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第105話 子供達失踪の真相

 翌朝、もの凄い心地よさに目を覚ました。


「おはようございます。」

「おはようです。」


 目を開けると、ミルファとルナ、二人してオレの耳にキスをしていた。


「何してるの?嬉しいんだけど。」


 これは普通に本音だ。


「そろそろ明るくなる時間ですので、準備し始めた方がいいかと思って。」


 それで起こしてくれたのか。凄くありがたいな。

 ただ、もう少し普通に起こしてくれた方がいいかな。刺激が強すぎるから。


 起き上がり着替えを済ませると、タイミングを計ったかのようにノックしてきた。


「起きてるか?そろそろ飯食わないと遅れると思ってな。大丈夫か?」


「丁度準備が終わったトコだ。行くか。」


 ケントの後ろにはしっかりとメイが立っていた。

 てか、この宿は作りはいいが、壁が薄い。ケントとメイの行為が全部筒抜けだったのだ。

 オレにはその気は無いのに、妙に意識してしまってなかなか寝付けなかった。


「ん?ミルファちゃん、どうかした?」


「え?いえ、何でもないです。」


 ミルファもそれが分かってて、どうしてもメイを見てしまうようだ。

 ルナは……通常通りだな。


 流石に朝食には辛いものは出ないようだ。

 朝食を食べ、明るくなる前にギルドへ向かう。日が昇り次第直ぐに捜索開始する為だ。ある程度早いのは仕方ないだろう。


 この時間のギルド前には、既に商人の馬車が来ているようだ。

 中にはこれからロードプルフに向かう馬車もいるのだろう。

 そう思うと思わずにやけてしまうな。僅か二ヶ月しかいなかったが、この世界に於いてはロードプルフがオレの故郷なんだから。


 商人の護衛依頼の列に並び、受付を済ませる。

 列といっても3人しかいないけどな。


「例の事件の捜索に今日から加わることになった者だ。聞いてるか?」


「はい。シルバーランクのレイジさんとその一行ですね。聞いています。本日から宜しくお願いします。」


 受付で本日の捜索手続きを済ませ、また街の東へと戻っていく。

 この頃には既に東の空は明るんできていた。


「この戻るのが手間だな。宿から直接行った方が早いのによ。」


 うん。ケントの気持ちはよく分かる。てか、オレも同じ考えだからな。

 まあ、そういうルールなんだ。嘆いても仕方ない。

 宿泊している獅子の咆哮亭を通り過ぎ、街の東端に到着した。


「此処が東の外壁だな。昨夜聞いた路地へ行ってみようか。その先の草むらも徹底的に調べて見たほうがいいな。」


 先ずは昨夜、宿でエルニエルとマーサから聞いたイオナという子が行方を晦ましたという路地から調べてみる事にした。


「この路地の先……此処だ。この草むらからいなくなったと……」


 周囲を見渡しても特に何もおかしな所はない。

 皆で草むらを掻き分けてみるが、何も無いように感じる。

 隣接する家に出入りするような扉も窓もない。


「ホントに何もねぇな。此処であってんだよな?」


「間違いないはずだ。この周辺に変わったトコがないとすると……建物か。

 一度ギルドへ戻ろう。調べる事がある。ケントとメイはこの周辺の空家を調べる事は出来そうか確認してくれ。確認だけで調べなくてもいいからな。」


 確信なんて何もない。とりあえず調べる事は調べようと思ったオレは一旦ギルドへ戻り、調べ物をする事にした。



「すみません。ああ、すまん。至急調べて欲しい物があるんだけどいいか?」


「は、はい。どういった内容でしょう?」


「東地区の周辺で最初の行方不明者が出る二ヶ月以内に家の契約をした者を全て調べて欲しい。大至急だ。」


 多分そこには子供たちはいないと思う。だが、犯人が何かに使用した可能性を考えたのだ。

 そしてオレは資料室へ向かう。

 調べるのはこの街の地下構造だ。

 あの場所で子供が居なくなるのであれば、一つは周辺の建物への拉致、もう一つが地下への通路だろう。

 少なくてもオレはそうとしか考えられない。

 魔法による何かは考えるだけ無駄だ。そんなものは考えたって分からないんだからな。

 だからオレは普通に考えられる範囲で捜索するしかない。


 調べ初めて二時間、漸く見つけた。この街の下水路の地図だ。

 家毎に地下水を引っ張ってる為、上水設備は無いが、流す為の下水設備はロードプルフにもあった。

 その為、絶対この街にも下水路はあると思ったのだ。

 そしてこの図面を見ていくと……此処だ!


「見つけたぞ!丁度あの路地の下を通っている。」


「でも、あの周辺にはそんな穴なんかはありませんでしたよ。


「穴とかではなく何かしらの方法で地下に連れ出してるんじゃないのか?」


「ちょっと私には分かりませんけど、そうかもしれないですね。」


 その時、調べ物を頼んだ職員が資料室に入ってきた。」


「あ!ここにいたんですね。分かりました。一件だけ借家契約している家がありました。此処の家です。」


 職員が地図で指を指した場所は、あの路地の草むらの隣の家だ。これは絶対怪しい。


「レイジ!」


「ケント。何か分かった?」


 このタイミングでケントが戻ってくるとか、オレって何か持ってるのではないか。


「行方不明になってる子の親二人から話を聞けたぞ。その二人の子も最後の目撃はあの路地だったわ。」


「それって……」


 ほぼ確定だと思うんだけどな。先ずはその家を調査だろう。


「その家の調査って何か許可が必要だったりするの?」


「は、はい。本来はこの街の領主様に許可を貰わなくてはいけません。ですが、今回の件の調査であればギルドの名前でも出来ると思います。」


「じゃあ、ギルド長に会わせて貰えるか。」


「分かりました。此方に来るように話します。」


 ギルド長を待つ事10分。息を切らせながらギルド長がやってきた。

 急いで来たのが分かるな。結構いい人なんだろう。


「呼び出してすみません。話は聞きましたか?」


「ああ。直ぐに許可を出す。その間に詳しい説明を頼む。」


 ギルド長に今分かった内容を話していく。

 実際確信の無い事ばかりだが、進展の速さにギルド長はかなり驚いている。

 てか、これくらいは現代警察だったら30分で解決出来るんじゃないのか?


「確信はないがかなり怪しいな。……分かった。捜索に当たってる冒険者の半分をこっちに回してくれ。

 その家と下水路、両方を一気に調べ上げるぞ。」


 これならかなり進展するのではないだろうか。

 勿論オレたちも引き続き捜索に協力する。

 下水路は極力行きたくないからな。家の捜索に加わるとしよう。


 1時間後、冒険者たちがその家の周りに集まり調査に踏み切る。


「おい!誰もいないのか!この家の調査命令が出ている。鍵を開けろ!」


 呼び掛けには一切反応はない。

 誰もいないのかも知れない。


「いい。ぶち破れ。許可する。」


 ギルド職員が許可を出すと、冒険者が玄関を壊し、中へと侵入していく。

 オレたちも後を追っていくとしよう。


 家の中は真っ暗だった。窓は板で塞がれ、蝋燭も全て撤去されている。

 誰かが住んでいる雰囲気ではないように感じる。


「こっちだ。」


 オレはマップを頼りに、あの草むらからのルートが無いか確かめに向かう。


「レイジくん、これ、あったのです。」


 ルナが見つけたのは扉だった。

 その扉を開けると、そこはあの草むらだ。

 外からはただの壁に見えていたが、中からは扉になってる。魔法か何かで隠蔽されてて気付く事が出来ないようにされていた。


「これってほぼ決まりじゃないのか?」


 オレが確信を得た時、更なる発見があったようだ。


「地下への入口を発見したぞ。下水路へと繋がってたぜ。」


 冒険者の一人が地下への通路を見つけたようだ。

 此処で子供を攫い、下水路から運んでいく。

 そのやり口から犯人を推測していく。


「奴隷商か。」


 ケントがいち早くその存在に気付いたようだ。


「だとしたら厄介ですね。この下水路から子供を連れ去ってるなら、出口が読めません。」


 此処まできて詰んでしまったのか。

 この下水路をどっちに進めばいいのかも分からないし、仮に出口が分かっても、まだこの街にいるとは限らない。

 オレ達に出来ることはこれ以上無いのだろうか。

 もしもまだこの下水路に居るなら、マップスキルをレベル7まで上げれば見つける事が出来るだろう。

 しかし、居なかった場合はスキルポイントの無駄使いになってしまう。

 どうしたらいい?どうするのが正解なんだろうか?


 無駄になる可能性があるからやらない……それで後悔はしないのか?

 やって後悔とやらずに後悔……比べるまでもないよな。

 

 オレはスキルレベルを上げる決心をし、行動に移し始める。

 メニューのスキルからスキルポイントをマップに600ポイント振り分け、マップを確認した。


「此処に居るのがオレ達だな。こっちから此処に向かって動いてるのが下水路を調べている冒険者達だ。

 他には……いた!これだ!」


 下水路に人を指す光点が八つ。

 多分子供達六人と犯人が二人ってトコだろう。

 場所的には街の入口の外になるのか。そのまま地上に出れば門を潜らずに街を出る事が出来る。

 よくそんな場所を作ったものだ。少し感心するな。


「行くぞ!子供達を救出する。」

ユニークPV20,000人達成!

ご愛読ありがとうございます。

レイジの更なる活躍、乞うご期待下さい!

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