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第130話 今後の活動

 転送陣を使いダンジョンから出たオレ達は、帰還報告を済ませるとそのまま素材を捌きに倉庫へと向かう。

 倉庫の職員にも顔を覚えられ、オレ達が倉庫に入ると共に職員達が騒めきだし、エマージェンシーコールに備えだした。


「お前らか。また大量か?そこのスペースに出してくれ。」


 対応した職員も慌てる事なく対応してくれる。だが今回は今までで一番多いからな。スペースももう少し広い方がいいかも知れない。


「あそこのスペースでいいか?今回は移動せずに倒していたから数が多いんだ。」


 そう言い、その奥の広いスペースへ行く。そして鞄から大量の魔物素材を出していく。

 後で数えたところ、全部で173匹だった。


「なっ……エ、エマージェンシーナンバー7だー!」


「おっしゃー!待ってたぞー!」


 その声に待機していた職員が一斉にやってくる。

 来るなり早々に魔物の種類別に分けていく。手際の良さは流石の一言に尽きる。


「その鞄ってどうなってるんだよ。マジックアイテム所持者は一応見た事あるけど、そこまで突っ込んではいなかったぞ。」


 まあ、実際にはこの鞄には入ってないからな。この鞄から出すふりををしながら、アイテムボックスから出してるだけなのはここの職員には内緒にしておく。

 言い触らしていい事は一つもないからな。


「あと、これって全部50階層以上のだろ?あそこでこれだけ狩り続けるのって相当大変だぞ?どんな実力者なんだよ。ほら、番号札。」


「相当疲れたわ。もう止めるか、あと一回やるか、悩みどころだな。やるんだったらまた来るわ。じゃあな。」


 職員との会話もそこそこに切り上げ、その場を離れる。

 周囲の視線が気になって仕方なかったからだ。

 多分この街では襲撃などはされないだろうが、用心に越した事はない。

 とりあえず目立たないようにこの場を離れるのが最優先だ。


 倉庫を出て受付周辺のロビーへ来た。

 とりあえず隠れながら尾行とかしてる人間はいないようだ。

 なんで分かるかって?倉庫からマップで人の流れを確認していたからだよ。

 オレ達が出てから動いてた人間で、周辺に留まってるヤツは一人もいないのは確認済みだからな。


 ギルドを出てアブ爺さんの宿へと帰る。

 この道も歩き慣れてきたが、そろそろ動き出す準備を始めなきゃいけない。

 一つの場所でただ強くなるのが目的じゃないのだから。


「ただいまー。」


「おかえり。そろそろ帰ると思って夕食は準備済みじゃ。準備が出来たら食堂へ来てくれ。」


「分かった。ありがとな。」


 部屋で着替えを済ませて食堂へ行く。

 だが、テーブルにはお茶が出されているだけだった。


「アブ爺さん、来たぞー。何も出てないじゃんよ。」


「来たな。では始めるかいの。今日はこれじゃ!」


 カウンターの布地を取ると、出てきたのは様々な刺身だった。


「これは……刺身か?」


「流石じゃな。よう知っとるわ。だが、刺身としては食べん。これを使うからの。」


 そう言って用意したのは先日説明した酢飯だった。

 アブ爺さんが作りたかった食事とは寿司だったようだ。


「レイジさん、これってスシだよね。あの時見たものと殆ど一緒だもん。」


 ミルファも直ぐに気が付いたようだ。

 でも流石に食べるのは初めてだと思う。

 あの時作ったのはシームルグの分だけだったからな。


 魚は多分この清恋湖で採れた物だろう。見るからに新鮮だ。

 という事は淡水魚か……寿司にして大丈夫なのか?

 まずは一つ食べてみる。

 ……美味い。非常に美味い。白身魚で弾力のある歯応え、そしてほんのり甘い味わい。まるで鯛のような味だ。


「この魚って何ていう魚なんだ?かなり美味いんだが。」


「ファーッファッファッファッ、美味いか?そうかそうか。コイツはデモンズフィッシュといって、清恋湖に生息する魚じゃ。だが誰も食べようとせん。美味いのにのう。」


 そのネーミングでどんな魚か想像ついたよ。誰も食べたくならない程グロいのだろう。

 カジカとかがそうだろう。オレは好きだが、見たときはかなり驚いた記憶がある。何も知らなかったら食べなかっただろう。


「どんな魚なんだ?見てみてぇな。」


「私は遠慮するわ。多分食欲を無くすだろうしね。」


「私も止めとこうかな?何か怖そう。」


「ウチは見てみたいのです。機会があったら捕まえたいのです。」


 ケントとルナは見てみたい派か。向こうの世界よりグロそうだからオレも止めておこう。今後に差し支えても困るしな。

 二人はアブ爺さんと厨房へ入っていく。間もなく戻ってきた二人は具合悪そうに青褪めていた。

 大方の予想通りだ。


「あー、やっぱりね。もう今日は食べれないんじゃない?」


「このお魚はもう要らないのです。こっちの蟹と海老を食べてるのです。」


「俺もそうするわ。コイツがあんなのだったなんて……信じられねぇ……」


 暫くトラウマになるくらいの案件だったようだ。自ら進んで見に行ったんだ。仕方ないと思う。


 食事を終え、オレ達の部屋に皆が集まった。明日の予定の話し合いである。


「とりあえず皆の強さがジョブを変える前と同じくらいまでにはなったよな。これで一旦ダンジョンでのレベリングは終了でいいと思ってるんだけど……」


「私はいいと思うよ。今の強さなら道中の魔物相手に遅れをとらずに戦えると思うし。」


 ミルファは終わりでいいようだ。何よりこの話し方で大分慣れてきたようだな。


「ウチも構わないのです。でも、もう少し先のフロアまで進んでみたい気もするのです。」


 ルナの気持ちは分かる。オレも先を見てみたい。だがリスクを考えたら今じゃなくてもいいかと思ってしまう。


「私はまだ自分がそのレベルにないと自覚しているつもりよ。もう少し勉強してから進みたいと思うわ。」


 メイはヒーラーよりもバッファーとしての強さが出てきてるから、この先へ行くほど活躍しそうだけどな。だが、確かにバッファーとしての勉強をしてからの方が確実に上手く戦えるだろう。

 今回使ったスピードという魔法なんてその最たるものだ。速度上昇は戦闘に於いて最も役立つバフだと思う。

 全員アレが掛けられた状態で動く練習をした方がいいかもな。


「俺はまだまだ戦い続けて強くなりたいけどな。でも旅をするというレイジに付き合ったのは俺の意思だ。それに従って行動するさ。」


「じゃあ決まりだな。直ぐは辛いだろうから二日くらいゆっくりして、その後出発だ。行き先は王都かヒュバルツ。その時になったら多数決で決めよう。」


 オレが行きたいのは王都だ。だが、仲間と共に旅をしている以上一応全員の意見を聞いておきたかった。

 その結果違う行き先になったとしても、それはそれで問題ない。オレにとってこの世界の全てが見た事のないものであり、行き先が変わったからといって見知った世界がそこに現れる事などありえないからだ。

 この街にいる残り二日は各自自由行動とし、この日は解散した。


 ケントとメイが部屋へと帰り、いつも通り三人になった。

 とりあえずオレ自身のジョブをどうするか考えよう。

 騎士のレベルが20を超え、新たにジョブが増えている。

 【重騎士】【聖騎士】の二つがそれに当たる。

 ケントが重騎士(ヘビーナイト)になってるのに対し、聖騎士(パラディン)は誰もいないな。

 実際重騎士になったケントを見てるとそのスピードに難がありそうだ。多分俊敏値が低いのだろう。

 聖騎士はシルバーランクのベロニカがそうだった。模擬戦を見る限り、なかなか整ったバランスのいいジョブだったように思える。

 そう考えるとオレが入れるなら聖騎士がいいかと思う。

 問題は外すジョブだ。騎士を外してもいいとも思ったが、他のジョブ派生を考えたらレベル30まで上げてもいいと思っている。

 レベルが高くて上がりにくくなってるジョブで言えば魔法戦士だが、これはオレのメインジョブなので外せない。

 次は魔弓士か。ミルファが魔弓士なので外してもいいような気もするが、命中値が大幅に下がってしまうんだよな。弓を使う機会はそうそう無いが、いざという時使えないのは困る。

 大魔導師も探索者も外せない。ならばどうするか。ジョブを6つに増やすしかないだろう。

 だが、そうするにはスキルポイントが必要だ。必要ポイントは280ポイント。所持しているスキルポイントは870ポイントなので、そこまで上げても500ポイントは残る。

 現状不足しているスキルは無いように感じるが、剣スキルが伸び悩んでいたりと、気になる箇所は出初めて来ている。そう考えると、ここで使っていいか悩んでしまうな。

 まあ、直ぐにレベリングする訳ではないので急がなくてもいいか。次に上げるポイントとして考えておこう。

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