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残党シャングリラ  作者: タビヌコ
第六章「当て馬リベンジャーと結び目ワールド」
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『不屈の悪魔vs一の天使』

前回のあらすじ


時を駆けないおじさん



時は少し戻って


尾方がスタジアムを出た少し後、戦場の様子をお送りしよう。


まずは地面にどっかんどっかんヒビを入れてる國門と見上。


権能があるとはいえ天使の身体能力を失った國門が大天使とどうやって渡り合っているのだろうか。


ドッッッォン!!!


答えはこの音。


國門の片手には、規格外の口径を持つハンドガン、いや、ハンドキャノンが握られていた。


普通の人間が撃てば文字通り腕が吹き飛ぶ代物であるが、國門に衝撃は通らない。


また葉加瀬製のこの得物は、大天使にも通用するスペックが約束されている。


見上といえど容易に間合いに居続けることが出来ない。


二人は割れた地面を蹴って移動しながら数合打ち合っては距離を置く。


「やれやれ、國門くん。悪魔になってまで何がしたいんです貴方。作戦成功の折には大天使の席が検討されていたんですよ?」


「手を切ったのはそっちだろうが。それにどうせ流しの10躯だろ? 冗談じゃない」


油断なく銃をリロードをする國門。


見上はやれやれと溜息を吐く。


「口調まで変わってしまってまぁ。そんなに真摯に潜入任務に入り込んでいたのになぜ?」


「...入り込んでいたが故かも知れん。悪魔になりきるなんて人格が歪んで仕方ないとは思わんか?」


「後悔しているなら私から神に口添えしますが?」


「困った事に今の自分が嫌いじゃないんでね」


「それは本当にお困りでしょうね」


ガチャ。


大口径の先が見上を捕らえる。


瞬間。


見上が國門の間合いに現れ、銃を蹴り上げた。


「ッ!」


速いとは違う。


それは蹴りをする上で重要な過程を経ない結果への最短。


どのような動きをするのであれ。


見上は、その過程を重んじない。


いや、必要ないのである。


見上の首にかけられた懐中時計が、カチリと音を立てる。



正装:銀無垢ぎんむく


装着者が行う行動の結果への工程をスキップする事ができる。


この際、スキップした工程の数に応じて発生する結果は弱くなる。


例えば、装着者が対象を蹴り飛ばしたかった場合。


脳より命令→足が動く→対象に当たる


細かく言うとまだまだあるが、大体三工程。


この二工程目をスキップし、思った矢先に結果が発生する。


ただし実際に蹴った際より威力が少し落ちる。


わかりやすく言うと扱い難いキングクリムゾンである。


時の流れが装着者マターなのも違うがまぁ説明しづらいのでそういうことにしておこう。


ともあれ、見上天禄にとって過程とはスキップできる事象でしかない。


軽んじているわけではない。


かといって重んじるでもない。


等身大に視る彼方の事象を横目に。


彼は結果に手を掠める。



「ええい! 実際に立ち会うと分け分からん! 離れい!」


崩れた体制から無理やり手首だけ相手に向けてハンドガンを放つ。


普通なら手首が逆に曲がるなる芸当だが、國門ならば無反動。


見上は蹴りの体制から戻る過程と地面を蹴る過程を諸々スキップし、実際に離れようと思った距離の半分ほどの距離の場所に現れる。


「はいはい離れましたよ。やだやだ、あまり時間をかけないで貰えると助かるんですけどね」


「あ、言い回しが尾方っぽいな」


「ぶっ殺しますよ。いやぶっ殺しますよ。見え透いた挑発ですねぶっ殺しますよ」


「自分でも引くぐらい効いてる...」


細い目がまっかっかである。


頭に手を当ててぶんぶんと振った見上は大きく一息。


「貴方もアイツの事、嫌いなんでしょう? なんでそんな所に居られるんですか?」


見上は心底理解できないという顔を國門に向ける。


「大体お前らのせいだろうが!!」


「その一点においては個人的に謝罪させて貰いますね」


「やかましいわ!! 白貫誠そっくり芸人!!」


「ハァ!?? 尾方巻彦追っかけファンが!!」


「「ぶっっっっっ殺す!!!!」」


地面がひっくり返らんほどの衝撃で二人がぶつかる。


決着までの最短を目指す眼差しが國門を射抜く。


國門はその目線に銃弾で返事をした。

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