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第12話  スタンピードの兆候

なんだかんだで1日2回投稿出来ています。


 今日からはパーティで活動だ。身体も十分に休まり、体調は万全だ。

 ギルドで合流する前に、修理に出している革の鎧を取りに行かなければいけない。

 朝食を食べると直ぐに防具屋へと向かった。


 開店前だったが、何とか店に入れてくれて、修理の終わった革の鎧の確認をする。周囲にあった細かい傷も補修してくれている。

 丁寧な仕事に感謝をし、代金を支払い早足でギルドに向かった。


 ギルドへ入り辺りを見渡す。三人の姿はない。ロビー・カウンター・食堂と、冒険者達が集まる場所を見て回るが、やはり三人の姿はない。

 ロビーの入口が見える場所に立ち三人を待つことにした。


 一時間が経ち、二時間が経った。まだ来ない。

 オレの顔にも段々焦りの色が浮かんでくる。まさかアレはその場のノリで言っただけで実際はパーティに入れる気はなかったんじゃないのか?そんな事が頭をよぎった。


 更に三十分が過ぎ、騙されたのか…と肩を落としその場に座り込む。

 そんな時、「お!いたいた。レイジ~、おまたせー。」

 見上げると、満面の笑みを浮かべたエイルが手を振りながらこちらへ近づいてきている。

 その後ろからはマリーとディルがついてきている。

「いやー、待ったか?昨日も飲み過ぎちまって三人揃って寝坊しちまったわ。わりぃわりぃ。」

 やっと来た。いや、来てくれた。ただの寝坊だった。

「お、遅いですよっ!騙されたのかと思ってショック受けてましたよ。」

「ごめんって、今夜のメシ奢るから、なっ。」

 怒ってはいない。言うなら安堵の方が大きいのだから。それでも何となく不貞腐れたふりをしてみた。

「ごめんねー。今日からレイジくんも加わって四人パーティになると思ったら嬉しくって、つい飲み過ぎちゃった。許して、ねっ。」

「本当に申し訳ない。先輩である我々が遅刻など……、許してくれ。」

 皆にそこまで謝られたら逆に申し訳なくなる。

「も、もういいですから。早く行きましょうか。どんな依頼を受けるんですか?」

 謝ってくる三人を無理やり引っ張って掲示板の方へ連れて行く。もう周りの視線が痛いのだ。



「今更ですけど、アイアンランクのオレがゴールドランクの皆さんと同じ依頼を受けることって出来るんですか?あまりにもかけ離れてると思うんですけど……。」

 アイアンとゴールドの間には、コモン・ブロンズ・シルバーと、三つもランクがある。正確にはもっと差があるのだが。

「パーティ全員のランクの平均値で依頼を受けれるかは決まるのよ。今回のウチだとレイジくんがアイアンなので1点。私達が全員ゴールドだから5点が三人で15点。合わせて16点なの。四人で割ると一人あたり4点になるわよね。つまりシルバー相当の依頼が受けれるってわけ。」

 マリーの説明はとても分かりやすかった。このオレでも直ぐに理解出来たのだから。


「ただ当面はレイジの修行も考慮しながらだよな。そうすると……これあたりだな。」

 エイルが手に取ったのはコモンランクのゴブリンの巣の調査だった。

 ゴブリン……魔石取るのがトラウマになるレベルなのだ。正直やりたくない。

 露骨に嫌そうな顔してるのが三人にもわかったようだ。一斉にからかってくる。

 嫌なものは嫌なのだ。グロいものが大嫌いなのだ。

「数をこなして慣れろ。」最終的にはそれで一蹴された。


 最初に行った森の奥、そこにゴブリンの巣があるらしい。

 正確には集落になってるという噂らしいが。


 カウンターで依頼の受付とパーティ申請を出した。

 このパーティ申請をした上で共に戦闘をすると、たとえ攻撃をしていなくてもその戦闘を経験したという事で強くなれるらしい。

 つまりは経験値が振り分けられるということだろう。

 ただ、その際に別行動してたりしてその場にいないと経験にならないらしい。

 何となく巧くできてるものだ。


 いざ、出発だ。

「改めましてよろしくお願いします。」

 高らかに挨拶をして東の森へ出発する。


 途中出てくるスライムやブルースネーク・フットラビットを蹴散らし一直線に森へ向かう。

 勿論オレもそこそこ攻撃し、一撃で討伐している。

「やっぱ、その鞄は最高だな。普通はフットラビット二匹持ち運ぶだけで他は何も持てなくなるもんな。」

 考えてみたら確かにその通りだ。人間一人で運べる量なんてたかが知れてるのだ。

 そう考えたらこのアイテムボックスだけでかなりのチートだと言える。


 森の入口付近に既にゴブリンが徘徊している。

「見つかると面倒だな。ディル、頼んだ。」

 ディルは弓の名手だ。ジョブは狙撃手(スナイパー)だと言っていた。

 ディルが放った矢は、眉間に射さり一撃で絶命させた。

「す、凄い…」

 見える所にはゴブリンはもういない。一匹だけこの辺に来ていたようだ。


 森に入り進んでいく。


 進むにつれ徐々にゴブリンの数は増えていく。

「流石にこれ以上は隠れながらは倒せないな。そろそろいくか。レイジ、覚悟はいいか?」

「……はい。」

「うし、いくぞ!」

 その掛け声と共にディルの矢が飛んでいく。俺たちも飛び出した。

 その周囲にいたゴブリンは九匹、最初の一射で一匹殺ってて、残りの八匹を十秒と掛からずに殲滅する。

 勿論オレも一匹倒してる。

 

 その音を聞きつけゴブリンが集まってくる。

 一旦引き、迂回しつつ更に進んでいく。


 その後もある程度の集団を殲滅し、引いて迂回を繰り返し集落を発見した。

「結構でかいな。周辺の見張りの数からしてもそろそろ人里襲い出す頃合だぞ。」

「至急ギルドに報告ね。討伐隊を編成した方がいいわ。戻りましょう。」

 オレはあまりの光景に既に膝が震えが止まらないでいた。

「戻るのも慎重にな。さっき撒いた奴らが何処にいるか分からないからな。」

 オレは既に声は出ず、頷くだけだった。

 その後も多少の塊を殲滅しつつ森から脱出し、急いで街へと戻った。


 街へ辿り着き、それでも尚走り続けギルドへと向かう。

 ギルドではこの時間はいつも帰ってきた冒険者で溢れている。

 その中をかき分けるように一直線にカウンターへと駆け込む。

「ギルド長はいるか?森のゴブリンが溢れている。何処かの街を襲うかもしれないぞ!」



 オレ達は奥の応接室へ通され、ギルド長を待っている。

「待たせたな、お前たちが俺のトコへ来るなんてどういう風の吹き回しだ?」

 そこに現れたのは中背でありながらもかなり引き締まった身体、言うなれば体脂肪率5%のボディービルダーのような体型の男。

 顎鬚を蓄えており、その強い目力に引き込まれそうになる。

「既に聴いてるかもしれないが、ゴブリンの集落がパンク寸前だ。スタンピードが起きるかもしれん。至急討伐隊を編成してくれ。」

 エイルはギルド長を前にしてもその姿勢は変わらない。

「既にそういう方向で動いている。まもなく発表があるだろう。明日早朝にも出発するだろう。それよりもお前らがゴブリンの集落の調査なんて依頼を受けた理由だよ。どういうことだ?」

「あー、そのことか。コイツだよ。レイジって言うアイアンなんだが、俺達はコイツを育てることにしたんだ。んで、コイツに見合う依頼を探したらたまたまこの依頼だったって訳だ。」

「ふん、とりあえず今はそれでいい。後で詳しく聞かせてもらうぞ。」


 そう言うとギルド長は席を立ちその場を後にした。

 オレ達はその場で今回の報酬を受け取り、ロビーへ出てギルドの発表を待った。



「今回東の森にてゴブリンによるスタンピードの兆候があった。

 明日早朝、緊急討伐依頼としてゴブリンの集落殲滅戦を敢行する事とする。

 ランク不問、全冒険者に出動を命ずる。

 今この場に居合わせている諸君には、居ない者へ周知をお願いしたい。

 では、明日の朝この場でまた会おう。よろしく頼む。」


 ギルド長の言葉に一同は騒然となり、全員が即座に行動を開始した。

少しずつですがブックマークしていただけております。

ありがとうございます。

これを励みにこれからも頑張ります。

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