第115話 余裕の返り討ち
ギルドでのパーティーからの帰り道、獅子の咆哮亭への途中には周囲に家のない路地を通る事になる。
彼らがオレ達を襲撃するなら間違いなくソコだろう。
その路地に入るとオレ達はオレを先頭に、そしてケントを最後方になるように歩き、その時を待つ。
「おい、止まれ。」
やっぱり来た。来ないんじゃないかと少し不安だったが、思ったとおりだった。
「ギルドにいた冒険者だろ?ギルドにいた時から殺気放ちまくって、気付かれてないとでも思ってんのか?」
「なんだ、気付いてたのか。なら話は早いな。オレ達はあのワイバーンを討伐する為にこの街に来たんだ。
それを横から掻っ攫いやがって……たんまり金貰ったんだろ?それをよこせ。そしたら命だけは助けてやる。まあ、口封じはさせてもらうけどな。そうだな……へへっ、丁度いい女連れてんじゃねぇか。そいつをもらっておくぜ。」
まあ、よく喋る。此処まで素直に全部話してもらえると色々助かるわ。
しかしコイツ今、女を貰うって言ったか?それはミルファとルナの事を言ってるのだろうか。
段々怒りが込み上げてきた。金銭目的で襲って来るだけなら、ちょっと痛めつけてギルドに引き渡そうと思ったが、ミルファとルナに手を出そうというなら容赦出来ないな。
「おっと、逃がしはしないぜ。おい!出てこい!」
冒険者の男が声を掛けると背後から五人の男が現れた。どうやらこの三人だけではなかったようだ。
「へへっ、おい、無駄な抵抗しないで金と女だけ置いていけ。そしたらそのまま逃がしてやってぼっ……」
背後から来た男の言動に腹を立てたのだろう。ケントは有無を問わずにその男に攻撃を仕掛けていた。
まあ、パルチザンを逆に持ち石突で突いてるので死にはしないだろうが。
「ケント、こっちから仕掛けちゃダメだろ。」
「既にコイツらから仕掛けてきたようなモンだろ?それにメイさんに手を出そうとしている連中相手に様子見なんて出来る心境じゃねぇんだよ!」
まあ、そうだな。オレも相当頭に来てたから、もういいか。
「コ、コイツ、先に手を出しやがった。構わねぇ!殺っちまうぞ。」
ワイバーンを倒してるオレ達に力技とかコイツらは馬鹿なのか?
いや、コイツらもワイバーン討伐に来てるんだったな。そりゃ自分達のが上だと思い込んでもしゃーないか。
「ルナ!ケントのフォローを頼む。」
ルナとケントに背後の連中は任せ、オレは正面の三人と対峙する。
「この野郎……一人で俺達三人を相手するだと?舐めんなコルァー!」
リーダーと思わえる中央の男が手に持つシミターで斬りかかって来た。
「はあ……ウォーターボール」
手を前に掲げ、小さく圧縮した水球を放つと、男の鳩尾に命中。そのまま後方まで吹っ飛んでいった。
「ほら。お前らもかかってこい!」
「やりやがったな!生きて此処から帰れると思うんじゃねぇぞー!」
セリフが既に三下だな。とっとと始末しちゃおう。
「ストーンバレット!」
「なっ……ぐはっ!」
複数の石が相手に襲いかかる初級魔法だ。
魔力が高くなってる今使えば、十分致命傷を与えることが出来る。危ないのでかなり威力は抑えてるから、痛めつける程度で済むはずだ。
この程度の実力でワイバーンに挑んでいたらあっという間に全滅してただろ。
無駄に死なずに済んだんだ。逆に感謝して欲しいくらいだ。
さて、後ろの様子はどうなんだろうか。
オレが振り返ると、ケントが最初に一人倒して残り四人だった相手は、既に最後に一人を残すのみとなっていた。
そしてその最後に一人に対し、ルナのミスリルメイスでその武器を弾き飛ばすと、倒れ込む相手の顔の横にミスリルメイスを突き出す。
「チェックメイトなのです。」
ああ、絶対このセリフは予め考えていたな。などと思いもしたが、先ずは無事だった事にホッとし、全員で手分けして襲撃犯をロープで縛っていく。
先にギルド職員を呼びに行っても良かったが、その間に暴れたりしても厄介だったので、先に安全の確保を優先したのだ。
その後、ギルド職員を呼びに行ったケントがギルド長を含めたギルド職員10名を引き連れ戻ってきた。
「まさか闇討ちなどを行う冒険者がいようとは……本当に申し訳ない。コイツらは犯罪奴隷堕ちとし、売却金額を迷惑料として支払わせて頂く。金は、そうだな……ライトレイクの冒険者ギルドから支払われるよう手続きをしておこう。」
まさかこんな事で金が支払われるとは思っていなかった。ラッキーだったな。
しかし、コイツらもどうしてオレ達に勝てると思ったんだ?
さっきもオレは皆の前でシルバーランクだと説明したはずなんだが。
後から聞いた話だが、オレみたいな若造がシルバーランクだなんてイカサマをしない限り絶対に有り得ないと思っていたようで、実際の実力はそんなに無いと考えていたようだ。
だからといって襲撃していいはずはなく、その代償はかなり高くついてしまったようだ。
因みにコイツらのギルドカードを調べてみると、活動区域がシュバルツになっていた為、シュバルツ冒険者ギルドへの報告もしっかり行われるとの事。
一先ずコイツらの使用していた武器を戦利品とし、この事件は幕を下ろした。
獅子の咆哮亭へと帰ってきたオレ達は、気分を変えようと部屋で飲み直していた。
「レイジさんはまだ万全ではないので程々にしてくださいよ。」
ミルファとメイが飲み過ぎないようにと釘を刺してくる。回復職二人の言うことだからな。言わば医者が傍で監視している状態だ。
飲み過ぎと判断された瞬間にドクターストップが掛けられるのだろう。
まあ、身体が資本の冒険者稼業だ。そう言ってもらえるだけ幸せだと思わないとな。
そういえば今回ワイバーンを含めた魔物を討伐した事で、多少はレベルが上がったはずだ。
戦力的には多少不安はあるが、オレも何か一つジョブを変えてもいいだろう。
以前気になったのは探索者だ。冒険者に変えてコレを付けるのは確定だ。
他にはケントとルナが付けている騎士になっておきたい。しかし、騎士になるには槍スキルが必須の為今のオレには無理だ。
適当なタイミングでケントにパルチザンを借りてスキルを得るとするか。
探索者を付けた今のオレのステータスは……
レイジ(17)
メインジョブ:魔法戦士 LV31
2ジョブ :探索者 LV1
3ジョブ :魔弓士 LV29
4ジョブ :大魔導師 LV26
5ジョブ :僧侶 LV34
攻撃:200 (88) (3)(58)(0) (34)
魔力:269 (56) (2)(44)(117)(38)
俊敏:206 (59) (3)(65)(34)(38)
体力:211 (77) (4)(39)(29)(52)
命中:232 (53) (2)(78)(47)(45)
精神:208 (24) (2)(33)(39)(102)
運 :164 (41) (3)(34)(33)(46)
スキル:短剣・片手剣・弓・格闘・盾・黒魔法初級・黒魔法中級・白魔法初級・生活魔法・召喚魔法・魔法剣・ガード・回避・警戒・命中・受け流し・連撃・指揮・威圧・手当て・火耐性・水耐性・風耐性・土耐性・氷耐性・雷耐性・毒耐性・暗闇耐性・麻痺耐性・魅了耐性・錬成・鍛冶・調合・採掘・料理・清掃・洗濯・洗浄・乗馬・操車・疾走・言語変換・鑑定
ジョブスキル:属性付与・属性融合・魔法剣威力UP(魔法戦士)属性付与撃ち・魔力矢(魔弓士)魔力回復速度UP・各属性耐性(大魔導師)回復量UP・魔力回復速度UP・癒しの光(僧侶)
ユニークスキル:マップ・ジョブ
ジョブスキル(スキル効果):パワースラッシュ(戦士)
契約召喚獣:シームルグ
スキルポイント:370
称号:転生者・旅立つ者・幸運者・迷宮から帰還せし者・冒険者ランクシルバー・毒愛好家・中級鍛冶職人・王子の友・街の英雄・神の使いに認められし者・オークスレイヤー・ギルドヒーロー・女たらし(若年層)
お、女たらしって……いや、以前の少女嗜好者よりはマシか。
全体的に能力は落ちたが、今後の事を考えてもこれでいいはずだ。
スキルは多すぎて何が新しいか全然分からない。スキル確認した際にスキルレベルが低いのが新しく入手したスキルだと思うのだが、そうじゃなくても低レベルスキルはあるからな。
一概にそうとは言えないのが辛いところだ。
ついでだからスキルも確認しておくか。
短剣LV2(10/50)
片手剣LV7(98/500)
弓LV3 (78/100)
格闘LV3(29/100)
盾LV4(130/150)
黒魔法初級LV5(178/250)
黒魔法中級LV3(56/100)
白魔法初級LV3(04/100)
生活魔法LV MAX
召喚魔法LV2(42/50)
魔法剣LV4(133/150)
ガードLV3(88/100)
回避LV4(10/150)
警戒LV5(76/250)
命中LV5(28/250)
受け流しLV2(26/50)
連撃LV2(30/50)
指揮LV2(22/50)
威圧LV1(04/10)
手当てLV2(14/50)
火耐性LV3(28/100)
水耐性LV1(00/10)
風耐性LV2(10/50)
土耐性LV2(12/50)
氷耐性LV3(09/100)
雷耐性LV1(00/10)
毒耐性LV3(06/100)
暗闇耐性LV2(12/50)
麻痺耐性LV1(06/10)
魅了耐性LV2(16/50)
錬成LV5(62/250)
鍛冶LV5(17/250)
調合LV2(05/50)
採掘LV2(35/50)
料理LV3(98/100)
清掃LV2(40/50)
洗濯LV2(32/50)
洗浄LV2(28/50)
乗馬LV5(41/250)
操車LV3(18/100)
疾走LV1(02/10)
言語変換LV6(22/400)
鑑定LV5(236/250)
マップLV7(34/500)
ジョブLV7(22/500)
全体的にスキルレベルが上がってる気がする。
もしかして技能の指輪の効果か?だとしたらかなりの性能だな。
今後スキルレベルの上昇にかなり期待できるかも知れない。
新しいスキルは……威圧、疾走と……多分魅了耐性もなかった気がするな。レベル2になってるけど。
獲得経緯はルナの魅力に耐え続けたからだろうな。それ以外考えられない。
疾走は走ったから。威圧は殺気を放つ行為をしたからなのかな?分からないけど入手したのでそれはそれで良しとしておこう。
こうやってステータスを見てたら、今後に少し不安があるな。どこかのタイミングで本格的に鍛えないと死んでからでは遅いからな。
ライトレイクに到着したら皆に相談してみようか。




