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残党シャングリラ  作者: タビヌコ
第四章「隻腕アヴェンジャーと奪還キャッスル」
57/175

『222』

前回のあらすじ

権能十人十色

 ①


 スタジアムを目指す尾方一行。


 その行く先には、搦手の言うとおり大広間の扉がそびえ立っていた。


「さて、さっきみたいに大乱闘になってないといいんだけど。その時はお願いね副団長さん」


 尾方はヘラヘラと笑って言う。


「お願いってなにをよ?」


「そりゃ、半分は君の味方でしょ? 言って聞かせて道を作って貰ってさぁ」


「あはは、やぁねぇそんなこと出来る訳ないじゃない。殺るか殺られるかの最中に上司の声なんて届きっこないわよ」


 搦手はケラケラと笑う


 尾方は渋い顔をする。


 そうこうしている内に扉の向こうから騒音が聞こえるほどの距離まで近づいて来た。


 音から察するに中が大乱闘状態なのは想像に難くない。


 前の大広間のように真ん中から真っ二つという訳にも行かないし。どうしたものかと尾方は頭を悩ませる。


「お望みなら『道』、作りましょうか? チョコっと派手になるけどそこはご愛嬌よねん?」


 大広間に差し掛かる直前、搦手が口角を上げて言う。


「え? それはどういう―――」


「『封鎖できません(レインボーブリッジ)』」


 搦手がそう言うや否や。巨大な鉄骨が搦手の正面に出現、前進し、大広間の扉を突き破って地面に接地した。


 その鉄骨は大広間を横断して有り余るほどの長大さで、向かいの扉さえも突き破り横たわっていた。


「はい、どうぞ♪ 少し滑るから気を付けてねん♪」


 カンッと事も無げに鉄骨に足を掛ける搦手はご機嫌な様子である。


 尾方も数瞬目を丸くしていたが、呆れたように目を細くして鉄骨に足を掛ける。


 そしてもう数秒送れて葉加瀬のドローンが続く。


 大広間の中は騒然としていた。


 当然である。大乱闘中とはいえ、この鉄骨は無視できない。というか看過出来ない。


 鉄骨の上を渡る二人と一機は注目の的となった。集中砲火である。


 尾方は器用にこれを避けて、たまに肘のプロテクターで弾きながら言う。


「搦手さぁん!? 橋じゃなくないこれ!? 的当てゲームのレーンじゃないの!?」


 搦手は手頃な大きさの様々な模様の壁を周りに出しながらケラケラ笑う。


「あら、上手い事言うわね尾方ちゃん。でも、貴方と私ならどうって事ないでしょ? それにコレ位スリルがあった方が面白いじゃない♪」


「面白くはないかなぁ!」


 尾方は慌ててドローンを抱えこんでダッシュする。


 そしてもう少し経つと、鉄骨の上にも悪魔が乗り込んできて突破が困難になって来た。


 尾方もドローンを抱えたままでは上手く動けない。


「搦手さん! そろそろ次の一手をお願いしますよ! 限界ですって!」


「うーん、仕方ないわね。 本当は残弾を多く残して置きたかったんだけど...」


 その時


「ツウゥゥゥォォォオウ!!」


 耳をつんざく様な声が大広間に響き渡る。


 振り向くと入り口に、尾方には見覚えのある人物が仁王立ちしていた。


「私の名を刻め非道の輩よ! 我こそはダブルツヴァイツインセカンドマークⅡ次男坊! 戒位222躯! 二枚目の天使! 弐枚田 弐樹(にまいだ にき)!!」


 なんて?


「なんて?」


 搦手が目を点にして言う。


 悪目立ちなんてもんじゃない。ここにいるのは全員が悪魔。


 例え大乱闘中であっても、目的、使命があっても。


 それだけは見逃さない。


「天使だぁ!!!」


 部屋の全てのヘイトは一気に弐枚田に注がれる。


 鉄骨に乗っていた悪魔でさえ、尾方達を無視して弐枚田に突撃する。


「え、ええっと、とりあえずチャンスよ! 行きましょう!」


 珍しく動揺した様子の搦手が先導する。


 走り出す前に尾方が一瞬振り向くと。


 弐枚田は尾方を見据えて、ウィンクをした。


 どうでもいい話だが、そのウィンクがメチャクチャに下手だったので、尾方にはそれがなにかよく分からなかった。


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