう来る予定は無かったのだが、昨日セイレーンに頼まれ65階層の隠し部屋にある封印球を破壊する事になったのだ。

 宿に帰り、ルナ達と合流した後皆にこの事を伝えると、満場一致で65階層を目指す事になったのだ。


 こうなったら少しでも強化していこうと考え、スキルポイントを使いスキルジョブのレベルを8にして6つ目のジョブを付けれるようにした。

 付けたジョブは聖騎士(パラディン)だ。多分65階層に到達する頃にはレベル15までは上がるだろう。それだけあればオレの能力が底上げされ、道中の魔物も多少は楽に倒せるはずだ。


 こうして準備を整えたオレ達は一夜明けた今日、再度湖畔のダンジョンに来ている訳だ。

 先日の状況からして、51階層の魔物はある程度余裕を持って戦えるようになっている。

 とりあえず52階層からは慎重に進んでいこう。


「レイジくん、皆を信用して少し魔力は節約して欲しいのです。」


「……ああ。そのつもりだ。宜しく頼む。」


「任せるのです!」


「へへっ、レイジが頼むだとよ。気合いが入るぜ。」


 皆のモチベーションが一気に上がったようだ。オレがそう言うのってそんなに珍しいか?結構言ってると思うけど。


 順調に進んでいき、52階層。

 今までのパターンだと、51階層の魔物に新たな魔物が1種増えてるのだろう。

 希少種はどうなってるのかは分からないけどな。


 最初の魔物はパラライズトード。コイツは危険なのでサンダーショットを使おうとしたのだが、ミルファがオレを止めた。どういうことか分からない。


「此処は私に任せて。いくよー!スリープショット!」


 ミルファの射った矢がパラライズトードに命中すると忽ち眠りに落ちていく。


「ミルファ……今のは?」


「属性付与撃ちだよ。状態異常も一つの属性でしょ。それを乗せてみたの。」


 それは考えつかなかった。オレの中で属性とは基本四属性と光と闇だけだった。

 だが確かに魔道書にも状態異常について属性と明記してあった。

 これはオレの前世の記憶があるからこそ気付けなかった事だろう。盲点だった。


 眠ったパラライズトードの急所を狙い一撃で仕留めてしまう。合理的な戦い方だ。素晴らしいな。


「完璧だわ。スゲェよ。」


 心からそう思った。

 その後出てくる魔物も普通に倒していく。ミルファが射ってルナが殴り、ケントが突いて残ればオレが斬りつける。オレの今の攻撃力なら実は余裕なのかも知れない。だが今までは50階層以上の魔物は強いと解釈していた所為で通常攻撃などしていなかった。だから気付けなかったのだろう。


 一度オレが最初に攻撃してみる。倒すまでには至らなかったが、既に瀕死だった。ルナが殴りつけて終わった。

 自分のステータスを把握してなかったオレが悪いな。今後は自らの強さはしっかり把握しておこう。


 54階層までは順調に進んできた。

 そして55階層への階段へ。


「ボスも今の流れで戦ってみようか。案外楽勝かもしれないな。」


「油断するな。レイジがいつも言うセリフだぜ。」


 その通りだ。ケントに言われたっていうのが結構堪えるな。

 いや、今のは完全にオレが悪い。正しいのはケント。認めるしかないか。


「悪いな。その通りだ。行くぞ。」


 ボス部屋の扉を開けて中へと入っていく。

 今までのボス部屋と違い、幾つもの柱が並んでいる。そしてボスの姿が見当たらない。何処かの柱の陰にいるのだろうか。


「なんだ、この部屋は?柱だらけで隠れ放題じゃねぇか。」


 隠れ放題?そういう事か。この部屋のボスは隠れながらの暗殺に特化した魔物だろう。多分今も何処からかオレ達を狙ってるのかもしれない。

 だとしたら簡単だ。オレのマップには相手の位置が分かる機能が付いている。

 それを見れば相手が何処にいるか丸分かりだろう。


「この先三本目の柱の裏だ。」


 マップを見てボスの位置を特定した。

 なかなか有効なスキルに育ってくれたものだ。


「私があそこから狙ってみるね。」


 ミルファがボスが見えるような位置へと移動し、狙撃を試みる。

 だが、ボスは別の柱裏へと移動している。


「どういうことだ?動いた姿など全く見えなかったぞ。」


「レイジさん、もしかしたらボスの正体が分かったかも知れないわ。」


 メイが突然そう告げてきた。ここはメイの気付いた事を聴こう。


「確信はないけど多分ここのボスはアサシンオウルよ。一切姿を見せる事なく時間を掛けて背後を取り、確実に獲物を捕らえるハンターと言われる梟らしいわ。」


 梟……ならば移動は上部だったのか。それは盲点だった。下だけ見てても見つける事など出来なかった訳だ。

 更に別の柱へ移動している。ミルファのいる柱の隣だ。ヤバいな。狙いは一人離れているミルファに絞っている。

 オレはミルファのいる柱へ急いだ。ミルファを一人にしたままだと危険だ。

 アサシンオウルは既にミルファを捉える位置まで移動している。ミルファはそれに気付いていないだろう。

 この柱を曲がった先だ。間に合った!


 ヒュン


 目の前を何かが横切った。

 見ると梟の羽だ。オレが狙われたようだ。

 だがそんな事は些事だ。まずはミルファの元へ急ぐ。


 ヒュン ヒュン


 オレのいた場所に更なる羽が飛んできている。

 直ぐに移動していなければやられていたという事か。

 マップで見る限りはオレのいる柱の一つ北の柱にアサシンオウルはいる。ミルファはその一つ西の柱だ。

 こちらを狙っているなら逆にチャンスだ。このまま出て行ってやる。

 アサシンオウルのいる柱へ一気に近づきに掛かる。

 アサシンオウルはこの隙を逃さず攻撃してくるだろう。そこが最大のチャンスだ。

 出て行くと今度は三連続で羽が飛んでくる。


「ウインドウォール!」


 下から上へと風が舞い上がり、羽も一緒に舞っていく。

 そして、アサシンオウルの姿を確認出来た。


「いやがった!ファイアショット!」


 複数の火の弾がアサシンオウルに襲いかかるが、これら全てに羽を飛ばし相殺させていく。


「マジかよ……防ぎやがった……」


 そのまま柱影に消え、その姿が見えなくなった。

 が、その時……


「キュイイイィィィン」 ドサッ


 アサシンオウルの叫び声ともとれる音と共に何がが落ちる音がした。

 直ぐにその音がした方へ向かう。


 そこには首に火の矢が射さり息絶えたアサシンオウルが。そして隣の柱から弓を構えるミルファが見えた。


「ミルファがこれを?」


「……ふー……緊張したー……やりましたよ……やったよ、レイジさん!」


 本当にミルファがやったようだ。いや、見事としか言い様がない。素晴らしい腕と判断だ。

 てか、オレが囮になっていたという事か。うん、やられたな。


「レイジさんが近づいてきてるのに気付いて待っていたら、途中で止まり方向を変えたのが分かったんだよね。そこを見ていたら丁度あの梟が現れたから狙いやすかったよ。」


「ははっ、流石ミルファだわ。余計な心配だったな。」


 アサシンオウルを回収し、皆と合流する。

 55階層を無事通過し、56階層へと足を踏み入れる。

 目的地まであと10階層だ。

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