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残党シャングリラ  作者: タビヌコ
第六章「当て馬リベンジャーと結び目ワールド」
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『覚悟』

前回のあらすじ


彗星(筋肉)


「...足りない?」


筋頭に後ろを任せた尾方は再び戦場を俯瞰し疑問符を浮かべていた。


「今回の作戦で顕現している大天使は六躯...そう聴いた。だが」


五躯しかいない?


なにを隠そう大天使一躯から十躯全員と知り合いである尾方であるので、見間違いはない。


何度見返しても一躯足りないのだ。


「清ちゃん、ルカねぇ、江見塚先生、八、天禄...後誰だ...?」


尾方は考える。


天使の立場で、もし、自分であれば。


『白貫 誠』であればなにをするのか。


戦場の状況から。


作戦の概要から。


戦力から。


確実を見出す方法を。


「...あ」


何かに気づいたような。


そしてなにか諦めた様な小さな声。


尾方の頬を冷や汗が濡らす。


そうだ。


そうだった。


私は...『それ』が選択出来るモノだった。


そして今戦っている相手も。


「するだろうな...きっと」


尾方は穏やかな顔で天を仰ぐ。


そして思い描く。


明日を。


姫が笑っている。


明日を。


まだ描ける。


「だったら、僕の明日はもう――」


「コラッ」


こつん。


尾方の後ろ頭が軽く小突かれる。


「尾方ちゃん? なんて顔してるの?」


声の主は搦手 収。


尾方は我に帰って目をぱちくりとさせている。


「いや~な覚悟の顔。やめなさいなそんな顔。姫子ちゃんに相応しくないわ」


「...あはは、似合ってません?」


尾方は気まずそうに首を傾げる。


「似合わないわよ似合う訳ない。貴方に覚悟なんて豚に真珠よ」


「ははは、否定できない...」


「そうそう、そうやって申し訳なさそうに笑ってなさい」


姫子ちゃんの隣で。


そう付け加えた搦手は踵を返す。


「...搦手さん。貴方は大天使とは」


「分かってるわ。残り二人とも相性最悪。私は戦えない」


尾方は口を噤む。


「大天使とは戦えないけれどもね。私は、メメント・モリを護ってみせるわ。私のやり方で」


搦手は左手を見る。


「尾方ちゃん。そいえばね私、左手の握力がほとんどないの」


突然の告白に尾方はピタリと動きを止める。


「昔ね。大切な物を離さない為に、一生分の握力を使ったのよ」


でも。


と搦手は続ける。


「今度は離さないわ」


そこまで言うと搦手はヒラヒラと手を振りながら去っていった。


「...覚悟の顔なら。貴方にも似合わないと思いますけどね」


尾方は呟き、地面をまた蹴り戦場に戻った。

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