第125話 休息と換金
ボス部屋を出て目の前の転送陣を使いダンジョンから出た。
ギルドの中はかなり賑わっている。時間的にそういう時間なのかも知れない。
「シルバーランクのレイジだ。ダンジョンから出てきた。素材の売却はどこでやってるんだ?」
「レイジさんですね。確認しました。素材は全て裏の倉庫で受け付けております。お疲れ様でした。」
裏の倉庫か。流石ダンジョンがあるだけあって、カウンターではないようだ。
「素材って此処で買い取って貰えるのか?」
「はいよっ!初めて見る顔だな。いいぜ、出してくれ。」
担当のおっさんがいう場所では狭いな。こっちのスペースでいいか。
5階層ボスから全ての魔物素材を出していく。
冒険者の墓場に2回入ってるのでそこそこ数は多いかも知れない。とは言っても何百とある訳じゃないので、職員の負担にはならないだろう。
「おいおい……マジックアイテム持ちか……久々に見たな。はぁ……おーい!エマージェンシーナンバー7発生!至急応援要請!」
なんだ?カッコイイな。オーグストンとは全然違うぞ。
「悪いな。数が多くて直ぐには結果が出そうにない。明日まで待ってくれ。」
「ああ。問題ない。じゃあよろしく頼む。」
「おいおい、待ってくれ。このままじゃ誰のか分からないだろ?ほら、これが引換番号だ。明日以降これを持って換金カウンターに行ってくれ。」
先に番号を貰っておく事が出来るのか。ロードプルフでもそうすればもっと楽だったのにな。
「ありがとう。また頼むな。」
時間が掛かるのはどこのギルドでも一緒だな。さて、宿に戻るか。
外に出るとまだ日中だった。太陽の位置的に正午あたりか。夕食を食べて直ぐダンジョンに来た訳だから、15時間以上はダンジョンにいた事になる。
とりあえず宿へと向かうか。この時間に食事を用意出来るか分からないが……
「ちわー……大丈夫ですかー!」
日中に来ると思ってなくていない可能性もある。
とりあえず大きな声で呼びかけてみた。
「ん?誰か来たのか……おお!お前さん方か。おかえり。」
「ただいま。こんな時間に申し訳ない。またいいだろうか?」
「勿論じゃ。いつもの部屋じゃろ?準備は出来てるからのう。」
三泊目ともなれば、部屋への案内も必要ない。
部屋に入ると時間を開けずに食事の準備が出来たとの知らせが入る。
随分早いと思いながらも食堂へ向かった。
「すまんの。時間が未定との事だったので、準備に時間の掛からない食事にしたんじゃ。」
見てみると、大きな鍋が置かれていて、グツグツと煮立っている。
その中には様々な肉と野菜が綺麗に並べられていた。
「鍋を囲むのか。いいねー。」
「やはりお前さんは知ってるのじゃな?これはイージパンの伝統料理の一つ。寄せ鍋じゃよ。」
朝食にしてはなかなか重いが、昼食として考えたらいいのか。
この世界で昼食は食べても食べなくてもいいようだが、オレは最近は食べていない。
冒険者は食べない方が多いのも理由だが、食事に掛ける手間を考えたら無くてもいいように思えたからだ。
この鍋は出汁をとってるのかは分からないが、香りもいいしとても美味そうだ。
ただ、敢えて言うならこの温暖な気候の中で食べた事がないのが懸念されるが……
「美味そうじゃろ?だが、友人には不評なんじゃよ……暑くて食べていられないとか……」
やはりそうだ。だが悪気があってこのメニューにした訳じゃないしな。
好意でしてくれてるんだ。しっかり食べようと思う。
皆も同じ考えなのだろう。笑顔ではあるのだが無理をしているのがはっきり分かる。
汗の量が半端ないしな。それでも皆しっかり食べていた。
「ぷはーっ!美味かったけど、あっちーわ。汗でベトベトだし。」
ウォッシュとドライの魔法で汗でベトベトになった身体を綺麗にし、部屋で休む事にする。
眠い事は眠いが、数時間で夜になる事を考えたら、調整した方がいいからな。
時差ボケのままでいるのはいい事ではないから。
この時間にレベルの確認をしてみたが、探索者のレベルは12とまずまずだった。
次のアタックでミルファ達の次のジョブが開放されるかもしれないな。
因みに探索者レベル10のジョブスキルは探索でダンジョン内で宝を探す際に使うスキルだという。
何も反応がない事が殆どらしいので、使う機会は無いだろう。
時間潰しに湖畔でケントと対人戦闘訓練をしてみたりもした。
スキルの熟練度も上がり、いい時間の使い方だったと思う。
てか、身体を動かしてないと寝そうだっただけなんだけどな。
女性陣はミルファが調合の練習をしていて、ルナとメイはそれを見ていたようだ。
陽が沈むと夕食を食べ、速攻で眠りに就いた。
ルナなんかは食べながら寝そうだったが、何とか耐えていた。
寝るのが早かったからか、起きたのは夜明け前。それでもスッキリして目覚めたので、かなりの時間寝たようだ。
オレが起き上がるとミルファとルナも目を覚ましたようだ。
朝食にも早いので三人でイチャつき過ごしていた。イチャつき頻度が多い?二人が可愛いから仕方ない。
朝食を食べると再びギルドへ。
アブ爺さんにはまた戻る時間は不明だと伝えてきたが、そろそろ通常運転に戻したいな。
更新フロア数は10階層までにして残り時間を魔物を狩ってレベリングに費やせばいいかな。
50階層だとレベリングに丁度いいかも知れないし。
ギルドでは先ず換金カウンターへ向かう。
昨日の分の集計が終わってるかもしれないからな。
引換番号を渡すと金が出てきた。全部で60万Gとの事。
ブラックミニオークが15万Gなのでそれ以外は45万Gだ。
食用魔物や高額素材魔物がいなかったからな。こんなもんだろう。
金を受け取り行こうとすると、受付嬢から呼び止められた。
「レイジさんにヘルゼスト冒険者ギルドより入金があります。お受け取り下さい。」
あの襲ってきた冒険者達を犯罪奴隷として売却した金だ。300万Gある。
主犯の三人が100万ずつらしい。背後から襲ってきた五人は奴隷堕ちを免れたとの事だ。
全部で360万G。五人で割ると一人72万Gになる。
全員に配ろうとした所、物言いが入った。
「いや、待ってくれ。今のところ宿代は全部レイジが払ってくれてるだろ?それで金を貰う事は出来ねぇよ。」
他のメンバーも皆同じ考えのようで、どうするかは宿に帰ってから決める事で保留とした。
「じゃあダンジョンに入るか。今回で50階層。その後は魔物の強さ次第だけど、その周辺でレベリングにしようと思うけど、どうだ?」
「やっと落ち着いて戦えるんですね。それでいいですよ。」
ミルファが言うと全員が賛同してくれた。
皆、移動疲れが溜まってるようで、これ以上は辛かった模様。やはり50階層くらいで肉体的にも限界のようだな。
転移陣から40階層へ行き、50階層を目指し出発した。
ブクマ500件&30万PV&ユニークアクセス3万人と色々と大台に乗っていました。
大変ありがたいですm(_ _)m
色々忙しくなって更新が滞るかもと思っていましたが、思いの外更新出来ています。
これからどうなるか分かりませんが、二日に一回は更新していきたいと思います。
今後も宜しくお願いします。